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NVIDIA DLSSについて【ゲームのFPS向上】

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GPU

NVIDIA DLSSは、NVIDIAのグラフィックボードの機能で、ゲームのグラフィックやフレームレートを向上させる技術です。

この技術は、ディープラーニング(AI)を活用して、低解像度の画像を高解像度に変換したり、中間フレームを生成したりすることで、より滑らかで美しいゲームグラフィックを体験することができます。

 

グラフィックボードによって、DLSSの対応状況、対応するDLSSのバージョンが変わってきますし、ゲーム自体の対応状況も変わってきます。

そのため、それらを理解した上でグラフィックボードを選ばないとこの機能を使うことができません。

 

この記事では、NVIDIA DLSSの基本からその技術がもたらすゲーム体験の向上や効率化について詳しく解説していきます。

 

この記事の重要なポイント
  • DLSSはNVIDIAのAIを活用した画質・フレームレート向上技術
  • 低解像度を高解像度に変換する「アップスケーリング」機能が特徴
  • DLSS 3.0以降は「中間フレーム生成」に対応し、さらに高FPSを実現
  • DLSS 3.5では新技術「Ray Reconstruction」に対応
  • DLSS対応のグラフィックボードとゲームの組み合わせが重要
  • バージョンごとに対応する機能が違うので要確認
  • 最新バージョンのDLSSを活用するには、RTX 40シリーズが最適

 

 

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NVIDIA DLSSについて

まずは、NVIDIA DLSSの基本と特徴について見ていきましょう。

 

NVIDIA DLSSとは?

NVIDIA DLSSとは、NVIDIAが開発した革新的な技術で、ディープ・ラーニング・スーパー・サンプリング(Deep Learning Super Sampling)の略です。

この技術は、ディープラーニングを活用してゲームのグラフィックやフレームレートを向上させることを目的としています。

 

DLSSは、特に高解像度やレイトレーシングを使用するゲーム、または高解像度のディスプレイやVR環境で効果を発揮し、プレイヤーに滑らかで美しい映像体験を提供します。

 

3Dゲームのフレームレートの向上

DLSSには、主に次の2つの機能によって3Dゲームのフレームレートを向上させる技術です。

  • アップスケーリング(高解像度化)
  • 中間フレームの生成(DLSS 3.0以降)

それぞれの仕組みについては後程解説します。

 

まず、3Dゲームのパフォーマンスの指標として、フレームレート(FPS)をよく使います。

フレームレートとは、映像や画像が1秒間に表示されるフレーム(静止画像)の数を表す指標です。

 

主に「FPS(Frames Per Second)」という単位で表され、たとえば「60FPS」の場合は、1秒間に60枚のフレームが表示されることを意味します。

この値が高いほど画面が滑らかになりますし、逆に低いとカクついて快適にゲームをすることができません。

 

DLSSのアップスケーリングと中間フレーム生成機能を使うことで、このフレームレートの1秒間あたりのフレームを増やし、結果としてより快適にゲームをプレイできるというものです。

 

 

NVIDIA DLSSの仕組み

NVIDIA DLSSの肝となる2つの技術について詳しく見ていきましょう。

 

アップスケーリング(高解像度化)

アップスケーリングは、低解像度な画像や映像を高解像度に上げる技術です。

例えば、FHD(1,920×1,080)の解像度の画像を4K(3,840×2,160)に変換することができます。

これは主に「画質の向上」と「GPU負荷の軽減」を目的としています。

 

画質の向上について

アップスケーリングは、低解像度の画像を高解像度に変換することで、より鮮明で詳細な映像を提供します。

同じ解像度でも、同等あるいはそれ以上の画質を実現することができます。

 

具体的には、ゲームがレンダリングする際に、AIが画像の欠けている部分を補完し、滑らかでリアルな映像を生成します。

これにより、パフォーマンスを犠牲にすることなく、高品質なビジュアル体験を楽しむことができます。

 

GPU負荷の軽減について

DLSSはフレームレートを向上させるためのものですが、解像度を向上させることが直接フレームレートを向上させることには繋がりません。

また、ゲームをやる方は分かると思いますが、ゲーム画面の解像度はグラフィック設定で指定しているものなので、結局はその解像度で表示されることになります。

 

このアップスケーリングの目的としているところは、画質の向上もありますが、GPUの描画負荷を減らすことがメインです。

 

