自作PCとBTOパソコンの違いを価格、カスタマイズ性、デザイン性、必要な時間、保証、修理、処分方法などさまざまな観点から徹底的に比較します。
自作PCはパーツを自分で選び、組み立てる楽しさがありますが、BTOパソコンは注文すればすぐ届きますし、保証もしっかりしています。
自分にとって最適な選択をするためのポイントを自作PCとBTOパソコンの違いを比較しつつ解説していきます。
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目次
自作PCとBTOパソコンの基本的な違いについて
自作PCとBTOパソコンの違いについて解説します。
自作PCとBTOパソコンについて
まずは、自作PCとBTOパソコンの基本的な違いについてです。
自作PCは、各パーツを自分で選び、組み立てることで、自分だけのカスタマイズパソコンを作ることができます。
パーツの選択から組み立て、設定まで全て自分で行うため、知識と時間が必要ですが、コストパフォーマンスに優れ、自由度が高いというメリットがあります。
また、自作PCすることで、パーツの知識や組み立て技術を身に着けることができるので、故障した際に修理費の節約やパソコンが使えなくなる期間の短縮することができます。
一方で、BTO(Build to Order)パソコンは、メーカーが提供するカスタマイズオプションの中から選択し、注文に応じて組み立てられるパソコンです。
自作PCと比べるとカスタマイズの幅は狭まりますが、保証やサポートが充実しているため、安心して利用できるというメリットがあります。
パソコン本体を購入するため、そもそも組み立てる時間などが不要なので、特に組み立てなどに興味はなく、ただパソコンを手に入れたい方はBTOパソコンになりますね。
自作PCとBTOパソコンの違い一覧
自作PCとBTOパソコンの違いについて、もう少し詳しく比較するために項目ごとに違いを見ていきましょう。
その後で、各項目について詳しく解説していきます。
自作PC | BTOパソコン | |
---|---|---|
価格 | BTOパソコンより安いか同じぐらい | 一般的には自作PCより高価 |
カスタマイズ性 | 高い(自由に選択可能) | 限定的(メニューから選択) |
デザイン性 | 自由度が高い | 選択肢の幅が狭い |
必要な時間 | パーツ知識の勉強、組み立て に時間がかかる | 注文後、組み立ててもらえる |
パーツの知識 | 必要 | 少し必要 |
組み立て | 自分で全てを組み立てる | プロによる組み立て |
保証 | パーツ毎に保証される | 一括で保証される |
修理 | 故障パーツの特定や交換は自分で行う | メーカーに送るだけ |
処分方法 | パーツ毎に処分 | メーカーに送るだけ |
サポート | 自己解決が基本 | 購入店舗にサポートを依頼 |
パフォーマンス | 自分で最適化できる | 標準化された構成 |
アップグレードの容易さ | 既に知識や技術があるので簡単に交換可能 | 自作PCの知識・組み立て技術が ないため厳しい |
自作PCとBTOパソコンの比較
自作PCとBTOパソコンの違いについて項目ごとに詳しく比較していきましょう。
項目ごとの特徴を知ることで、自分にとって自作PCとBTOパソコンのどちらがいいのか、何を優先したいのかが見えてくると思います。
価格の比較
自作PCとBTOパソコンの価格については、ミドルレンジ構成であれば約4万円、ハイエンド構成であれば約8万円(2024/05/13時点)ほど自作PCの方が安いです。
BTOパソコンは性能に対して相場に近いものを選び、自作PCは選択したBTOパソコンの仕様をカバーできるパーツの中で安いものを選んでいます。
細かい仕様やBTOパソコンに搭載されている各パーツの型番も全く同じにしようとすると分かりませんが、ある程度の基本的な仕様を合わせた状態であれば、自作PCの方が安いですね。
その上で、自作PCで自分好みのデザインのPCケースであったり、LED付のパーツにしたりと色々カスタマイズしていくとBTOパソコンと同じかちょい安いぐらいの価格になると思います。
あくまで各パーツを仕様を満たした上で安いものを選択しているので、その価格差こそが機能やデザイン性などの面で、自分が好き勝手カスタマイズできる余力であるとも言えますね。
しかし、選択するパーツにもよりますが、価格面で自作PCにメリットがあるかと言われれば、めちゃくちゃあるわけではありません。
安いパーツで済ませるのであれば、4万円, 8万円ほど安くなりますが、パーツを見ているとこっちの方が良いと絶対に揺らいで高いものを選びたくなったりします。
さらに、自分で知識を身に着ける、組み立ての手間を考慮すると「単純に価格が安くしたいから」という理由で自作PCをやるのはおすすめできません。
自作PCとBTOパソコンの価格をスタンダードPC(GPUなし)、ミドルレンジPC、ハイエンドPCの3つの構成で、自作PCとBTOパソコンの価格を比較しています。
パーツや仕様も表にまとめており、比較方法などもまとめているので参考にしてください。
≫ 関連記事:自作PCとBTOパソコンの価格差を3つの構成で徹底比較!
