PCケースのドライブベイは、主にストレージを取り付けるためのスペースで、ストレージなどの構成によって必要なドライブベイの種類、個数が変わってきます。
適切なドライブベイの種類、個数ではないPCケースを選んでしまうと、ストレージを搭載することができなくなってしまいます。
そこでこの記事では、PCケースのドライブベイの役割や種類、PCケースのドライブベイの仕様の見方などを解説していきます。
- ドライブベイは主にストレージを取り付けるスペース
- 4種類のドライブベイがあり用途が決まっている
- 搭載するストレージの種類と数に合わせてドライブベイの仕様を確認
- シャドウベイ(内部ベイ)はストレージ用で外部からアクセスする必要のないもの
- 光学ドライブや拡張パーツを取り付けるための5.25インチベイは外部からアクセスできる
- 最近はNVMe SSDを使う構成が多く、ドライブベイを使わないことも増えている
- ドライブベイの仕様表記には「2.5/3.5共有」や「+1」などがあり、注意が必要
PCケースのメーカーやサイズなどの基本知識、性能面や互換性の観点から選び方も解説しています。
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目次
PCケースのドライブベイの基本
PCケースにおけるドライブベイの基本について解説していきます。
ドライブベイとは?
ドライブベイとは、PCケース内に設けられたスペースのことで、ストレージやその他の拡張パーツを取り付けるために使用されます。
具体的には、SATA SSD、HDD、光学ドライブ、カードリーダーなどを固定するための物理的なスペースを指します。
※この記事では、NVMe SSDを区別するためSATA SSDと記載しています。
主にストレージを取り付けるためのスペースなので、ストレージの構成に応じてドライブベイの種類と個数が合っているPCケースを選ぶ必要があります。
4種類のドライブベイと用途
PCケースのドライブベイには4種類あり、それぞれ何を取り付けることができるか用途が決まっています。
ドライブベイの種類 | 用途 |
---|---|
2.5インチドライブベイ | SATA SSD |
3.5インチドライブベイ | HDD |
2.5/3.5共有インチドライブベイ | SATA SSD、HDD |
5.25インチドライブベイ | 光学ドライブ、カードリーダーやUSBポートなどの拡張パーツ |
このようにドライブベイの種類ごとに用途が決まっているので、自分が選んでいるストレージ構成に合わせてPCケースを選ぶ必要があります。
2.5インチドライブベイしかないPCケースもあれば、5.25インチドライブベイがないPCケースもあるので、デザインや価格などで判断してPCケースを決めてしまうと搭載できない場合もあるので注意しましょう。
最近では、NVMe SSDのみのストレージ構成が約8割なので、ドライブベイを使う機会も少なくなっています。
そのため、ストレージ構成によっては気にしなくても良いですが、SATA SSD、HDD、光学ドライブなどを使う場合、ストレージを多数搭載する場合は、しっかりと仕様を確認しましょう。
シャドウベイとは?
シャドウベイとは、PCケース内に設置されるドライブベイの一種で、外部から直接アクセスできない場所に配置されているものを指します。
例えば、次のように表記されます。
・内部3.5インチ×2、内部2.5インチ×2、外部5.25インチ×2
「シャドウベイ」の他にも例のように「内部」と表記されたり、内部に対して「外部」と表記されます。
外部ベイはケースの外からアクセスできるドライブを取り付けるためのもので、内部(シャドウ)ベイはケース内部に収まるドライブ用です。
基本的には、2.5インチ、3.5インチドライブベイが「内部(シャドウ)」、5.25インチドライブベイが「外部」になるのが一般的です。
例えば、2.5インチ、3.5インチドライブベイにストレージを搭載する場合は、増設・換装などを除き、普段パソコンを使う上では外部からアクセスする必要はありません。
そのため、これらのドライブベイは完全にPCケース内部にスペースが設けられています。
一方で、「外部(シャドウ)」は光学ドライブやUSBポート、カードリーダーなどの拡張パーツを取り付けることになりますが、DVDを入れる部分やUSBポート、SDカードの挿入口は、ユーザーがアクセスできるようにする必要があります。
そのため、5.25インチドライブベイはPCケースのフロント部分に挿入口が出てくるような構造になっています。
PCケースのドライブベイの種類
PCケースのドライブベイの種類について解説していきます。
一般的にはこの4種類になるので、ストレージ構成や将来の拡張性を考えて、どの種類のドライブベイがそれぞれ何個あるかを確認してPCケースを選ぶことになります。
2.5インチドライブベイ
2.5インチドライブベイは、主にSATA規格のSSDを取り付けるためのスペースです。
最近では、マザーボードのM.2スロットに取り付けるNVMe SSDが使われることが多いので出番は少なくなっていますが、サブストレージなどで2台目以降にSATA SSDを取り付けたい場合、気軽にストレージを増設したい際に使われることが多いですね。
ケンさん
3.5インチドライブベイ
3.5インチドライブベイは、主にHDDを取り付けるためのスペースです。
