電源ユニットにケーブルには色々な種類があるので、パーツ構成に合わせて、必要な電源ケーブルの種類や本数をチェックしながら、電源ユニットを選んでいく必要があります。
そのため、どのケーブルが何のパーツに使われるのかを知っておかなければ、構成に合わせた電源ユニット選びができないので、本記事では電源ユニットのケーブルについて解説していきます。
パーツ構成に対して十分なケーブルの種類と本数があれば問題ありませんが、不十分な場合、電源ユニットを買い直しする必要が出てくることもあります。
- パーツ構成に合わせたケーブルの種類と本数を備えた電源ユニットを選ぶ
- 安い電源ユニット×大型なパーツ構成はケーブルの長さが足りなくなるおそれ
- 長さが足りない場合は、最悪延長ケーブルがある
- 将来増設するかもしれない場合は、余裕のあるものを選ぶ
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目次
電源ユニットのケーブルについて
電源ユニットのケーブルは、自作PC内の各パーツに電力を供給するために重要な役割を果たします。
まずは、ケーブルについて基本的な知識を押させておきましょう。
ケーブルの種類
電源ユニットのケーブルには、次のような種類があります。
- メインケーブル
- CPU補助電源ケーブル
- PCI Expressケーブル
- 12VHPWRケーブル
- SATAケーブル
- ペリフェラルケーブル
- FDDケーブル
それぞれ接続するパーツが異なるので、パーツ構成に合わせて必要なケーブルがあるか確認しつつ電源ユニットを選ぶ必要があります。
ケーブル毎の使い道については後程解説しますが、これを間違えてしまうと電源ユニットを買い直すことにもなりかねません。
とは言え、ケーブルの種類については、大抵の場合必要なものは網羅されているので、それほど意識する必要はないと思います。
ペリフェラルコネクタやFDDコネクタは、古い規格のパーツで使うものなので搭載されていないことが多いです。
そのため、これらのコネクタ・ケーブルが必要な場合は電源ユニットの仕様をよく確認しましょう。
コネクタ・ケーブル数
電源ユニットのケーブルの種類が網羅されているといっても、パーツ構成に応じて必要なコネクタやケーブル数が変わってきます。
メインケーブルのように1本だけの場合は問題ないのですが、それ以外のものはパーツ構成に応じて必要な本数をチェックしておく必要があります。
特に、PCI ExpressケーブルやSATAケーブルなどパーツ構成によって必要な数が全然違ってくるものもあるので、これは要チェックです。
ケーブルの長さ
電源ユニットのケーブルは、製品ごとに長さが決まっています。
大半の場合は、電源ユニットから各パーツまで問題なく接続できる長さですが、まれに届かないということが起きます。
特に、安い電源ユニットと大型のケースやマザーボードを使っているときに発生しやすいです。
安い電源ユニットはコスト削減の観点からケーブルが短くなる傾向があります。
また、フルタワーケースやExtended ATX規格のマザーボードなどの大型パーツの場合、パーツ間の距離が遠くなります。
この2つが重なってケーブルの長さ不足が起こりやすくなりますね。
この対策として、基本的にはこの2つを満たさないようなパーツ構成にするか、延長ケーブルで補うかです。
ケーブルについては電源ユニットの仕様を見れば書かれていることが多いですが、電源ユニットとパーツ間の距離は実際に組み立てないことには分かりません。
そのため、できるだけケーブルが長いものを選ぶということはできますが、どのくらいの長さのケーブルを持っている電源ユニットであればいいかを知ることはできないので、結局のところ買ってみて不足すれば延長ケーブルという形になります。
将来的な拡張性
将来的にストレージなどを増設したいと考えている場合は、最終的なパーツ構成を見越して必要なケーブルと本数のついた電源ユニットを選ぶ必要があります。
また、最初は増設するつもりはなくても、将来的に増設したくなる場合もあるので、本数に余裕のあるものを選ぶのも良いですね。
最近主流なパーツ構成であれば一般的な電源ユニットを選んでいても、ストレージや光学ドライブの増設ぐらいは問題なくできると思います。
しかし、グラフィックボードや古い規格のパーツを搭載したい場合は、対応するコネクタがあるか事前にチェックしておくべきですね。
パーツの知識や組み立てる技術があるので、後からでも自由にカスタマイズできるのが自作PCの強みです。
そのため、増設したい時に増設できるように、電源ユニットのケーブルの種類・本数は余裕のあるものにしておくことをおすすめします。
電源ユニットのケーブル・コネクタの種類
電源ユニットのケーブルにはさまざまな種類があります。
それぞれのケーブルは特定の用途に使用され、適切に接続することが重要です。
まずは、コネクタ別に画像と特徴をまとめた上で、その後詳しく解説していきます。
コネクタの種類 | 画像 | 特徴 |
---|---|---|
メインコネクタ (20+4ピン) | ・マザーボードに電力供給 ・20ピンと24ピンとして使用可能 ・現在は24ピンとして使う ・基本的に1本のみ | |