カスタマイズ性の比較
自作PCはBTOパソコンと比べると自作PCの方が圧倒的にカスタマイズ性が高いです。
そもそもパソコンにおけるカスタマイズ性とは、次の2点と考えています。
- 変更できる箇所の多さ
- パーツの選択肢の豊富さ
変更できる箇所の多さとは、CPU, GPU, 電源ユニットなどの約10種類のパーツの中で、どれだけカスタマイズできるかどうかです。
BTOパソコンの場合、CPU、メモリ、GPU、ストレージといった基本的な性能に関わるパーツは変更できます。
しかし、メーカーによって違いますが、マザーボードや電源ユニット、PCケースあたりは変えられないことが多いです。
自作PCであれば、パーツの全てを用意して自分で組み立てるので、全てのパーツが対象となります。
つまり、手を加えることができるパーツの種類が多いということですね。
また、パーツの選択肢の豊富さも重要で、同じCPUでも、どれだけの選択肢が用意されているかです。
BTOパソコンでは、メーカーやパーツの種類によっても違いますが、変更できたとしても3種類前後、多いものだと10種類前後です。
一方で、自作PCであれば、数十、数百種類の中から選ぶことができるので、格段にカスタマイズできる幅は広がります。
BTOメーカーからするとパーツの種類や選択肢が増えるということは、在庫が増えるため、管理の負担や場所代が増えます。
また、事前に動作するかチェックもすると思うので、組み合わせが指数関数的に増えます。
基本的にパーツが増えていいことはないので、どうしても選択肢を絞っていくような形になります。
そのため、パソコンを好き放題カスタマイズしたいのであれば、圧倒的に自作PCがいいですね。
BTOパソコンでも使用用途に対して満足のいく性能にカスタマイズするという点では何の問題もありません。
しかし、それだけでは満足のいくパソコンにならないようなこだわりがあるのであれば、自作PCがおすすめですね。
デザイン性の比較
パソコンのデザイン性と言えば、まず一番はパソコンの顔となるPCケースですね。
次に、中身が見えるタイプのPCケースであれば、各種パーツのデザインもこだわる意味があります。
例えば、できるだけ白色のパーツを選んで白を基調としたパソコンにしたり、LEDライティングのためにできるだけLEDを搭載したパーツを選んだりということができます。
自作PCであれば、PCケースは500種類ぐらいの中から選ぶことができますし、PCケース以外にもBTOパソコンとは比較にならないほどの選択肢があるので、かなり自分の欲しいデザインに近づけることができます。
一方で、BTOメーカーは、ゲーミングPCブランドやクリエイター向けPCブランドなど大きな用途の括り別にブランドを持っており、そのブランド毎に1~3種類ぐらいしかケースの選択肢はありません。
また、他のパーツも型番が記載されていないメーカーも多く、一部の仕様を基準に選ぶのが基本なので、白色パーツにしたいからと言っても、その通りにパーツが選べることは少ないです。
仮にあったとしても、パソコン全体でデザインを統一できるほどの選択肢はまずないでしょう。
そのため、性能だけではなく、デザイン性にもこだわりたい場合は自作PCの方がおすすめですね。
必要な時間の比較
自作PCとBTOパソコンで、パソコンを手に入れるまでの必要な時間を見ていきます。
BTOパソコンは、パソコンを検討するための時間、検討に必要な知識を勉強するための時間が必要です。
しかし、既に組み立てられているため、組み立ての時間は不要です。
