最近では、物価高騰や円安などに伴いPCパーツの価格も上がってきているので、少しでも安く抑えたいと思い中古PCパーツも視野に入れてパーツ選定をしている方もいるかもしれません。
私にもたまに「中古のPCパーツはアリですか?」という相談を受けることがあるのですが、結論から言うと初心者の方には中古PCパーツはおすすめできません。
特に、自作PCを初めて組む、2台目といった初心者の方が、中古PCパーツに手を出すのは、価格が安い以上のデメリットがあるため、手を出すべきではないと考えています。
ただ、今から解説するおすすめできない理由に納得して、リスクを承知した上で購入するのであればOKです。
ケンさん
- 自作PC初心者の方は中古PCパーツはおすすめしない
- 価格が安い以上のデメリットがある
- 寿命が極端に短い可能性がある
- 使用用途に対して性能が十分か判断しづらい
- 保証期間が短い or ない
- 中古PCパーツはリスク承知で購入(中級者以上向け)
- 中古PCパーツの購入は企業から(個人・フリマはNG)
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目次
自作PCの中古パーツがおすすめではない理由
中古PCパーツをおすすめしない理由としては、最終的には金額が安いメリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きいからです。
では、1つ1つ見ていきましょう。
中古のPCパーツは短寿命のリスクが大きい
中古のPCパーツは、そこに売り出される前は誰かに使われていたパーツなので、使われた分だけ劣化が進んでいます。
ほぼ新品で売られたものなのか、高負荷状態で5年ぐらい稼働し続けた末に売られたものなのか分かりません。
そのため、購入した後、新品PCと同様に長く使えるのか、それともすぐに壊れるのかが全く分かりません。
新しいPCパーツであれば大体3~5年ぐらいは最低でも使えますが、もし、中古のPCパーツが高負荷状態が何時間も続くような過酷な使われ方で、3~5年ほど経過したものだったとしたら、残り1年も使えないかもしれません。
そのため、寿命が短く、またすぐに買い替えする羽目になるリスクがあります。
例えば、仮想通貨のマイニングでGPUを使用率100%で24時間動かし続けたものが中古PCパーツとして並んでいるかもしれません。
また、私の経験上、ストレージ(SSD・HDD)の寿命は2~3万時間ぐらいなのですが、3万時間超えているものがあるかもしれません。
寿命ははっきりとは分からないので、こういった中古のパーツでも長く使えるかもしれませんが、それと同時に、寿命が短い可能性もかなり高いです。
もちろん、1年未満で中古PCパーツとして出されたり、年月は経っているもののパソコンの使用時間が少なく状態が良かったりする中古PCパーツもあると思います。
しかし、その劣化具合を見分けることができないですし、注釈でどんな使われ方がされていたか書かれていても本当かどうか分からないので、結局のところ中古PCパーツだと寿命が短いリスクは付きまといます。
用途に対して性能が十分か判断できる知識が必要
中古PCパーツの性能を判断する難しさを解説しましたが、さらに、自分の使用用途に対して性能が足りているかを判断するのも難しいです。
例えば、3DゲームのFF15を遊びたくて、最適なグラフィックボードを中古PCパーツの中から探しているとします。
FF15の動作環境を見れば必要なスペックが書かれているので、PassMarkなどのベンチマークサイトでスペックを比較して確認することができます。
ですが、経年劣化により性能を出し切れないかもしれませんし、ゲームもアップデートされていて必要なスペックも少し上がっているかもしれません。
その上、実機をメーカーから借りて12種類のゲームをベンチマークをしている経験則から言うと、動作環境が当てにならないゲームもあります。
また、動作環境のスペックを満たせば平均何FPSでるのか分かりません。
そのため、実際にベンチマークして計測したものを参考にすることになりますが、古いパーツだとベンチマークの情報もないことが多いです。
どうしても、最新のPCパーツ、ゲームを基準に情報が出回るので、古いPCパーツだとこのあたりの情報がなく、どのくらいのパフォーマンスを出してくれるか判断しづらいです。
そのため、最新世代や1世代前ぐらいのパーツであれば情報も出てきて、ある程度判断できますが、それ以上古くなってくると難しいでしょう。
中古PCパーツは保証が短い or ない
基本的に、新品のPCパーツにはメーカーや日本正規代理店が付けている保証があります。
例えば、製品や価格帯によって異なりますが、CPUであれば日本正規代理店の3年保証、CPUクーラーであれば1年や3年、電源ユニットであれば1~10年といった保証が付いています。
しかし、中古PCパーツは、保証が短かったり、付いていなかったりするので、購入して数カ月あたりで故障しても交換できないリスクがあります。
まず、中古PCパーツの場合は、メーカーや日本正規代理店の保証は使うことはできません。
多くの場合、メーカーの保証は元の購入者にのみ適用されるため、中古品を購入した場合、保証が引き継がれないことが一般的です。
ただし、メーカーによっては保証書があれば保証を引き継ぐことができる場合もありますので、購入前にメーカーの保証ポリシーを確認することが重要です。
また、中古PCパーツを扱う店舗では、独自の保証を設けている場合があります。
これは、購入後の初期不良などに対応するための短期間の保証であることが多いです。
例えば、ドスパラで中古PCパーツを扱っていますが、ドスパラの中古商品保証規約を確認してみると、相性保証込みの1週間の初期不良期間内であれば保証を受けることができます。
1週間という短期間なので、初期不良が出てしまった時のための保証ですね。
そのため、数年間の長期利用をした末に自然故障してしまった際に交換する一般的な保証とは目的が異なってきます。
こういった保証期間の面でも中古PCパーツはリスクがあります。
