Western Digital(ウェスタン・デジタル / WD)は、グローバルなストレージソリューション企業として知られており、SSD・HDDなどの様々なストレージで、用途に沿った多様な製品ラインアップを展開しています。
その中でも、HDDの分野ではコンシューマー向けのシェアがかなり高く、信頼性もあるのでおすすめのメーカーです。
WDの代表的なHDDシリーズには、WD Blue, WD Purple, WD Red, WD Gold, WD Blackと様々なものがありますが、今回は、これらの特徴や用途、違いについて解説していきます。
どのシリーズが自分の用途に合っているか知ることができるので、HDDを搭載しようと思っている方には参考になると思います。
- WDは世界的なストレージソリューション企業
- HDDのシェアが高く、自作PCでは圧倒的
- 用途別にシリーズ分けがされている
- WD Blue:一般用途向け
- WD Purple:監視カメラシステム向け
- WD Red:NAS向け
- WD Gold:エンタープライズ向け
- WD Black:ゲーミングおよび高性能PC向け
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目次
Western Digital(WD)とは?
HDDのシリーズの前に、まずはWDとはどういう企業なのかを解説していきます。
グローバルなストレージソリューション企業
WDは、グローバルにストレージソリューションを展開しており、自作PCユーザーだけでなく、データセンター向けなどのBtoB向けもあるので、個人・法人問わず幅広く知られている企業です。
主に、HDDやSSDなどのデータストレージ製品を提供しており、その高い品質と信頼性で知られています。
特にHDD市場では、長年にわたりリーダーとしての地位を確立しており、技術革新と顧客満足度の向上に努めています。
私自身は、今までに5,6台はWDのHDDを購入しており、どれも初期不良なく安定した動作をしているのでおすすめですね。
いくつか寿命で故障したものもありますが、早期の故障したとか変に故障したというのはなく、寿命を全うしてくれている感じなので個人的にかなり信頼度が高いですね。
多様な製品ラインアップ(特にHDDが有名)
WDは、多様な製品ラインアップを提供しており、その中でも特にHDDが有名です。
HDDでは、個人ユーザーから企業まで幅広いニーズに対応するため、用途別、容量や性能のモデルが揃っています。
例えば、デスクトップPCやノートPC向けの一般的なHDDから、データセンターやクラウドストレージ向けの高性能なHDDまで、多岐にわたる製品がラインアップされています。
さらに、WDは信頼性と耐久性に優れた製品で多くのユーザーから高い評価を受けているので、HDD分野ではシェアを拡大し続けています。
HDDのシェアについて
HDDの主要なメーカーとしては、次の3つです。
- Western Digital(ウェスタンデジタル / WD)
- Seagate(シーゲート)
- 東芝
その中でも、WDが2番目と大差をつけてシェアを取っていますね。
WDに絞ってみるとWD Blueが圧倒的に多く、次にWD Purpleシリーズ、WD Redシリーズが来ています。
シリーズについては後程詳しく見ていきます。
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先進技術の導入
WDは、先進技術の導入により、HDDの性能と信頼性を大幅に向上させています。
特に注目すべきは、ヘリウム充填技術と記録技術の進化です。
ヘリウム充填技術は、HDD内部の空気をヘリウムに置き換えることで、ディスクの回転抵抗を減少させ、より多くのディスクを搭載できるようにします。
これにより、データ容量が増加し、消費電力も削減されます。
また、WDではSMR(Shingled Magnetic Recording)とCMR(Conventional Magnetic Recording)という2つの異なる記録技術を採用しています。
SMRはデータを重ねて書き込むことで、より高密度なデータ保存(より大容量)を可能にしますが、書き込み速度が遅くなることがあります。
一方、CMRは従来からある方法でデータを記録し、安定したパフォーマンスを提供します。
また、一部のエンタープライズ向けの大容量HDDにMAMR(マイクロ波アシスト磁気記録)技術を採用しています。
この技術を使うことで、ディスクに書き込む際にマイクロ波を使って記録効率を上げることができます。
主に、データセンターや大容量なデータ保存が必要な分野で利用されることが多いです。
これらの技術をそれぞれの目的や使用環境に応じて採用しているので、WDのHDDはさまざまなニーズに対応できる柔軟性を持っています。
Western Digital(WD)のHDDシリーズ
Western Digital(WD)のHDDシリーズには、WD Blue、WD Purple、WD Red、WD Gold、WD Black、WD Greenがあります。
それぞれの特徴や用途、違いについて詳しく解説していきましょう。
まずは、シリーズ別に簡単に表にまとめました。
シリーズ名 | 用途 | 特徴 | 保証 |
---|---|---|---|
WD Blue | 一般的なデスクトップPC およびノートPC向け | ・バランスの取れた性能 ・5400 RPMから7200 RPM ・HDDとSSDの両方がラインアップ | 2年 |