3Dゲームではプレイヤーの動き、光源と各オブジェクトの影の表現、エフェクト、ジオメトリ計算(座標演算)、物理シミュレーションなど様々なグラフィック演算を常に実行し、その結果として1枚の画像をレンダリングして表示しています。

この演算やレンダリングにはグラフィックボードのCUDAコアという部分で処理しているのですが、解像度が大きいほど負荷が大きくなります。

 

単純計算すると、4K解像度の総ピクセル数はFHDの4倍なので、4倍の負荷があります。

※これはレンダリング時の負荷で、ジオメトリ計算や物理シミュレーションなど一部のグラフィック演算に関しては解像度に依存しないため、全ての負荷が4倍になるわけではありません。

 

そのため、解像度を大きくすることでそれだけCUDAコアの負荷が増えますが、DLSSのアップスケーリングにより低解像度の状態でレンダリングをすることで、CUDAコアへの負担を軽減することができます。

アップスケーリング自体は、グラフィックボードのTensorコアを使用するので、CUDAコアとは別となります。

 

このようにコア毎に処理を分散させることで、1フレームを生成するまでのCUDAコアの負荷を減らし、より短時間で1フレームを生成することができます。

1フレームの生成時間を短縮できるということは、1秒あたりに生成できるフレーム数が増えることになるので、結果としてゲームのフレームレートが向上するということです。

 

つまり、アップスケーリングによって、レンダリングの負荷を軽減することで、1秒間に生成できる画像を増やすことでフレームレートを向上させるのが、この機能の肝です。

 

中間フレームの生成(DLSS 3.0以降)

NVIDIA DLSS 3では、新しい機能として「中間フレーム生成(Frame Generation)」が導入され、従来のDLSSとは異なるアプローチでさらなるフレームレート向上を実現しています。

 

中間フレーム生成は、レンダリングされるフレームの間にAIを活用して新しいフレームを生成する技術です。

これにより、実際にレンダリングされるフレーム数を増やすことなく、視覚的にはより多くのフレームが表示されるようになります。

 

通常のフレームレンダリングでは、1枚1枚のフレームをグラフィックボードのCUDAコアが直接描画します。

その結果、描画負荷が高くなるので、フレームレートが制約されることがあります。

 

DLSS 3では、ディスプレイに表示される前の内部で生成した2枚のフレーム間の動きを解析し、新しい中間フレームをAIで生成することで、より高いフレームレートを実現します。

この中間フレームは、実際にはレンダリングされていない架空のフレームであるため、従来のフレーム生成とは異なり、CUDAコアの描画コストを大幅に削減しつつも、視覚的には高いフレームレートを維持できるのが特徴です。

 

これにより、ゲームがよりスムーズになり、特に高解像度や高フレームレートを求めるゲーマーにとっては大きなメリットとなります。

 

ただし、DLSS 3の中間フレーム生成はAIによる予測技術を用いているため、プレイヤーの操作や急な視点変更にリアルタイムで対応できない場合があります。

これは、すでに最新のフレームが内部的に生成されていても、中間フレームを先に挿入して表示するために発生する遅延が原因です。

 

中間フレームを優先的に表示することによって、プレイヤーの操作に対する画面の反応がわずかに遅れることがあり、これが入力遅延を引き起こします。

特に、反応速度が求められるFPSゲームやアクションゲームでは、この遅延がプレイ感覚に違和感を覚える原因となることがあります。

 

また、フレーム間の動きを誤認識すると、ゴースティング(残像)やオブジェクトの歪みといった視覚的な誤差が発生することもあり、複雑なシーンや高速で動くオブジェクトが多い場面では、これらの視覚効果が目立ちやすくなります。

 

そのため、DLSS 3を使用するかどうかは、ゲームの種類やプレイスタイルに応じて慎重に判断することが重要です。

滑らかな映像を重視する場合には大きな効果を発揮しますが、入力の正確性やリアルタイム性が重要なゲームでは、DLSS 3を無効にするか、設定を調整して最適なバランスを見つけることをおすすめします。

 

 

NVIDIA DLSSのバージョンと対応状況について

NVIDIAのDLSSのバージョンについて見ていきましょう。

NVIDIA DLSSのバージョンと対応状況について

※DLSSを解説する上で重要なバージョンのみまとめています。

 

DLSS 1.0

DLSS 1.0(2019年2月頃)は、NVIDIAが初めて導入したディープラーニングスーパーサンプリング技術で、ゲームのグラフィックスをより高品質にすることを目的としています。

