パソコンを自作する際、重要な要素となるのがCPUの冷却です。
CPUクーラーには空冷式と水冷式がありますが、空冷CPUクーラーはコストパフォーマンスが高く、扱いやすさから多くのユーザーに支持されています。
しかし、空冷CPUクーラーを選ぶ際には冷却性能や適切なソケット、サイズなど、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
この記事では、空冷CPUクーラーの特徴や選び方を初心者向けに解説していきます。
- 空冷CPUクーラーはコスパと取り付けやすさに優れ、初心者にも扱いやすい。
- 冷却性能の高い「サイドフロー型」と省スペースに適した「トップフロー型」がある。
- 大型のサイドフロー型であればハイエンドCPUも対応可能
- 高負荷が長時間続く場合やオーバークロックには水冷CPUクーラーも選択肢に。
- CPUクーラーの選定時にはTDP、ソケット形状、PCケースのサイズを要確認
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目次
空冷CPUクーラーについて
空冷CPUクーラーの特徴や水冷方式との違い、どのくらいのCPUで使うのがいいかついて解説していきます。
空冷CPUクーラーとは?
空冷式CPUクーラーとは、CPUが発する熱をヒートシンクとファンを利用して空気中に逃がし、温度を下げる冷却装置のことです。
空冷式CPUクーラーには「サイドフロー型」と「トップフロー型」があります。
サイドフロー型は、ヒートシンクが縦に配置され、ケースの前後方向に空気を流す構造です。
サイズも大きいものがあり、ファンのサイズも大きくなるので、冷却性能・静音性が高いのが特徴です。
ミドル・ハイエンドCPUの発熱にも対応できますが、高さのあるCPUクーラーは、小さいPCケースだと入らないのでそこは注意が必要です。
トップフロー型は、ファンが上から下へ風を送り、CPUだけでなく周囲の電源回路なども同時に冷却できます。
高さも低いものが多いので、小さいPCケースに向いている一方で、ファンが小さく高負荷時にファンの回転数が上がるので、静音性は低い傾向にあります。
どちらもメリット・デメリットがあるので自分のパーツ構成(主にCPUの性能、PCケースのサイズ)に適したものを選びましょう。
空冷CPUクーラーの基本構造と冷却の仕組み
空冷式CPUクーラーは、大きく以下の部品で構成されています。
- ヒートシンク(放熱板)
アルミや銅で作られたフィン(薄い板)が多数並んでおり、表面積を増やして熱を効率よく空気に放散する役割があります。 - ヒートパイプ
銅管の内部に冷媒を封入した構造で、CPUから受けた熱を効率的にヒートシンク全体に伝える役割があります。
液体が蒸発・凝縮を繰り返すことで、単なる金属伝導よりも高い効率で熱を移動させます。 - ベースプレート
CPUと直接接触する部分です。
熱伝導性を高めるために銅製であることが多く、サーマルグリス(CPUグリス)を介してCPU表面から効率的に熱を吸収します。 - 冷却ファン
ヒートシンクに風を当てて熱を空気中に放散させるためのファンです。
冷却の仕組みとしては次の通りです。
- CPUからの熱吸収
CPUが動作すると発熱し、その熱がベースプレートに伝わります。 - 熱の伝導と移動
ベースプレートからヒートパイプに熱が移り、パイプ内部で冷媒が蒸発し、熱を効率よく移動させます。 - 放熱
ヒートパイプから伝わった熱がヒートシンクのフィンに広がります。
フィンは表面積が大きいため、より多くの熱を空気に放出できます。 - 空気による冷却
ファンが空気を流し、フィン表面に伝わった熱を外部へ排出します。
これらの構造と仕組みによって、CPUの温度を下げて、安定した動作を維持しつつけることができます。
ケンさん
ローエンド・ミドルCPUには最適
空冷CPUクーラーは、ローエンドやミドルのCPUを使う場合に最も手軽でコスパの良い冷却方法です。(ローエンド・ミドルCPUの分類について)
これらのCPUは発熱がそこまで大きくないので、わざわざ高価な水冷クーラーを用意しなくても、空冷で十分に冷やせます。
空冷クーラーは構造がシンプルで取り付けも簡単なので、自作PC初心者の方でも扱いやすいのがメリットです。
価格も安めで、コストパフォーマンス重視の方には特におすすめできます。