WD Purple | 監視カメラシステム向け | ・監視カメラ用に最適化 ・フレームドロップを防止 ・24時間連続録画対応 | WD Purple:3年 WD Purple Pro:5年 |
WD Red | NAS向け | ・NAS向けに最適化 ・24時間365日の連続運転対応 ・RAID対応と高耐久性 | WD Red, WD Red Plus:3年 WD Red Pro:5年 |
WD Gold | エンタープライズ向け | ・高信頼性 ・大容量と高パフォーマンス ・データセンター向け | 5年 |
WD Black | ゲーミングおよび高性能PC向け | ・高パフォーマンス ・7200 RPMの回転速度 ・NVMe SSDもラインアップ | 5年 |
WD Green | 省電力が求められる環境向け ⇒ 2015年にBlueに統合されたため 現在はありません。 | ・低消費電力 ・静音性に優れる ・現在はSSDのみ | – |
各シリーズについて解説していきますが、大前提として、HDDのデータ転送速度は、NVMe SSDやSATA SSDと比べると遅いです。
そのため、現在はメインストレージにNVMe SSDを搭載するストレージ構成が多く、HDDは速度がそれほど求められないデータの保存やバックアップとして搭載することが多いです。
シリーズ内で速度差について言及することがありますが、それはWDのHDDシリーズ内の話であって、速いからといってSSDのデータ転送速度を規格や性質上超えることはないので、それを大前提に見ていただければと思います。
WD Blue
WD Blueは、WDのHDDシリーズの中でも、一般的な用途に最適なモデルです。
日常的なパソコン作業のデータ保存・バックアップなどに適した性能があり、信頼性とコストパフォーマンスのバランスが取れているので、普段使いやオフィス用途として幅広く使われています。
容量も多様で、2TBから8TBまで選べるため、ニーズに応じた選択が可能です。
一般的な用途向けということもあり、シリーズの中で一番人気があります。
とりあえず、データ転送速度はあまり必要ない用途で、容量アップのためにHDDを搭載したいというユーザーおすすめですね。
WD Purple
WD Purpleは、監視カメラシステム向けに特化したHDDです。
監視カメラシステムは24時間365日稼働するため、HDDには高い耐久性と信頼性が求められます。
WD Purpleは、これらの要件を満たすために設計されており、特に連続書き込み性能に優れています。
さらに、WD PurpleはAllFrameテクノロジーを搭載しており、映像のフレーム落ちを防ぎ、スムーズな録画を実現します。
このため、監視カメラシステムのデータ保存に最適な選択肢となっています。
さらに、WD Purpleには次の2つの種類があります。
- WD Purple
- WD Purple Pro
WD Purple
WD Purpleは、家庭用や中小規模の監視システム向けに設計されています。
このモデルは、最大64台のHD監視カメラの映像を同時に記録できるように最適化されており、24時間連続稼働を前提とした信頼性の高い性能を提供します。
年間180TBのワークロードと最大100万時間のMTBFに対応しており、一般的な監視用途には十分な耐久性を備えています。
WD Purple Pro
WD Purple Proは、より大規模な監視システムや商業用エンタープライズ環境に適した高性能モデルです。
このモデルは、最大64台のHD監視カメラの映像に加え、32台の同時AIストリームを同時に記録できるよう最適化されています。
さらに、年間550TBのワークロードと最大250万時間のMTBFに対応しており、より過酷な使用条件でも安定したパフォーマンスを提供します。
AIストリームとは、AI(人工知能)機能を活用したビデオ分析やデータ処理を行うための映像ストリームのことを指します。
例えば、映像から顔認識、物体検知とトラッキング、ナンバープレートの認識、異常検知、人物属性の分析などを行うことができます。
これらの分析には頻繁なデータの読み書きが発生するため、HDDには高負荷な状況にも耐えられる信頼性と耐久性が求められます。
加えて、WD Purple Proは、耐振動性能の向上や、高温環境でも安定した動作を実現する設計となっており、複数台のドライブが同時に稼働する環境でも信頼性を維持します。
WD Red
WD Redは、特にNAS(ネットワークアタッチドストレージ)環境での使用を目的として設計されたHDDシリーズです。
24時間365日の連続稼働を前提にしており、家庭・小規模オフィスからエンタープライズ環境向けの大規模なNASシステムまで幅広く対応しています。
このシリーズは、信頼性と耐久性を重視しており、データの安全性を確保するためのさまざまな技術が搭載されています。
例えば、NASware 3.0というファームウェアが組み込まれており、互換性やパフォーマンスを向上させるとともに、データの整合性を保つ役割を果たします。
また、WD Redは低消費電力設計となっており、エネルギー効率が高い点も特徴で、長時間の運用でも電力コストを抑えることができます。
1~14TBとさまざまな容量が用意されており、ユーザーのニーズに応じて選択することができます。
さらに、WD Redには次の3つの種類があります。
- WD Red
- WD Red Plus
- WD Red Pro
WD Red
WD Redは、主に個人や小規模オフィス向けのNAS(ネットワーク接続ストレージ)用に設計されています。
このモデルは主に、5,400 RPMの低速回転を採用しており、低消費電力と低発熱を実現しています。