CPU補助電源コネクタ (4+4ピン) | ・CPUに追加の電力供給 ・4ピンと8ピンとして使用可能 ・高性能CPUに必須 ・1本か2本は付いている | |
PCI Expressコネクタ (6+2ピン) | ・主にGPUへの追加の電源供給 ・6ピンまたは8ピンとして使用可能 ・PCI Expressスロットの電力供給 ・GPUに1~3本接続することが多い | |
12VHPWRコネクタ (12+4ピン) | ・最新の高性能GPUへの追加の電源供給 ・高電力供給能力(最大600W) ・4ピンのシグナルピンで最適化 | |
SATA電源コネクタ | ・SSD, HDD, SSD, 光学ドライブに電力供給 ・1本のケーブルに2,3個のコネクタが付属 | |
ペリフェラル電源コネクタ | ・IDE規格の古いパーツに電力供給 ・3ピンまたは4ピン ・1本のケーブルに2,3個のコネクタが付属 ・ファンやLEDに使用 ・現在ではほぼ使用しない | |
FDD電源コネクタ | – | ・フロッピーディスクドライブに電力供給 ・現在ではほぼ使用しない |
メインコネクタ(20+4ピン)
メインコネクタ(20+4ピン)は、電源ユニットからマザーボードに電力を供給するための主要なケーブルです。
このコネクタは、20ピンと4ピンの部分に分かれており、古い20ピンのマザーボードにも新しい24ピンのマザーボードにも対応できるように設計されています。
20ピン部分は基本的な電力供給を行い、4ピン部分は追加の電力を供給するために使用されます。
これにより、互換性が広がり、さまざまなマザーボードに対応することができます。
ただし、20ピンは2000年前後のマザーボードの話なので、最近のもので20ピンを使うことはまずありません。
そのため、そもそも分かれていない24ピンを採用している電源ユニットもあります。
20ピンから24ピンに移行する過程で、この両方に対応しなければいけない時代があったため、20+4ピンという形になっています。
メインコネクタ以外にも、このような事情からピンが分かれていることがあり、それを示すために仕様では、”20+4ピン”と書かれることもあります。
CPU補助電源コネクタ(4+4ピン)
CPU補助電源コネクタ(4+4ピン)は、CPUに電源供給するためのケーブルです。
これも4+4ピンで分かれていますが、メインコネクタと同じ理由で現在で、8ピンで使うことがほとんどです。
元々、8ピンはサーバー向けのマザーボードから普及し始めましたが、今では一般向けマザーボードも8ピンとなっています。
メインコネクタだけでは電力が不足するような高性能なCPUの場合に、名前通り補助的に追加で電源供給するためのものでした。
しかし、最近のCPUでは昔と比べて全体的に性能も格段に高く、消費電力も多いので、ほとんど場合で補助電源を使うことになります。
PCI Expressコネクタ(6+2ピン)
PCI Expressコネクタ(6+2ピン)は、主にグラフィックカードに電力を供給するために使用されるケーブルです。
グラフィックボードの他にも、消費電力の高い拡張ボードに対して追加の電力を供給するために使用されます。
PCI Expressスロットからも電源供給(x16スロット:最大75W)がされますが、グラフィックボードなどの消費電力が大きいパーツの場合はスロット側では不十分なため、PCI Expressコネクタを使って追加で供給します。
このコネクタは、6ピンと2ピンの部分に分かれており、必要に応じて6ピンまたは8ピンとして使用することができます。
6ピンの場合は75W、8ピンの場合は150Wの電力を供給することができるため、高性能なグラフィックカードにも対応可能です。
最近では、さらに高性能化が進み消費電力も多くなっているので、PCI Expressを2,3本接続したり、12VHPWRコネクタという新しいコネクタもでてきたりしています。
12VHPWRコネクタ(12+4ピン)
12VHPWRコネクタ(12+4ピン)は比較的新しいタイプのコネクタで、最新の高性能グラフィックカードに対応するために設計された電源コネクタです。
このコネクタは、PCI Express 4.0/5.0規格の一部として導入され、以前の6ピンや8ピンのコネクタよりも多くの電力を安全に供給できるため、特に電力消費が大きいハイエンドなグラフィックカードに適しています。
NVIDIA GeForce RTX 30シリーズから少し登場し、RTX 40シリーズから多くの製品で採用されています。
12VHPWRコネクタには、電源供給用の12ピンとデータをやり取りするための4ピン(シグナルピン)があります。
シグナルピンは、GPUが実際にどれくらいの電力を消費しているかの電力のモニタリング、電源ユニットとGPUの間で必要な情報をやりとりするための通信機能が備わっています。
これにより、電力管理を最適化しているので、より安定した電力供給が可能となりました。
グラフィックボードの補助電源として、どのケーブルが何本必要か記載されていますが、その際に、12VHPWR、または、16ピンと書かれていることが多いです。
12VHPWRであれば分かりやすいですが、16ピンだとどのケーブルか分かりづらいので、16ピン=12VHPWRということは覚えておきましょう。
また、このコネクタを使用する際には、対応する電源ユニットとグラフィックボードが必要なので、対応しているかどうかは事前に確認してください。