大型の空冷CPUクーラーであれば静音性も高いので、普段使いのPCやゲーム用途であれば空冷で問題ありません。
ハイエンドCPUはケースバイケース
IntelのCore i, Ultraの7,9やRyzen 7,9のハイエンドCPUの場合は、仕様の冷却性能や今までパソコンをレビューしてきた経験から言うと大型の空冷CPUクーラーであれば、CPU温度、静音性共に問題ありません。
しかし、冷却により余裕を持たせて長時間の高負荷状態でもより安心したい、ファンを2,3連にすることで1つあたりファンの回転数を抑えて静音性をより高めたい場合には、水冷CPUクーラーの方がいいでしょう。
例えば、大型の空冷CPUクーラーを搭載したIntel Core i7-14700F × RTX 4060 TiのデスクトップPCで重めの3DゲームのFF15を最高画質でベンチマークをしたところ、CPU使用率は約30%前後で推移し、CPU温度も60℃程度だったので、しっかりと冷却できていることが分かります。
つまり、3Dゲーム程度であれば大型の空冷CPUクーラーで十分で、それ以上に、自分でデータ分析をするためにプログラミングをする際にCPUのコアを全て使うような作りでCPU使用率が80~100%になるような用途で初めて水冷式を検討するかどうかという感じです。
空冷式でも余裕がないわけではないですが、より余裕のある環境にしたいという時に水冷式が選択肢に入ってきます。
後は、水冷式の方が価格が高くなったり、PCケースのどのサイズの何連ファンまで対応しているかの問題があるので、そことの兼ね合いですね。
純正と社外品クーラーの違い
AMDのリテールクーラー
CPUクーラーには、CPU購入時に付属する純正クーラー(リテールクーラー)と、別途購入できる社外品クーラーがあります。
大きな違いは、冷却性能や静音性にあります。
純正クーラーは標準的な利用を想定して設計されており、ウェブ閲覧やオフィス作業といった普段使いであれば問題なく使用できます。
ただし、ゲームや動画編集など負荷の高い場面では、冷却力や静かさの面で物足りなさを感じることがあります。
一方、社外品クーラーは冷却性能や静音性を重視して作られており、サイズや形状、ファンの数など種類も豊富です。
オーバークロックや長時間の高負荷作業を行う場合、あるいはできるだけ静かな環境を求める場合には社外品クーラーの方が適しています。
さらに、LEDライティングやデザイン性にこだわったモデルも多く、見た目を重視するユーザーからも人気があります。
ただし、社外品クーラーは製品にもよりますが大型なものが多いため、ケースのサイズやメモリとの干渉に注意する必要があります。
純正クーラーはCPUに付属しているものなので、そのCPUを冷却するために冷却性能は持っています。
しかし、ヒートシンクやファンサイズが小さいので、高負荷状態を維持し続ける場合や静音性を気にする場合は、社外品クーラーの方がいいですね。
ケンさん
空冷CPUクーラーの種類
空冷式CPUクーラーには「サイドフロー型」と「トップフロー型」があります。
その特徴や違いについて解説していきます。
サイドフロー型 | トップフロー型 | |
---|---|---|
画像 | ![]() | ![]() |
特徴 | ・ヒートシンクが縦方向 ・全体のエアフローの流れで冷却 ・大型×ヒートシンク付きの場合 メモリ干渉に注意 | ・ヒートシンクが水平 ・CPU周辺部品も冷やしやすい ・コンパクトPC向き |
サイズ | ・大型が多い ・高さがあるためケース選びに注意 | ・小型~中型が中心 ・高さが低く省スペース向き |
冷却性能 | ・高い冷却性能 ・ハイエンドCPUにも対応 | ・サイドフロー型より劣る ・低性能・省電力CPU向き |
静音性 | ・大型ファンで静音性が高い ・ファン回転数を抑えやすい | ・小型ファンは音が大きくなりがち ・静音モデルも存在 |
価格の傾向 | ・比較的高価なモデルが多い | ・比較的安価 |
サイドフロー型
サイドフロー型は、ヒートシンクが縦向きに配置され、ケースの前後方向に空気を流す構造です。
サイドフロー型は、ヒートシンクが縦向きに配置され、冷却ファンが横から風を送り込むことで効率的に熱を逃がします。
ケースの前後方向に空気を流す構造で、ケースファンによって生まれるパソコン内部全体のエアフローに沿った形で冷却できるので、エアフローを崩すことなくスムーズな冷却をすることができます。