小型PCケースやごくまれに普通のPCケースでも3.5インチドライブベイがないことがあるので注意が必要です。
最近ではHDDを搭載するユーザーは少なくなっていますが、もし、搭載する場合はそもそも3.5インチドライブベイが付いているか確認しておきましょう。
ケンさん
2.5/3.5共有インチドライブベイ
2.5/3.5共有インチドライブベイは、2.5インチと3.5インチの両方のドライブを取り付けることができる柔軟なベイです。
つまり、SATA SSDとHDDの両方に対応していて、1つのドライブベイに対してSATA SSDかHDDのどちらか1つを取り付けることができます。
PCケースのドライブベイの仕様に「2.5/3.5」「共有」「共用」「Combo」といったワードがあれば、両方に対応していることを意味します。
この共有タイプのドライブベイは両方に対応しているので、省スペースでありながらも汎用性が高く、最近のPCケースのほとんどが採用しています。
これにより、ユーザーはストレージの選択肢を広げ、必要に応じて異なるサイズのドライブを組み合わせて使用することが可能になります。
5.25インチドライブベイ
5.25インチドライブベイは、光学ドライブやその他の拡張パーツを取り付けるためのスペースです。
かつては、CD/DVD/Blue-rayドライブを取り付けるために多くのPCケースに標準装備されていましたが、近年では光学メディアの使用頻度や需要が減っているため、そもそも搭載されていないケースも増えています。
そのため、5.25インチドライブベイが必要なパーツがある場合は必ずこのドライブベイがあるか確認しましょう。
光学ドライブ以外の拡張パーツとしては次のようなものがあります。
- カードリーダー
- SSD / HDDマウンタ
- USBポートやオーディオジャックの拡張ユニット
写真・動画撮影でSDカードを使う方が多い方で、スムーズにデータの移動をしたい場合にカードリーダーがあると便利ですね。
また、他の要素が気に入ってPCケースを選んだものの5.25インチドライブベイを使う予定がないという場合に、ストレージのドライブベイとして使うこともできます。
他にも、多くのUSBデバイスを抜き差しすることが多い場合に、フロントパネル部分のUSBポートを増やすことで利便性が高くなりますね。
このように、拡張パーツを取り付けることで、よりコアな需要に対応することができます。
ドライブベイの表記・見方
PCケースのドライブベイの仕様の表記・見方について解説していきます。
中にはややこしい表記もあったりするので、間違えないように例と共に見ていきましょう。
基本的な表記・見方
PCケースのドライブベイの基本的な仕様の表記例は次の通りです。
・2.5インチSSD×5、3.5インチHDD×2
・2.5インチSSD×4、3.5インチHDD×4、5.25インチ×1
・内部3.5インチ×2、内部2.5インチ×2、外部5.25インチ×2
1行分がPCケース1台の仕様で、いくつかのパターンをリストアップしました。
細かくはPCケースメーカーや製品ごとに変わってくるのですが、基本的には、2.5インチ、3.5インチ、5.25インチドライブベイがそれぞれ何個あるか記載されています。
ここは非常にシンプルでわかりやすい表記なので間違えることはないかと思います。
2.5/3.5共有ドライブベイがある場合
2.5/3.5共有ドライブベイがある場合の表記例は次の通りです。
・3.5/2.5インチベイ×2、2.5インチベイ×1
・3.5/2.5インチ共用シャドウベイ×2、2.5インチ専用シャドウベイ×3
・内部2.5/3.5インチ×2、内部2.5インチ×1
・5.25インチ×1、2.5インチ/3.5インチ(COMBO)×2、2.5インチ×2
1行目の仕様例では、2.5インチベイでも3.5インチベイでも使えるベイが2つ、2.5インチベイが1つあることを意味します。
つまり、次のようなストレージ構成が可能となります。
- SATA SSD 3台
- SATA SSD 2台、HDD 1台
- SATA SSD 1台、HDD 2台
共有ドライブベイがあることによって、別々に用意するよりも省スペースで色々なストレージ構成に対応することができます。
「2.5/3.5」の他にも「共有」「共用」「Combo」「コンボ」といったワードがあれば、共有ドライブベイとなります。
また、2行目の仕様例のように「共用」に対して、1つのサイズにしか対応していない場合は区別が付きやすいように「専用」と表記されている場合もあります。
2.5/3.5共有ドライブベイの数がそれぞれ違う場合
・3.5インチ HDD ×1 or 2.5インチ SSD ×2
・3.5インチ HDD ×2 or 2.5インチ SSD ×4
・内部3.5インチ x 2 (2.5インチ x 3と互換)
先程紹介した例では、共有ドライブベイの2.5インチと3.5インチは同じ数でした。
しかし、今回の例のように、2.5インチと3.5インチで取り付けることができるストレージの数が異なる場合もあります。
1行目の例では、3.5インチとして使う場合は1つ、2.5インチとして使う場合は2つ取り付けることができます。
この場合は「or」で区切られていたり、「互換」と書かれていたりするのが一般的ですね。
+1がある場合
ドライブベイの種類と個数の後ろに「+1」といった表記がある場合があります。
・3.5インチベイ×2、2.5インチベイ×2+1