パソコンをどれにするか決めるためには、使用用途に対して快適な性能かどうかを見極める必要があります。
基本的に、パソコンの基本性能(CPU, メモリ, GPU, ストレージ)を中心に仕様を見ていきますが、その仕様の見方と使用用途に対して快適な性能かを判断するための知識も必要になります。
その手間も省きたい方は、BTOメーカーのショップや家電量販店のパソコンコーナーに行って店員に相談するのが早いです。
使用用途と予算を伝えればいいものをチョイスしてくれるでしょう。
しかし、自分で選ぶとなるとこの辺りの知識や見極めが必要になってくるので、パソコンを選ぶのには少し時間がかかりますね。
一方で自作PCでは、基本性能だけではなく、CPUクーラー、マザーボード、電源ユニット、PCケース、PCケースファンなど計10種類ほどのパーツの知識が必要なので、もっと時間がかかります。
また、性能だけでなく、選んだパーツの組み合わせできちんと組み立てることができるかの互換性も見る必要があります。
例えば、CPUにはソケット形状がありますが、それがマザーボードと一致していないと組み立てることができません。
こういった部分の知識も必要な上、BTOパソコンよりも圧倒的に数が多い中から選んでいくことになります。
そして、最後に組み立てる時間も必要なので、パソコンを手に入れるまでの時間で言うと、BTOパソコンより圧倒的に時間がかかります。
ケンさん
パーツ選定や組み立ての時間の目安についてはこちらで解説しています。
≫ 関連記事:自作PCの全体の流れや時間の目安について
保証・修理の比較
自作PCとBTOパソコンでは保証・修理もかなり違いがあります。
BTOパソコンでは、パソコン本体に無料(パソコン自体に含まれる)の標準保証で1~3年ほどの期間、有料の延長保証で3~5年ほどの期間の保証が付きます。
基本的に保証内容は自然故障のみで、保証期間内に故障した場合は、メーカーに連絡を取ってパソコンをメーカーに送るだけで済みます。
修理はメーカー側で行ってくれて修理費は不要です。
自然故障とは、パーツの不具合、接続ポートの不具合などの製品自体の品質や製造上の問題によって発生する故障のことを言います。
要は、パソコンを普通に使っていたにも関わらず故障してしまった場合ですね。
これに対して、ユーザーの過失(わざと壊したなど)や外部の要因(落下、衝撃、水没など)による故障は物損故障と言い、基本的に標準保証、延長保証では対応してくれません。
この物損も保証したい場合は、別途そういった保証を用意してくれているメーカーで、購入、保証の加入をする必要があります。
一方で、自作PCの場合は、パソコン本体ではなくパーツ毎に保証が付き、こちらも基本的には自然故障のみの保証です。
保証期間もパーツ毎に違いますし、メーカーが違えば連絡先、対応先も異なるので、保証の管理や複数のパーツが故障した時の対応が面倒になります。
期間については、短いもので1~3年、長いもので5~10年や永久保証となります。
ケンさん
また、故障したパーツについては自分で特定する必要があり、パーツを修理・交換してもらったら、自分で修理する必要があります。
とは言え、私の場合はパソコンを1日8~12時間、20年以上使ってきましたが、経験則から言うとストレージ以外は壊れたことがないので結構丈夫です。
ストレージも保証期間外に寿命を迎え故障したので、自作PCで保証を使ったことはないですね。
≫ 関連記事:自作PCとBTOパソコンの保証を徹底比較!
