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GPGPUとは?高い並列処理性能をグラフィック以外に活かす技術

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GPU

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近年、動画編集やAI開発などの分野で注目を集めている「GPGPU」。

本来はグラフィック処理専用だったGPUを一般的な計算処理にも活用する技術で、その圧倒的な処理速度によって作業効率を大きく向上させることができます。

 

本記事では、GPGPUとは何かという基本から、動画編集・AI学習・科学計算・映像制作・マイニングなど具体的な活用例をわかりやすく紹介します。

さらに、CPUとの性能差や実際に使った際の効果についても実体験をもとに解説していきます。

 

この記事の重要なポイント
  • GPGPUはGPUを汎用計算に応用する技術
  • 動画エンコード、AI学習、科学計算、物理エンジンなど幅広く活用できる
  • 大量のデータ処理や反復計算を高速化できるのが特徴
  • 動画編集のエンコード時間を約60%短縮
  • AI学習ではCPUの20~30倍の速度
  • GPGPUを活用するならNVIDIAのGPUが特におすすめ

 

 

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GPGPUとは

GPUの基本的な役割とその新たな応用について解説していきます。

 

GPUはグラフィック処理担当

GPU(Graphics Processing Unit)は、画像編集時のエフェクト処理や3Dゲームの描画処理、モニターへの映像出力など、主にグラフィックに関する計算処理を担当する専用のプロセッサです。

 

PCパーツとしては「グラフィックボード」に搭載されており、GPUとはそのグラフィックボード上に実装されている演算チップそのものを指します。

ゲームをするユーザーにとってはほぼ必須のパーツなので、馴染み深いかと思います。

 

厳密には異なるものですが、用途や構成が密接に結びついているため、一般的には「GPU=グラフィックボード」の理解でOKです。

 

グラフィック以外への活用がGPGPU

GPGPU(General Purpose computing on Graphics Processing Units)とは、本来はグラフィックス処理専用に設計されたGPUを科学技術計算や機械学習などの汎用的な数値計算にも活用する技術です。

 

GPUは、元々画像処理や映像出力といったグラフィック処理に特化しており、従来はそれ以外の用途で使用されることはほとんどありませんでした。

しかし、2006年頃に、NVIDIAがGPUで汎用計算を直接行えるプラットフォームとしてCUDAを発表してから、GPUの持つ高い並列処理能力に注目が集まり、グラフィック処理以外の用途にも活用されるようになってきました。

 

GPUは多数の演算ユニットを並列に持つ構造をしており、同時に多くのデータを処理することに優れています。

そのため、従来CPUでは時間がかかっていた大規模データの処理や反復計算を、より高速かつ効率的に実行することが可能になります。

 

現在では、機械学習、気象シミュレーション、ゲノム解析、金融モデリング など多様な分野でGPGPUが活用されており、特にディープラーニングのトレーニング処理においては、その能力が欠かせないものとなっています。

このように、GPUは単なるグラフィック処理用プロセッサという枠を超え、汎用計算用プロセッサとしての役割も担うようになっています。

 

 

GPGPU活用例

グラフィック処理以外で具体的にどういう処理にGPUが活用されているか具体例を紹介していきます。

 

動画編集のエンコード

動画編集において、エンコード処理は非常に重い作業のひとつです。

エンコード処理とは、編集した映像データを1つの動画ファイルとして出力・保存する処理のことを指します。

映像データを圧縮して保存するこのプロセスには大量の計算が必要で、特に高解像度の動画では処理時間が長くなりがちです。

 

GPGPU技術を使えば、GPUの並列処理能力をエンコード作業にも活用することができます。

多くの動画編集ソフトはこのGPGPUに対応しており、エンコード処理の一部をGPUに分担させることで、CPUだけで処理するよりも大幅に時間を短縮できます。

 

特に4Kや8Kといった高解像度の映像、あるいは複雑なエフェクトを多用するプロジェクトでは、GPGPUの効果が顕著です。

処理速度の向上により、クリエイターはより短い時間で高品質な動画を仕上げることができ、作業効率が大きく向上します。

 

AI学習(ディープラーニング・機械学習など)

AIの分野では、GPGPUの活用によって学習処理の効率が飛躍的に向上します。

特にディープラーニングでは、大量のデータを使ってニューラルネットワークをAI学習するため、非常に大きな計算リソースが必要になります。

この学習処理をCPUで行うこともできますが、GPUを使うことで20~50倍ほど高速化されるケースもあります。

 

ただし、すべてのAIアルゴリズムでGPUが使えるわけではありません。

例えば、ディープラーニングではGPUが積極的に活用されますが、遺伝的アルゴリズムなど一部の手法ではGPGPUを利用できないことがあります。

また、プログラミングする上で「どのライブラリを使うか」「どのモデルを構築するか」によってGPUを活用できるかどうかが変わってきます。

 

とは言え、AIの学習処理はAI開発の中でもっとも負荷が高く、時間がかかる工程です。

GPUを使えば、1週間かかっていた処理を数時間で完了できることもあり、開発や検証のサイクルを格段に速く回せるようになります。

 

また、学習時間が短縮されることによって、その分データ量を増やしたり、モデルのパラメータを増やすといった精度向上の工夫もしやすくなるというメリットもあります。

これからAIを学ぼうとしている方やAIを実際に動かして試してみたい方にとって、ハイエンドなGPUを選ぶ価値は非常に大きいと言えるでしょう。

 

科学計算・シミュレーション

GPGPUは、科学計算やシミュレーションの分野においても活用されています。

従来のCPUでは膨大な時間を要した大規模データの処理や複雑な数値計算も、GPGPUの持つ高い並列処理能力を活用することで、より短時間で実行できるようになりました。

