パソコンの頭脳と言われるCPUですが、もう一歩踏み込んで、CPUの性能の直結する「コア」や処理の仕組みに関わる「スレッド」ついて解説していきます。
これらの知識を知っておくことで、CPUをよりスムーズに選ぶことができるようになります。
- コア:命令を処理する計算ユニット
- スレッド:同時に処理できるタスクの数
- マルチスレッド技術:1コアで2スレッド(2つのタスク)を実行できる
- コア数が多い方が高性能(クロック周波数が同じ場合)
- 近年のCPUはほぼ全てマルチスレッドに対応
- ただし、IntelのPコア・Eコアの内、Eコアは非対応
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CPUのコアとスレッドについて
CPUのコアとスレッドについて理解することは、パソコンの性能を理解する上で重要です。
コアは命令を処理する計算ユニットであり、スレッドは同時に処理できるタスクの数を指します。
コア:命令を処理する計算ユニット
コアは、CPUの中で命令を処理する計算ユニットで、物理的なハードウェアです。
コアは複数搭載されているのが一般的で、コンシューマー向けのCPUでは6~24コア、サーバー・ワークステーション向けのCPUでは16~128コア搭載されています。
これらのコアは独立して命令を実行するので、複数のタスクを同時に処理することが可能になります。
例えば、24コアのCPUであれば、24個の物理コアを持ち、同時に24個のタスクを処理することができます。
ケンさん
スレッド:同時に処理できるタスクの数
スレッドは、同時に処理できるタスクの数を示します。
コア1つに対して1スレッドが基本でしたが、1つのコアで同時に2つのスレッドを処理できるマルチスレッド技術により、複数のタスクを実行することができます。
例えば、6つのコアを持つCPUが各コアに2つのスレッドを持つ場合、合計で12個のタスクを同時に処理することが可能です。
このスレッドの数が多いほど、CPUはより多くのタスクを効率的に処理できるため、パフォーマンスが向上します。
ただし、CPUによって、マルチスレッドの対応・非対応があります。
最近では非対応のCPUはあまりないですが、非対応の場合は1つのコアに対して1スレッドで、対応している場合は1つのコアに対して2スレッドとなります。
マルチスレッドの説明の際によく例えられるのが料理です。
実際にやると危ないですが、料理人(1つのコア)が、同時に両手で調理(2つのスレッド)できるのがマルチスレッドです。
マルチスレッド非対応の場合は、1人の料理人に1つの調理しかできません。
また、最近のCPUではコアが複数あることが当たり前ですが、そのコア数分、両手で調理ができる料理人がズラッと並んでいるというイメージです。
コアとスレッドの違いと例
コアとスレッドの違いは、コアが物理的な処理単位であるのに対し、スレッドはそのコアが処理するタスクの単位であるという点です。
具体的には、コアはCPUの中にある実際の演算装置で、複数のコアを持つCPUは同時に複数の処理を行うことができます。
一方、スレッドはソフトウェアが実行する一連の命令の流れで、1つのコアが2つのスレッドを処理することができます。
Windows上で、1つの物理コアを仮想的に2つと認識するので論理コアと言います。
CPUのコアについて
CPUのコアは、パソコンの性能に大きな影響を与える重要な部分です。
また、IntelのCPUは少し特殊で、PコアとEコアという2種類のコアに分かれています。
コア数の違いによるパフォーマンスへの影響
CPUの性能は、主にコア数とクロック周波数で決まるので、コア数が増えればその分システムのパフォーマンスは向上します。
作業者の処理能力(クロック周波数)が同じであれば人数(コア数)が多い方が有利なのと同じです。
実際に、コア数の違うCPU(クロック周波数は同じ)で比較してみましょう。
AMD Ryzen 7 8700G | AMD Ryzen 5 8400F | |
---|---|---|
コア数 | 8コア / 16スレッド | 6コア / 12スレッド |
クロック周波数 | 4.2GHz(Max:5.1GHz) | 4.2GHz(Max:4.7GHz) |
スコア | 31,723 | 24,375 |
1コア当たりのスコア | 3,965.375 | 4,062.5 |
最大のクロック周波数に若干違いはありますが、ベースクロック周波数は同じです。
また、CPUの設計や構造による違いがでにくいように、同じメーカー、ブランド、世代のRyzen 8000シリーズから選んでいます。