トップフロー型と比較してもヒートシンクやファンが大型なので冷却性能が高いのが特徴です。
Core i5, Ryzen 5以上のミドル、ハイエンドなCPUであれば、高い冷却性能のあるサイドフロー型が使われることが多いですね。
また、ファンも120, 140mmと大きめなものを搭載できるので、高負荷時でもファンの回転数が少なくなるので静音性も高いです。
高さのあるCPUクーラーは、小さいPCケースだと入らないのでそこは注意が必要です。
トップフロー型
トップフロー型のCPUクーラーは、冷却ファンが水平に取り付けられており、空気を上から下に流すことでCPUを冷却します。
CPUに付属している純正CPUクーラーはトップフロー型が一般的です。
このタイプのクーラー空気を上から当てるので、マザーボードあたりのパーツや部品も冷やす効果があります。
特に、VRM(電圧レギュレータモジュール)やメモリスロットなど、熱がこもりやすい部分にも効果的です。
サイドフロー型と比べてサイズが小さく、高さも低いので、コンパクトなケースにも取り付けられるメリットがあります。
一方で、ファンやヒートシンクが小さいため最大の冷却性能はやや劣る傾向にあります。
ファンサイズも92mm(Intelの純正クーラーの場合)と小さく、高負荷時にファンの回転数が高くなるためうるさくなることが多いですね。
ケンさん
また、ケース内のエアフローの影響を受けやすく、排熱効率はサイドフロー型と比べるとやや劣ります。
空冷CPUクーラーの選び方
空冷CPUクーラーを選ぶ際に押さえておきたいポイントについて解説していきます。
主に、冷却性能やパーツの互換性の部分が中心ですね。
冷却性能(TDP対応)の確認
適切なCPUクーラーを選ぶためには、まずCPUのTDP(熱設計電力)に合った冷却能力を持つCPUクーラーを選ぶことが重要です。
TDPはCPUが発生することが想定される最大熱量を示し、この数値以上の冷却能力を持つクーラーを選ぶ必要があります。
また、使用するPCケースのサイズやエアフロー、予算、さらには騒音レベルも含めて自分に合ったものを選ぶ必要があります。
いきなりTDPとか言われても、どのを見ればいい分からないと思うので一緒に見ていきましょう。
まずは、CPUの製品ページの仕様からTDPを探します。
CPU:Intel Core i5 14400Fの場合
仕様表の中で、最大ターボパワー(一番高いワット数)の数値を参考にします。
Intel Core i5 14400Fであれば、148Wですね。
CPU:AMD Ryzen 5 7600の場合
仕様表の中で、デフォルトTDP/TDPの数値を参考にします。
AMD Ryzen 5 7600であっれば、65Wですね。
なお、CPUにはターボモードと言って、定格以上にクロック周波数を引き上げることで、一時的にパフォーマンスを上げる機能があります。
Intelの場合はターボ・ブースト・テクノロジー、AMDの場合はPrecision Boostと言いますが、この機能により、仕様に記載されているTDPを超えてきます。
また、オーバークロックをしている場合も同様に、TDPが越える場合があります。
そのため、CPUのTDPは参考として、その上で余裕のあるCPUクーラーを選ぶ必要があります。
CPUクーラーが対応できるTDPについても、必ずではありませんが製品の公式ページや日本の販売代理店のページなどに記載されています。
CPUとCPUクーラーのTDPを見て、+αで余裕のあるCPUクーラーを選びましょう。
とは言え、CPUクーラーを選ぶ一般的な方法を説明したものの、CPUクーラーにTDPが書かれていないことも結構ありますし、そもそもCPUのターボモードやオーバークロックによって定格以上を出すとTDPを超える場合も多々あるので判断が難しいと思います。
ケンさん
そんな場合は、次の2点を覚えておけばOKです。
- ミドルレンジCPUなら”中型・大型の空冷式CPUクーラー”
- ハイエンドCPUなら”大型の空冷式CPUクーラー” or “2連ファン以上の簡易水冷式CPUクーラー”
製品ごとに冷却性能が違うので絶対とは言い切れませんが、傾向として押さえておくとこんな感じで大丈夫です。
CPUクーラーのソケット形状とマザーボードの対応ソケットの確認