このバージョンでは、特定のゲームタイトルでのみ利用可能で、AIを活用して低解像度の画像を高解像度にアップスケールすることで、パフォーマンスを向上させます。

 

この技術は、特に高解像度でのゲームプレイ時にフレームレートを改善することが期待されていました。

しかし、DLSS 1.0はゲームごとに個別のAI学習が必要であり、結果として対応するゲームが限定されていました。

 

対応グラフィックボードは、NVIDIA RTX 20シリーズです。

 

ケンさん

AI学習には1台数百万するGPUを何十, 何百, 何千台と使う世界やから、ゲームのフレームレートを向上させる目的のためだけにゲームメーカーが用意できるものではないし、AI学習させる技術のハードルも高いから、なかなか導入するのは難しかったんやろな…

 

DLSS 2.0

DLSS 2.0(2020年4月頃)では、汎用的なAIモデルを使用することで、各ゲームごとに個別のトレーニングが不要になり、より多くのゲームで簡単に導入できるようになりました。

また、画質やフレームレートの向上も大幅に改善され、プレイヤーにとってもメリットが明確になりました。

 

前バージョンと比べて、より柔軟で効率的なアルゴリズムを採用しており、さまざまな解像度やフレームレートに対応しています。

さらに、DLSS 2.0は、AIモデルのトレーニングをクラウド上で行うことで、ゲーム開発者が個別に対応する必要がなく、より多くのゲームで簡単に実装できるようになっています。

 

これにより、ゲームの開発コストを抑えつつ、プレイヤーに美しい映像とフレームレートの向上を提供することができるようになりました。

導入が簡単になったことと対応ゲームが増えたことが普及のきっかけとなり、DLSSが広く認知される技術となりました。

 

対応グラフィックボードは、NVIDIA RTX 20シリーズ、RTX 30シリーズです。

 

DLSS 3.0

DLSS 3.0(2022年10月頃)は、アップスケーリングだけでなく、AIを活用して中間フレームを生成することで、より高いフレームレートを実現しました。

中間フレームの生成については先述した通りです。

 

特に高解像度や高フレームレートを求めるゲーマーにとって重要な技術であり、これにより、よりリアルで没入感のあるゲームプレイが可能になります。

 

対応グラフィックボードは、NVIDIA RTX 40シリーズです。

 

DLSS 3.5

DLSS 3.5(2023年9月頃)は、グラフィックスの品質とパフォーマンスをさらに向上させることを目的としおり、新しく「Ray Reconstruction(光線再構築)」という技術が追加されました。

 

これは、レイトレーシングをさらに高度化するために導入された新しいアルゴリズムです。

従来のレイトレーシング技術では困難だったリアルタイムでの光の反射や屈折、影の表現をAIを使って最適化し、よりリアルなビジュアルを実現することを目的としています。

 

対応グラフィックボードは、RTX 20シリーズ、RTX 30シリーズ、RTX 40シリーズです。

これは、Ray Reconstructionに対応しているという意味で、RTX 20シリーズ、RTX 30シリーズでは、DLSS 3.0で追加された中間フレーム生成機能は使えません。

 

 

まとめ:FPSを最大限引き上げたいなら最新のGPUがおすすめ!

NVIDIAのDLSS技術について、その基本的な仕組みやゲーム体験の向上について解説しました。

 

改めて重要なポイントをまとめておきます。

この記事の重要なポイント
  • DLSSはNVIDIAのAIを活用した画質・フレームレート向上技術
  • 低解像度を高解像度に変換する「アップスケーリング」機能が特徴
  • DLSS 3.0以降は「中間フレーム生成」に対応し、さらに高FPSを実現
  • DLSS 3.5では新技術「Ray Reconstruction」に対応
  • DLSS対応のグラフィックボードとゲームの組み合わせが重要
  • バージョンごとに対応する機能が違うので要確認
  • 最新バージョンのDLSSを活用するには、RTX 40シリーズが最適

 

まとめとして、FPSを最大限引き上げたいのであれば、一番最新のバージョン・機能に対応した最新のGPUを使用することをおすすめします。

特に、DLSSは最新のNVIDIA RTXシリーズのグラフィックスカードでその効果を最大限に発揮し、高解像度や高フレームレートを求めるゲーマーにとってメリットがあります。


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