Ryzen 7の方がRyzen 5より2コア多くなっており、それに伴ってスコアも高くなっています。
また、1コア当たりのスコアは、誤差範囲の違いはありますが、どちらも大体4,000ポイントです。
そのため、Ryzen 7の方が単純にコアの多さによって性能が高くなっていると言えます。
コア数だけで決まるわけではありませんが、一般的にコア数が多い方が高性能と言えます。
また、複数のプログラムを同時に実行したり、複雑な計算、大量の計算を必要とするプログラムを実行したりする際には、コア数の多いCPUの方が有利です。
例えば、3Dゲームや動画の辺コードなどの複雑かつ大量の計算が必要となる高負荷な用途ですね。
3Dゲームをプレイしながら動画をエンコードする場合、複数のコアがそれぞれのタスクを分担するため、どちらの作業もスムーズに進行します。
一方で、普段使いやビジネス用途などの軽い用途で使う場合は、コア数が多くても使いきれず持て余してしまう場合が多いでしょう。
大は小を兼ねるということで、コア数の多い高性能なCPUを選んでも良いですが、その分CPUやパソコンの価格が上がることになるので、そこを納得できるかどうかという話になってきます。
ちなみに、今回はたまたまクロック周波数が同じものを選びましたが、パーツ選定の際に候補となるCPUのクロック周波数が同じになることほぼありません。
そのため、単純にコア数だけで、どちらのCPUの性能が良いかを比較することができないので、比較する際はベンチマークのスコアを参考にします。
Intel CPUはPコアとEコアの2種類
IntelのCPUは、第12世代のAlder Lakeより、PコアとEコアの2種類のコアを使うハイブリッドアーキテクチャを採用しています。
この新しい設計により、CPUは異なるタスクに対して最適なコアを使用することで、パフォーマンスと電力効率を向上させることができます。
Pコアについて
Pコアは、パフォーマンス(Performance)コアのことで、高いシングルスレッド性能を持ち、ゲームや動画編集、3Dレンダリングなどの高負荷な作業に最適です。
これらのコアは、クロック周波数が高く、複雑な計算を処理する能力に優れています。
Eコアについて
Eコアは、効率(Efficiency)コアのことで、消費電力を抑えながら、多くのタスクを並行して処理する能力を持っています。
低めのクロック周波数で動作し、バックグラウンドで実行されるタスクや軽負荷の作業に適しており、シンプルなタスクを効率的に処理します。
この2種類のコアを組み合わせることで、IntelのCPUは高いパフォーマンスと省電力性を両立させています。
CPUのスレッドについて
CPUのスレッドは、コンピュータの処理能力を向上させるための重要な要素です。
スレッドは、プログラムの実行単位であり、複数のスレッドを同時に実行することで効率的に作業を進めることができます。
マルチスレッド技術について
マルチスレッド技術は、CPUメーカー毎に呼び方が異なります。
- Intel:インテル・ハイパースレッディング・テクノロジー
- AMD:同時マルチスレッディング(SMT)
基本的に、CPUのコア1つに対して、1つのスレッドしか処理はできません。
しかし、マルチスレッド技術を使うことで、1つのコアで同時に2つのスレッドを処理できるようになります。
これらの技術により、CPUはより多くのタスクを効率的に処理できるようになり、特にマルチタスクや高負荷のアプリケーションでその効果が高いです。
最近のCPUでは、マルチスレッドになっていることが一般的ですが、IntelのEコアのように対応していないものもあります。
マルチスレッド対応CPUの見分け方
マルチスレッド対応CPUを見分ける方法は次の2通りです。
- コア数とスレッド数が同じかどうか
- マルチスレッド技術に対応しているかどうか
マルチスレッドに対応しているCPUであれば、コア数とスレッド数が必ず違うので、この数字に違いがあればマルチスレッドに対応していると考えていいでしょう。
例えば、8コア / 16スレッドであればマルチスレッドに対応していて、8コア / 8スレッドであればマルチスレッドには非対応です。
また、IntelのPコア、EコアのあるCPUでは、Pコアのみが対応しているので、必ずしもスレッド数がコア数の2倍になるわけではないので注意しましょう。
もう一つが、製品仕様を確認して、マルチスレッド技術に対応しているかどうかを確認する方法です。
Intel CPUの場合はインテル・ハイパースレッディング・テクノロジー、AMDの場合は同時マルチスレッディングの項目を見ると分かります。
価格比較サイトやベンチマークサイト、CPUなどの解説サイトなどでは、コア数とスレッド数も書いてくれることが多いですが、マルチスレッドに対応しているかどうかは記載がないことが多いです。