初期モデルではCMR(Conventional Magnetic Recording)方式を採用していましたが、現行モデルではSMR(Shingled Magnetic Recording)方式が採用されています。
SMRは記録密度を高める技術ですが、書き込みパフォーマンスが劣る場合があるため、頻繁に書き込みを行う用途では注意が必要です。
年間180TBのワークロードと100万時間のMTBFに対応しており、比較的軽いデータアクセスが想定される環境に向いています。
WD Red Plus
WD Red Plusは、中小規模のNAS環境での使用に適しています。
個人用よりも頻繁なデータの読み書きが求められる場合に選ばれるモデルです。
5,400 RPMまたは7,200 RPMの回転速度を持つモデルがあり、WD Redよりも高いパフォーマンスを提供します。
また、全てのモデルがCMR方式を採用しており、安定した書き込み性能を発揮します。
WD Red Plusも年間180TBのワークロードに対応しています。
WD Red Pro
WD Red Proは、大規模なNASやエンタープライズ環境向けに設計されたモデルです。
このシリーズは、高い信頼性とパフォーマンスが求められる用途に適しており、回転速度は7,200 RPMで、他のRedシリーズに比べてより高速なデータ転送と短いアクセス時間を実現しています。
全モデルがCMR方式を採用し、年間550TBという高いワークロードに加え、最大250万時間のMTBFに対応しているため、24時間稼働が求められる厳しい環境でも安心して使用できます。
さらに、WD Red Proは大容量のキャッシュを備えており、NAS環境での多台数稼働を想定して振動や衝撃に対する耐性が強化されています。
WD Gold
WD Goldは、特に企業向けのデータセンターやサーバー環境に最適なHDDシリーズです。
高い信頼性と耐久性を誇り、24時間365日の連続稼働を前提に設計されています。
容量も1~24TBと幅広く、扱うデータ容量に応じて柔軟に対応することができます。
さらに、WD Goldは振動保護技術やエラーリカバリ制御などの高度な機能を備えており、データの整合性を確保します。
これらの特長により、WD Goldはミッションクリティカルなアプリケーションや大規模なデータストレージにおいて、信頼性の高い選択肢となります。
WD Black
WD Blackは、HDDシリーズの中でも特に高性能を誇るモデルです。
主にゲーマーやクリエイター向けに設計されており、高速なデータ転送速度と大容量を兼ね備えています。
データの読み書き速度が速く、複数のタスクを同時に処理する能力に優れているため、ゲームのロード時間を短縮したり、大容量の動画や画像をスムーズに編集することができます。
また、耐久性も高く、長期間にわたって安定したパフォーマンスを提供してくれます。
ただし、データ転送速度については、WD HDDの他シリーズと比べての話なので、ロード時間の短縮や動画編集においてデータ転送速度を求めるのであれば、SSDにするべきですね。
WD Green
WD Greenは、WDのHDDシリーズの中でも特に省電力性に優れたモデルです。
主にデータ保存やバックアップ用途に適しており、低消費電力で静音性が高く、低発熱なのが特徴です。
これにより、長時間の運転でも電力消費を抑え、環境に優しい設計となっています。
しかし、WD Greenは、2015年にWD Blueと統合されたため現在は生産・販売されていません。
まとめ:特徴や用途を知って適切なものを選ぼう!
WDがどういう企業なのか、WDのHDDで展開しているシリーズ別の特徴、用途、違いなどを解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- WDは世界的なストレージソリューション企業
- HDDのシェアが高く、自作PCでは圧倒的
- 用途別にシリーズ分けがされている
- WD Blue:一般用途向け
- WD Purple:監視カメラシステム向け
- WD Red:NAS向け
- WD Gold:エンタープライズ向け
- WD Black:ゲーミングおよび高性能PC向け
最近主流のストレージ構成としては、NVMe SSD 1台の構成が圧倒的に人気なので、HDDを使う機会は少なくなっています。
ひとまずメインストレージをSSDにしつつも、その上で、データ転送速度が必要のない、かつ、データ容量を確保したい場合に、HDDは選択肢になってきます。
そうなった時に、WDであれば高い信頼性と耐久性を兼ね備えているので、安定したパフォーマンスを発揮してくれます。
実際に私は今までに、WD Blue, WD Red, WD Greenを5,6台使ったことがありますが、どれも初期不良や早期の故障するということはありませんでした。
1日8~24時間使っても、3~5年は持っていますし、中にはそれ以上使い続けているものもあるので、きちんと寿命を全うしてくれるという信頼性はありますね。
そのため、HDDを搭載する際は、信頼性や耐久性、シェア的にもWDは選択肢に入ってくるかなと思います。
後は、WD Blue, WD Purple, WD Red, WD Gold, WD Blackとシリーズが様々ですが、単純にデータ容量を増やすのであればWD Blueで大丈夫ですし、NAS向け、監視カメラ向け、企業向けなど様々な用途に対応しているので、適切なものを選びましょう。
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
≫ ツール:自作PCパーツの見積もり・互換性チェックツール