≫ 関連記事:自作PCの寿命を様々な観点から解説【大体3~10年】
処分の比較
BTOパソコンを処分する場合は、メーカーや販売業者による回収、自治体のリサイクルプログラムや専門のリサイクル業者に依頼する方法があります。
PCリサイクルマークが付いたパソコンは、リサイクル費用が購入時に含まれているため無償で回収してもらえます。
BTOパソコンにもこのマークが付いていることが多く、購入したメーカーや販売業者に連絡すると回収してもらえるはずなので、マークの有無の確認とメーカーのホームページにある処分方法のページを確認してみましょう。
また、自治体によっては、パソコンのリサイクルプログラムを提供している場合があります。
この場合、指定された場所に持ち込むか、回収業者に依頼することができるので、自治体の案内を探してみましょう。
一方で、自作PCを処分する場合は、パーツ毎に分解して、自治体のルールに従って、パーツやケースを不燃ごみや粗大ごみとして処分、または、リサイクルショップや中古パーツの買い取り業者への売却する方法があります。
ただし、パーツの一部はリサイクル対象となることがあるため、事前に自治体のリサイクルガイドラインを確認することが重要です。
自作PCとBTOパソコンのどちらでも言えることですが、ストレージの処分には注意が必要です。
SSDやHDDなどのストレージを処分する際には、個人情報が保存されている可能性もあるので、保存されているデータを完全に消去することが重要です。
単純にファイルを右クリックして削除という方法では復元することができるため、専用のデータ消去ソフトウェアを使用するか、物理的に破壊するようにしましょう。
自作PCとBTOパソコンの比較まとめ
自作PCとBTOパソコンで比較をまとめた上で、どういう方が自作PC、あるいは、BTOパソコンに向いているかを解説していきます。
自作PC向き:ロマン、自由度の高さ、PC知識を優先したい
自作PCは、初めて手を出す際のパーツの勉強、組み立てには時間がかかってしまうものの性能だけではなく、デザイン性やパーツのメーカーや製品までこだわることができます。
主に、知識や技術、組み立ての時間といった手間を楽しめる方、自分で使うパソコンの全てを自分の好きなようにカスタマイズができ、組み立てができるというロマンを味わいたい方におすすめです。
- 自分でパソコンを作るというロマン
- 圧倒的なカスタマイズ性
- 自由度の高いデザイン性
- パーツのメーカーや製品までこだわることができる
- PCの知識や技術が身に付く
- 安く仕上げることもできる
- 修理時に安上がりになる
- ちょっとしたアップグレードが簡単
自作PCの最大のメリットは、自分の使用用途に合わせたカスタマイズが可能である点です。
必要なパーツを自分で選び、組み立てることで、BTOパソコンにはないデザインやより深いカスタマイズが可能となります。
BTOパソコンでも、性能の観点から言えば同等のカスタマイズはできますが、パーツのメーカーや製品まで選ぶことは基本的にできないので、ここまでこだわりたい方には自作PCがおすすめですね。
また、各パーツの価格を把握しながら予算に応じた調整ができるため、コストパフォーマンスに優れているとも言えます。
パーツ選びから組み立て、OSのインストールまで、全て自分の手で行うことで、パソコンやパーツの深い知識が身につきます。
そのため、将来的にパーツの交換やアップグレードが簡単にできるのも大きな利点です。
特に、メモリやストレージの増設は、自作PCの知識があれば容易にアップグレードすることができます。
また、パーツの知識・組み立て技術があることで、仮に保証期間が過ぎて故障しても、自分でパーツを買ってきて交換することができるようになります。
私が10万円ぐらいのメーカー製のPCを3年保証で使っていた際に、ストレージが3年半ぐらいで故障したことがあります。
その際に、約5.5万円の修理費がかかったのですが、自作PCの知識があれば、1万円前後のパーツ代だけで済みます。
しかし、デメリットとしては、パーツの選定や組み立てにはある程度の知識と技術が必要であり、初心者にはハードルが高いことです。
また、保証がパーツごとになるため、トラブル時の対応が複雑になる可能性があります。
BTO向き:手軽さや保証・サポート面を優先したい
BTOパソコンは、CPU・メモリ・GPU・ストレージの基本的な性能の知識は必要ではあるものの自作PCよりは必要な知識は少ないので、手っ取り早く、手軽にパソコンを手に入れたい方におすすめです。
また、保証やサポート面が強いので、もし故障したり、分からないことがあったりした時に、メーカーを頼りにしたい方もBTOパソコンが良いですね。
- パソコンを手に入れればOK(組み立てとかパソコン自体には興味ない)
- 手軽さとカスタマイズ性のバランスが取れている
- メーカーの保証・修理やサポートの方が安心
BTOパソコンはメーカーが用意した選択肢の中から、自分のニーズに合わせてカスタマイズできます。
自作PCほどの自由度はありませんが、専門的な知識がなくても、自分に合ったパソコンを手に入れることができるため、手軽さを求める方には適しています。
カスタマイズ性と手軽さのバランスが取れている点がメリットですね。
また、メーカーが組み立てた完成品を購入するので、パーツ選びの手間が省け、組み立てはプロが行うため、自作PCのような技術は不要です。
保証もパーツ単位ではなく、パソコン全体としての保証があるため安心です。
ケンさん
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
≫ ツール:自作PCパーツの見積もり・互換性チェックツール