そんな時、わざわざ製品仕様を見に行くのは手間なので、コア数とスレッド数から判断するのが手っ取り早いですね。
とは言え、直近4世代ぐらいは、全てのCPUでマルチスレッドに対応しているので、あまり詳しく見る必要はないかもしれません。
10年ほど前であれば、CPUによってマルチスレッドの対応状況は半々ぐらいだったので、この対応状況もCPUを決める大事な要素でしたが、最近ではあまり関係ないですね。
コア数とスレッド数のどちらを優先すべきか
物理コア数と論理コア数が同じCPUの場合、どちらの方がパフォーマンスが上がるのかについてですが、これは物理コアが多い方が有利です。
例えば、次のようなCPUがあったとします。
- 4コア / 8スレッド
- 8コア / 8スレッド
この場合は、どちらのCPUも、8つの処理を同時に実行できることを意味しますが、より高速に処理できのは後者の「8コア / 8スレッド」となります。
つまり、物理コアが多い方が有利です。
マルチスレッド技術による1つのコアで2つの処理が実行できるのは、それぞれ違う種類の処理を割り当てられるからです。
CPUコアには、数値・論理演算、浮動小数点演算、制御ユニット、メモリ管理ユニットなど様々な情報処理をすることができます。
特定の処理をしているときに、暇になっている別の処理に仕事を割り振ることで同時に処理を実行しています。
そのため、同じ種類の処理をしているときは、同時に処理することができないので、物理コアが多い方がパフォーマンスは高いです。
CPUのコア数とスレッド数の確認方法
CPUのコア数とスレッド数の確認方法について説明します。
パソコンに搭載しているCPUの確認方法
自分のパソコンで使っているCPUのコア数・スレッド数を調べるには、タスクマネージャーを使います。
タスクマネージャー
タスクマネージャーの開き方は、次の2通りです。
- タスクバー(※)を右クリックして、[タスクマネージャー]をクリック
- Ctrl + Shift + Escキーの同時押し
※画面下のWindowsマークやアプリ、時計などがあるバーのこと。
タスクマネージャーが開いたら、[パフォーマンス]タブをクリックし、左側のメニューから[CPU]を選択します。
この右下あたりのところで、コア数と論理プロセッサ数(スレッド数)を確認することができます。
CPUの製品仕様から調べる
自分のパソコンのCPUではなく、パソコンの購入や自作PCの組み立てなどのCPUを選ぶ段階で確認したい場合は、製品仕様を確認します。
IntelとAMDのCPUを例に解説していきましょう。
[物理コア数]、[スレッド総数]と言う項目で記載されていますね。
もっと下の方に行くと[インテル ハイパースレッディング・テクノロジー]がありますが、これが[Yes]になっていれば、1コア当たり2つのスレッドで処理できることを意味します。
ただし、最近のIntel CPUは、PコアとEコアに分かれており、この内Pコアしかマルチスレッドに対応していないので、単純にコア数×2がスレッド数と言うわけではありません。
このCPUの場合は、Pコア:8、Eコア:16コアなので、8(Pコア) × 2 + 16(Eコア)= 32スレッドとなります。
[CPU コア数]、[スレッド数]と言う項目で記載されていますね。
マルチスレッディング(SMT)が[はい]になっているので、1コア当たり2つのスレッドで処理できるので、スレッド数はコア数の2倍ですね。
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まとめ:コアは計算ユニット数、スレッドは同時に処理できるタスク数
パソコンや自作PCでCPUを選ぶ際によく出てくるコアとスレッドについて解説しました。
- コア:命令を処理する計算ユニット
- スレッド:同時に処理できるタスクの数
- マルチスレッド技術:1コアで2スレッド(2つのタスク)を実行できる
- コア数が多い方が高性能(クロック周波数が同じ場合)
- 近年のCPUはほぼ全てマルチスレッドに対応
- ただし、IntelのPコア・Eコアの内、Eコアは非対応
CPUの性能は、クロック周波数も関わってくるので、単純にコア数だけでは比較することができません。
そのため、CPUの性能にはベンチマークのスコアを使って比較することになりますが、自作PCでパーツを選んでいく上では、ただ数値として比較するだけでなく、コアやスレッドと言った概念や仕組みの部分を理解することも大切です。
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