高性能なグラフィックボードになると消費電力が高くなる傾向にあり、PCI Expressコネクタを2本, 3本と使うことが多いのですが、12VHPWRコネクタは1本で大きな電力を扱うことができます。
近年のグラフィックボードの高性能化、高電力化に伴い、PCI Expressコネクタでは本数が多くなってしまうため、12VHPWRコネクタが登場しました。
本数が多くなるとグラフィックボード側にもたくさんポートをつけないといけないですし、それによりポート部分や回路部分の場所を取ってしまうというのも理由かもしれませんね。
PCI Expressコネクタの6ピンが75W、8ピンが150Wであるのに対して、12VHPWRコネクタは、150W、300W、450W、600Wの4つに対応しています。
規格上はこの4つに対応しているものの、150WのPCI Expressコネクタが不足でこのコネクタが登場したことを考えると、実質300W以上のものが搭載されることが多いですね。
同じ12VHPWRコネクタでも供給できる電力が異なってくるので、搭載するグラフィックボードの電力に対して、PCI Express x16スロットから供給される75Wと残り12VHPWRコネクタからいくら供給する必要があるのか考えて選びましょう。
SATA(Serial ATA)コネクタ
SATA(Serial ATA)コネクタは、主にSSD(※)やHDD、光学ドライブなどのSATA規格のパーツに電力を供給するために使われます。
コネクタは15ピン構造で、3.3V、5V、12Vの3つの電圧を供給できるので、さまざまなパーツに対応できる柔軟性があります。
※M.2 SSDは直接マザーボードに接続するため、電源ケーブルは不要です。
パーツ1つに対して1つのコネクタが必要なので、自作PCに搭載する予定のストレージ(SATA SSD, HDD)の数に合わせて、十分な数のSATAコネクタを持つ電源ユニットを選ぶ必要があります。
例えば、2台のSSDと3台のHDDを使用する場合は、少なくとも5つのSATAコネクタが必要です。
ただし、将来的にストレージを増設する可能性も考えて、余分にコネクタがある電源ユニットを選ぶことをおすすめします。
ケンさん
電源ユニットから出ているSATA電源ケーブルは、通常、複数のコネクタが連なっており、一つのケーブルで複数のデバイスに電力を供給することができます。
これにより、ケーブルの数を減らし、内部のスペースを有効に活用することができます。
ペリフェラルコネクタ
ペリフェラルコネクタは、主に古いHDDや光学ドライブに電力を供給するために使用されるケーブルですが、最近では基本的に使いません。
最近のHDDや光学ドライブでは、SATA規格なのでSATAケーブルを使いますが、このケーブルは、IDE規格のパーツに使われます。
IDEとは、SATA規格が普及する前に使用されていた古い接続規格です。
かつては多くのデバイスで一般的に使われていましたが、現在ではSATAコネクタが主流となっているため、使用頻度は減少しています。
変換コネクタをかませて、ファンの電源供給などとして使われるパターンがギリギリあるぐらいです。
それでも、古いパーツをサポートするために、現代の電源ユニットにもペリフェラル電源コネクタが含まれていることが多いですね。
FDDコネクタ
FDDコネクタは、フロッピーディスクドライブ(FDD)に電力を供給するためのケーブルです。
かつては多くのパソコンに搭載されていたフロッピーディスクドライブですが、現在ではほとんど使用されなくなっています。
そのため、最新の電源ユニットにはFDD電源コネクタが付いていないことが多いです。
FDD電源コネクタは、4ピンの小さなコネクタで、他の電源コネクタと比べてサイズが小さいのが特徴です。
古いパソコンや特定の古いパーツを使用する場合には、このコネクタが必要になることがありますが、一般的にはほとんどのユーザーにとって重要ではありません。
まとめ:パーツ構成から必要なケーブルの種類・本数を把握しよう!
電源ユニットのケーブルやコネクタに関する基本的な知識とそれぞれの特徴・役割、何のパーツに接続するのかについて解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- パーツ構成に合わせたケーブルの種類と本数を備えた電源ユニットを選ぶ
- 安い電源ユニット×大型なパーツ構成はケーブルの長さが足りなくなるおそれ
- 長さが足りない場合は、最悪延長ケーブルがある
- 将来増設するかもしれない場合は、余裕のあるものを選ぶ
ケーブルには色々な種類があるので、パーツ構成に合わせて、必要な電源ケーブルの種類や本数をチェックしながら、電源ユニットを選んでいく必要があります。
そのため、どのケーブルが何のパーツに使われるのかを知っておかなければ、構成に合わせた電源ユニット選びができません。
間違ってしまうと1万円前後のものを買い直すはめになるので、気を付けて選びましょう。
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
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