CPUクーラーを選ぶ際には、マザーボードのソケット形状を合わせる必要があります。
ソケットとは、マザーボード上にあるCPUを取り付けるための接続部分のことで、CPUとマザーボードのソケット形状を合わせる必要があるのですが、CPUクーラーも同様に合わせる必要があります。
CPUとマザーボードは、特定のソケット1つに対応しているのですが、CPUクーラーについては複数のソケット形状に対応していることが多いです。
例えば、マザーボードの対応ソケット形状は、LGA1700など1つのソケットに対応しています。
これに対して、CPUクーラーの対応ソケット形状は、Intelの場合は、LGA1700, LGA1200, LGA1151, LGA1150, LGA1155, LGA1156、AMDの場合は、AM5, AM4など複数に対応しています。
そのため、CPUクーラーの対応ソケットの中に、マザーボードのソケットがあればOKです。
また、複数に対応していることで、ソケット形状によってCPUクーラーの選択肢が狭まることはあまりなく、幅広い選択の中から性能面、デザイン面などで自分に合うものを選ぶことができます。
組み立て時は、そのソケット形状に合うようにマウンタが付属しているので、それをマザーボードに取り付けた上で、CPUクーラーを取り付けます。
≫ 関連記事:CPUクーラーのソケット形状について【自作PC】
CPUクーラーの高さとPCケースの対応サイズの確認
CPUクーラーを選ぶ際は、PCケースに収まる高さにしなければなりません。
特に、大型のトップフロー型のCPUクーラーはサイズの確認は必須で、PCケースに収まらないと再購入することになります。
確認方法は、まずCPUクーラーの高さを製品仕様でチェックします。
次に、PCケースの製品仕様の「対応CPUクーラー」「対応CPUクーラー高さ」「CPUクーラー高さクリアランス」という項目があるので、そこと比較します。
例えば、「全高180mm」などの記載がありますが、これは180mmまでのCPUクーラーはPCケースに収めることができるということなので、高さがそれ以下のCPUクーラーかどうかを確認します。
また、ギリギリのサイズを選んでしまうと、ケースに接触することでケース全体が振動して騒音や故障の原因にもなるため、最低でも1,2cmぐらいは余裕のあるものを選びましょう。
デザインやLEDライティングの有無
CPUクーラーのデザインやLEDライティングの有無は、見た目やPC内部の雰囲気に大きく影響します。
最近は冷却性能だけでなく、ケース内を華やかに演出できるカラフルなLEDやRGBライティング搭載モデルも増えてきました。
特にサイドパネルが透明なケースを使っている場合、LEDライティング付きのクーラーを選ぶと、PC全体の印象がガラッと変わります。
一方で、シンプルなデザインやライティングなしのモデルも根強い人気があり、落ち着いた雰囲気や静音性を重視したい方にはこちらがおすすめです。
自分の好みやPCの使い方、設置する環境に合わせて、デザインやLEDの有無を選ぶと良いでしょう。
ケンさん
空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーの違い
CPUクーラーには、空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーがありますが、その違いとメリット・デメリットを解説していきます。
なお、水冷CPUクーラーは簡易水冷を前提としています。
空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーの比較
空冷式CPUクーラー
水冷式CPUクーラー
空冷式はヒートシンクとファンを組み合わせて、CPUから伝わった熱をそのまま空気に逃がすシンプルな構造です。
一方、水冷式はCPUに取り付ける水冷ヘッド(ポンプ)で熱を冷却液に移し、その液体をチューブを通じてラジエーターまで運び、そこでファンによって外気に放熱します。
つまり、空冷は金属と空気を直接使うのに対し、水冷は液体を介して熱を運ぶ点が大きな違いです。
観点別に違いをまとめると次のようになります。
項目 | 空冷式CPUクーラー | 水冷式CPUクーラー |
---|---|---|