フリマアプリ・個人から中古PCパーツを購入するのはリスクが高い
リスクを承知の上で、それでも中古PCパーツを購入するのであれば、中古PCパーツを扱っている企業から購入するようにしましょう。
中古PCパーツを購入する方法は次の通りです。
- PCメーカーがやっている通販サイト
- 中古のパソコンやPCパーツを扱っている業者
- メルカリなどのフリマアプリで個人から購入
ですが、個人から買うのは次の理由からおすすめできません。
- 商品の状態の不透明さ
- 初期不良の保証がないことがほとんど
- 保証があっても、故障した場合に修理やその他対応が不透明
- 返品・交換が難しい
- 個人との取引はトラブルになる可能性もある
- 詐欺のリスク
写真は付いていると思いますが、取り方次第で良く見せることもできるので商品状態がイマイチ分かりませんし、「商品状態:きれい」と書かれていても、抽象的に書かれていればその人の感じ方によって全然違うので当てにはなりません。
個人の場合、保証が付いていなかったり、付いていても保証規約がないので故障した時にどういう対応をしてくれるか分かりません。
初期不良の保証がないということは、既に故障していたり、まともに動いていないものを引いてしまっても対応しないでしょう。
悪質な場合、それを狙って出品している可能性すらあります。
また、個人が交換や返金などの対応をしてくれるようには到底思えないので、結局泣き寝入りになるリスクは高いです。
一方で企業であれば、中古PCパーツであれば短いですが保証は付いていますし、保証規約に則って交換や返金などの対応をしてくれるはずです。
PCパーツに関わらず、個人との取引では金銭や商品の発送等のトラブルも聞くので、中古PCパーツを買うなら、せめて企業が販売しているものにしておいた方が良いでしょう。
自作PCの中古パーツはリスクが高い
おすすめしない理由を解説しましたが、それを踏まえた上で、中古PCパーツについてのリスクについて解説します。
中古PCパーツは”安物買いの銭失い”のリスクがある
中古PCパーツは、価格だけを見れば確かに安いものの、性能、故障のリスク、保証などを見ると決していい選択ではありません。
もし、性能をしっかり見極めて、自分の使用用途に対して十分な性能と分かった上で購入したとしても、故障リスクが新品のパーツより高いのはどうしても避けられません。
PCパーツの劣化はどのぐらい進んでいるか分からない上、保証期間も短いです。
一度、中古PCパーツを買って短い保証期間が過ぎた後、早々に故障した時を考えてみて下さい。
同じぐらいの性能の中古PCパーツを探すのは手間ですし、またお金もかかります。
それか、中古PCパーツに懲りて新品のPCパーツを購入するとなっても、結果論ではありますが、それなら最初から新品の方が良かった…という後悔は残り、気持ちのいい買い物はできないでしょう。
それなら、中古PCパーツを買う予算にプラス数万して最新のPCパーツを購入した方が、性能も十分ですし、長く使えて保証もしっかりあるので、圧倒的に満足度が高いです。
中古PCパーツには価格が安いメリット以上のデメリットがある
中古PCパーツの最大のメリットは価格が安いことで、あまり自作PCに予算を割けない方にとっては魅力的に見えると思います。
ですが、今まで説明した通り、故障のリスクや保証、性能の判断の難しさを考えると、価格が安いというメリット以上のデメリットがあるので、個人的には中古PCパーツはおすすめできません。
とは言え、絶対に新品のPCパーツを買った方が良い!という話ではなく、ある程度自作PCの経験がある上で、デメリットを理解した上で中古PCパーツを購入されるのであれば問題ないとも思っています。
一番避けたいのは、こういったデメリットを知らないままに購入して、思っていたものと違うかった…となってしまうことです。
まとめ:自作PC初心者の方は中古PCパーツはNG!
中古PCパーツのデメリットについて様々な観点から解説しました。
もう一度、中古PCパーツについてのポイントをまとめておきます。
- 自作PC初心者の方は中古PCパーツはおすすめしない
- 価格が安い以上のデメリットがある
- 寿命が極端に短い可能性がある
- 使用用途に対して性能が十分か判断しづらい
- 保証期間が短い or ない
- 中古PCパーツはリスク承知で購入(中級者以上向け)
- 中古PCパーツの購入は企業から(個人・フリマはNG)
中古PCパーツは、ある程度自作PCに慣れていて、かつ、故障する前提、サブ機に使うといった場合であれば選択肢に入れてもいいと思います。
しかし、1,2台目の組み立てであったり、メイン機として使ったりする場合にはおすすめしません。
ケンさん
中古PCパーツがおすすめではない理由に納得して「中古PCはやめておいた方が良さそうだな…」「どうしても不安が残るな…」という方であれば、絶対にやめておいた方が良いです。
価格は高いかもしれませんが、保証もしっかりしていますし、価格に見合った満足度は得られるはずです。
また、故障するかも…と思ってPCを使っていると重要なデータを保存しておくのも怖いですし、PCで作業する上で精神衛生上よくありません。
一方で、理由やリスクに納得した上で、それでも「価格的なメリットなどから中古PCにしよう!」という方であれば、中古PCパーツを選択肢に入れていいと思います。
ですが、フリマアプリなどの個人から中古PCパーツを買うのは、ただでさえ中古PCパーツのリスクがある上、保証やトラブルの面でもリスクを上げることになります。
そのため、中古PCパーツを買うのであれば、PCメーカーなどのPCのプロ、信頼性のある企業から購入した方が良いです。
しかし、個人的には新品のPCパーツの方が、購入時は価格面で高いと感じるかもしれませんが、長期的に見ると得ですし、満足度も高いと考えています。
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
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