・3.5インチドライブベイ×1、2.5インチドライブベイ×3+1(3.5インチドライブベイから変換)
「+1」という表記は、標準的なベイに加えて、追加的に使用できるベイを示しています。
この追加ベイは、通常の取り付け方法とは異なる方法で取り付ける必要がある場合や特定の条件下でのみ使用可能なことがあります。
主に次のような意味合いで「+1」と記載されることがあります。
- 変則的な取り付け位置
ケース内部の空きスペースや裏面に取り付けることで、標準のベイとは異なる場所にドライブを設置可能な場合。
例:電源ユニット上部、ケーブル配線スペースの裏面など。 - 取り付けアダプタやトレイを使用した追加
標準のベイにアダプタを用いることで異なるサイズのドライブを追加できる場合。
例:3.5インチベイに2.5インチドライブを取り付けられるアダプタを使用して「+1」のような拡張性を持たせる。 - 拡張ブラケットを使用
追加のブラケットやオプションパーツを用いることで、ケース内のベイ数を増やす場合。
例:ケースの側面や上部に取り付けられる追加ブラケット。
例えば、「2.5インチベイ×2+1」と表記される場合、標準的に2つの2.5インチドライブを取り付けられるベイがあり、さらにもう1つの取り付けることができることを意味します。
この「+1」は、追加の取り付けスペースがあるものの、他のスペースなどと共有されるか、他のドライブや拡張カードが取り付けられていない場合などの特定の条件下のみ使用できることが多いです。
このように「+1」の表記は、標準的なベイ数を補完するオプション的な取り付け位置を示しています。
私がPCケースのドライブベイを見る際は、仕様と実際にPCケースの画像を見てどのあたりにドライブベイがあるかを確認します。
通常の表記であれば大体画像を見て分かるのですが、「+1」となっている場合は正直画像を見ただけでは、どこに取り付けることができるのか分からないことも多いです。
単純に場所が離れているところにあるので「+1」としていることもあれば、どこかのスペースと共有になっていて「+1」のドライブを使うことで別の場所で使えなくなるパターンもあります。
逆に言うと、別の場所を使うために「+1」を使えなくなってしまうことも考えられるため、「+1」も使う予定のストレージ構成を考えている場合は、最悪「+1」部分が使えなくなるリスクも考えておいた方がいいかもしれません。
その他特殊な場合
他にも、括弧書きなどで特定の条件が書かれていることがあります。
・3.5インチベイ×3(SFX電源搭載時最大)、または×2(ATX電源搭載時最大)
・2.5インチ×2(3.5インチ/2.5インチHDDブラケット×1付属)
・内部3.5インチ×2(水冷インストールなし)
・外部5.25インチ×2、内部3.5/2.5インチ共用×6、内部2.5インチ×2、(ストレージレイアウト時:外部5.25インチ×2、内部3.5/2.5インチ共用×8、内部2.5インチ×2)
例えば、1行目の場合は、SFX電源搭載時は3.5インチベイが3つ、ATX電源搭載時は3.5インチベイが2つです。
電源ユニットに規格によって大きさが違うので、それによって搭載できるストレージ数が変わってきます。
3行目は空冷式CPUクーラーを使う場合は、内部3.5インチ×2を使えるという意味ですね。
また、4行目は、PCケースによってはブラケットを着脱することによってレイアウトを変えることができ、ストレージ用のブラケットを付けるなどして、ストレージを重視したレイアウトにすることにより、内部3.5/2.5インチ共用が2つ追加されることを意味しています。
このように様々な条件が書かれていることがあるので、ストレージを複数台、あるいは仕様上MAXで搭載する場合は、一度PCケースの公式ホームページの製品仕様を確認することをおすすめします。
まとめ:必要なベイを確認してそれに合うPCケースを選ぼう!
PCケースのドライブベイの基本や種類、仕様の表記について解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- ドライブベイは主にストレージを取り付けるスペース
- 4種類のドライブベイがあり用途が決まっている
- 搭載するストレージの種類と数に合わせてドライブベイの仕様を確認
- シャドウベイ(内部ベイ)はストレージ用で外部からアクセスする必要のないもの
- 光学ドライブや拡張パーツを取り付けるための5.25インチベイは外部からアクセスできる
- 最近はNVMe SSDを使う構成が多く、ドライブベイを使わないことも増えている
- ドライブベイの仕様表記には「2.5/3.5共有」や「+1」などがあり、注意が必要
最近では、マザーボード上にあるM.2スロットを使ったNVMe SSDを1台搭載するというストレージ構成が多いので、ドライブベイ使わないユーザーも多いです。
しかし、パソコンの使用用途的にストレージをたくさん搭載したい場合は、ストレージの構成(SATA SSD/HDDの種類と個数)をしっかり決めた上で、それを搭載できるドライブベイがあるPCケースかどうかをしっかり確認しておきましょう。
また、将来的に容量が足りなくなった時に備えてストレージを増設することも考えている場合は、それも含めて考えておきましょう。
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