構造 | ヒートシンクとファンで 熱を直接空気に放出 | 水冷ヘッド、ポンプ、冷却液、 ラジエーター、ファンで熱を液体経由で移動 |
冷却性能 | 小型クーラーは低い傾向 大型クーラーは高い傾向 | 冷却の上限が高く余裕がある |
静音性 | 小型クーラーは低い傾向 大型クーラーは高い傾向 | 2連,3連ファンであれば 分散できるため高い |
設置の容易さ | 構造が単純で取り付けやすい | 部品点数が多く、設置や 取り回しに注意が必要 |
価格帯 | 比較的安価で導入しやすい | 高価になりやすく、 ハイエンド志向向け |
あくまで冷却方式別の傾向であって具体的には製品によって違いますが、基本的には水冷CPUクーラーの方が空冷より冷却性能は高いです。
仕様の冷却性能や今までパソコンをレビューしてきた経験から言うと、大型の空冷CPUクーラーであれば、ハイエンドCPUの場合は、CPU温度、静音性共に問題ありません。
その上で、ハイエンドCPUでオーバークロックをしたり、高負荷な用途で長時間使用するような場合は、冷却性能に余裕のある水冷CPUクーラーの方がいいですね。
静音性についてが大型の空冷CPUクーラーであれば基本的にどの製品も静かですね。
ただ、より静音性が欲しい時は、2,3連ファンで1つあたりのファン回転数を抑えることができる水冷CPUクーラーの方がおすすめです。
空冷CPUクーラーのメリット
空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーを比較した時の空冷CPUクーラーのメリットです。
- 価格が安い
空冷CPUクーラーは、水冷CPUクーラーと比べて構造がシンプルで製造コストが低いため、販売価格も安価です。
予算を抑えつつもハイエンドCPUにも対応できる製品もあるのでコストパフォーマンス重視の方向け。 - 取り付けが比較的容易
空冷CPUクーラーは、マザーボードに付属しているブラケットやネジを使って簡単に設置できます。
ポンプやチューブの取り回しなどの複雑な作業がなく、自作PC初心者でも短時間で取り付けが完了します。 - 故障リスクが低い
シンプルな構造の空冷CPUクーラーは、ポンプや冷却液などの複雑な部品がないため、故障しにくく、長期間安定して動作します。
故障リスクが高いと言っても水冷CPUクーラーも年々信頼性は向上しており、最近では冷却液の漏れや蒸発は極めて稀なのでリスクとして捉えなくても大丈夫です。
ただ、冷却ポンプがある分、構造上複雑であるため、空冷CPUクーラーと比べると故障リスクはやや上な印象です。
また、万が一にも液漏れが発生した場合、他のPCパーツに液体がかかって破損してしまうこともあるため、空冷CPUクーラーと比べて被害は大きくなることが予想されます。
ケンさん
メンテナンスについては、簡易水冷の場合は冷却液の補充は不要で、ファンの掃除ぐらいです。
これについては空冷CPUクーラーも同様なのでメンテナンス性は同じと思って大丈夫です。
空冷CPUクーラーのデメリット
空冷CPUクーラーと水冷CPUクーラーを比較した時の空冷CPUクーラーのデメリットです。
- 高性能CPUでは冷却性能に余裕がない場合がある
空冷CPUクーラーは、特にハイエンドCPUやオーバークロック時に発熱量が大きくなると、冷却性能に限界があり、十分に熱を逃がしきれないことがあります。
そうなると長時間の高負荷作業では、標準的な空冷クーラーでは冷却が追いつかず、CPU温度が高い状態になるリスクが高まります。 - 大型モデルはPCケースのサイズ制限を受けやすい
大型の空冷CPUクーラーは、PCケース内部のサイズ制限を受けやすいので、CPUクーラーの高さとPCケースの対応サイズをよく確認しましょう。 - ヒートシンクが大きいとメモリと干渉する可能性がある
大型のヒートシンクを搭載したクーラーは、ヒートシンク付きのメモリ(背が若干高い)と干渉することがあり、取り付けられない場合があります。
水冷クーラーは冷却液を使って効率よく熱を移動させる仕組みなので、より低い温度を維持しやすいのが特徴です。
一方、空冷クーラーはヒートシンクとファンのみで冷却するため、どうしても冷却能力に限界があり、CPUの温度が高くなりやすい傾向があります。
空冷CPUクーラーのよくある質問
空冷CPUクーラー選びや使い方でよくある疑問点について、ポイントごとに解説していきます。
どのくらいの頻度でCPUクーラーの掃除が必要?
はい、必要です。
ファンにホコリが溜まりやすいので、大体半年~1年に1回の頻度で掃除しましょう。
掃除方法については、別途解説しているので参考にしてください。
≫ 関連記事:自作PCの掃除方法と必要な道具を徹底解説【写真付き】
グリスの塗り方や種類はどう選べばいい?
CPUグリスは、CPUとクーラーの間にできるだけ均一かつ薄く塗るのが基本ですが、塗る以前に、CPUクーラー側に1回分のグリスが塗布されているので、そのままマザーボードに組み込めば大丈夫です。
取り付け時にミスって一度取り外したり、数年後CPUグリスの劣化に伴い塗り直す際に、グリスを選んだり自分で塗ったりという作業がでてきます。
その上で、自分は別のCPUグリスを使いたい、別の塗り方をしたいという方は、グリスの種類や塗り方を解説しているので参考にしてください。
≫ 関連記事:CPUグリスの役割や種類、塗り方や手順、寿命を解説【自作PC】
CPUクーラーのファンだけ交換できる?
CPUクーラーのファンだけを交換することは可能です。
多くの空冷CPUクーラーは、ファン部分がクリップで固定されているため、同じサイズのファンであれば基本的に交換できます。
ただし、取り付け部分の形状やファンの厚み、コネクタの種類(3ピン/4ピン)などが合っているかどうかは事前に確認しておきましょう。
≫ 関連記事:自作PCのPCケースファンの選び方【性能面 / 機能面 / 互換性】
CPUクーラーのファンの回転数や風量、騒音レベルはどこを見ればいい?
CPUクーラーのファンの回転数や風量、騒音レベルをチェックする場合、製品の仕様表に記載されている「回転数(RPM)」「風量(CFM)」「ノイズレベル(dBA)」の数値を確認します。
回転数(RPM)は、ファンが1分間に何回転するかを示しており、一般的に回転数が高いほど冷却性能は高くなりますが、その分ファンの音も大きくなりやすい傾向があります。
一方、ノイズレベル(dBA)はファン動作時の音の大きさを表していて、数値が小さいほど静かです。
大体30台dBAであれば、静音性が高いと言えるでしょう。
まとめ:空冷CPUクーラーはコスト・取り付けやすさ重視の方におすすめ!
この記事では、空冷CPUクーラーの特徴や種類、メリット・デメリット、選び方について詳しくまとめました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- 空冷CPUクーラーはコスパと取り付けやすさに優れ、初心者にも扱いやすい。
- 冷却性能の高い「サイドフロー型」と省スペースに適した「トップフロー型」がある。
- 大型のサイドフロー型であればハイエンドCPUも対応可能
- 高負荷が長時間続く場合やオーバークロックには水冷CPUクーラーも選択肢に。
- CPUクーラーの選定時にはTDP、ソケット形状、PCケースのサイズを要確認
空冷CPUクーラーは、コストパフォーマンスが高く、取り付けが簡単なため、自作PC初心者の方にも非常に適しています。
ローエンドやミドルCPUを使用している場合、冷却性能は十分で日常的な使用や軽いゲームには問題なく対応できます。
また、ハイエンドCPUでも大型の空冷CPUクーラーで対応できますが、高負荷な用途で長時間使う時やCPUをオーバークロックする時は、より冷却性能の高い水冷CPUクーラーの検討も必要です。
自作PC初心者の方やコスト重視の方には、空冷CPUクーラーは非常におすすめの選択肢となりますね。
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
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