 

例えば、気象予測や流体力学のように、非常に多くの要素が相互に影響し合う物理現象のシミュレーションでは、大量の計算を高速に処理する必要があります。

GPGPUは、これらの演算を同時並行で処理することに長けており、処理速度とシミュレーションの精度の両立に貢献しています。

 

また、分子動力学や天体物理学の研究においても、GPUを活用することで、より高解像度かつ現実に近いモデルを構築し、実験では得られないレベルの詳細な分析が可能になります。

このように、GPGPUは科学技術計算のボトルネックを解消し、研究や技術開発のスピードを飛躍的に向上させる手段として広く利用されています。

 

画像生成・3DCGレンダリング

画像生成や3DCGレンダリングといった分野は、もともとGPUが得意とするグラフィック処理に分類されます。

しかし、近年ではこのグラフィック処理の裏側でも、CUDAやOpenCLなどのGPGPU技術が積極的に活用されるようになってきました。

 

例えば、3Dモデルのレンダリングでは、光の反射や影、質感の表現など、多数の演算を同時に処理する必要があります。

これらの処理にGPGPUを用いることで、より高速かつリアルな描写が可能になり、制作時間の大幅な短縮にもつながります。

 

さらに、ディープラーニングを活用した画像生成の分野では、GPGPUはまさに中核的な技術です。

画像生成AIでは、ニューラルネットワークを使った大量の行列計算やパラメータ更新が必要となるため、GPGPUによる高速な演算処理が不可欠です。

 

このように、画像生成や3DCGレンダリングの分野では、従来のGPUによるグラフィック処理に加えて、GPGPUによる汎用計算も融合することで、より高品質で効率的なビジュアル表現が実現されています。

 

ゲーム録画・ストリーミングのエンコード

ゲーム録画やストリーミング配信では、リアルタイムでプレイ映像をエンコード(圧縮)し、高品質な動画として保存・配信する必要があります。

このエンコード処理は本来、CPUに大きな負荷をかける作業でしたが、現在ではGPGPU技術を活用することで、GPUがその処理の一部を担うことが可能になっています。

 

GPGPUにより、GPUがゲーム映像の描画と同時に、録画や配信のための映像エンコードも並列に処理できるようになります。

 

代表的な技術としては、NVIDIAのNVENCやAMDのAMFがあり、OBSなどの配信ソフトでも広く活用されています。

これらのハードウェアエンコーダーはGPGPUの一種で、ゲームのフレームレートを保ったまま、CPUにほとんど負荷をかけずに高画質な配信や録画を実現できます。

 

特に、4Kや高フレームレートの映像を扱う場面では、GPGPUによるエンコード支援が非常に効果的で、快適なゲームプレイと配信の両立を可能にしています。

 

リアルタイム映像処理・エフェクト

リアルタイム映像処理やビジュアルエフェクトの分野でも、GPGPUの活用が広がっています。

特に、膨大な演算を瞬時に処理する必要があるインタラクティブな映像制作やライブ映像演出ではその効果が顕著です。

 

GPUが持つ並列演算能力を活かし、従来CPUでは難しかったリアルタイム処理を可能にします。

例えば、光の反射、影の生成、流体や煙のような自然現象のシミュレーションなど複雑な視覚効果を映像にリアルタイムで反映させる処理において、GPGPUは中心的な役割を果たしています。

 

近年では、TouchDesignerやUnityなどの映像やビジュアル表現をリアルタイムに生成・操作・表示できるツールや、音楽に合わせて映像を変化させたり、MIDIコントローラーの操作に応じて映像効果を変えたりするVJ(ビジュアルジョッキー)などでもGPUを活用した処理が一般化しています。

これにより、ライブ演出やインタラクティブアートの分野でもGPGPU技術が不可欠になっています。

 

このように、GPGPUは映像処理の表現力と反応性を高める技術として、エンターテインメント業界やクリエイティブ分野において大きな可能性をもたらしています。

 

物理エンジン

GPGPUは、物理エンジンにおけるリアルタイムシミュレーションの実現に大きく貢献しています。

物理エンジンとは、重力、衝突、摩擦、剛体や流体の動きなど、現実世界の物理現象をコンピュータ上で再現するためのソフトウェアです。

ゲームや映画のCG、さらにはシミュレーションツールにおいて、物体が落下したり、跳ね返ったりする様子をリアルに表現するために使われます。

 

こうした処理には膨大な計算が必要ですが、GPGPUを活用することで、GPUの並列処理能力を用いて物理演算を高速化することができます。

例えば、数百〜数千個のオブジェクトの同時シミュレーションや粒子ベースの流体表現など、CPUでは時間のかかる処理もGPGPUを使えばリアルタイムでの計算が可能になります。

 

このような処理能力は、プレイヤーの操作に即時反応するゲーム体験や映像作品での没入感の向上に直結します。

代表的な技術としては、NVIDIAのPhysX、ゲームエンジンに統合されているUnityやUnreal Engineの物理演算機能があり、これらはGPGPUによる高速演算を前提とした構造になっています。

 

仮想通貨のマイニング

GPGPUは、仮想通貨のマイニングにおいても活用されています。

仮想通貨のマイニングとは、ブロックチェーン上で新しいブロックを生成するために、一定の条件を満たすハッシュ値を計算し続ける処理のことを指します。

 

ブロックチェーンでは、取引(トランザクション)をまとめて「ブロック」にし、それを鎖のように連結して記録していきます。

このとき、新しいブロックを正しくつなげるには、「ハッシュ値」という特別な“答え”を見つける必要があります。

 

「このブロックをつなげるにはこの条件のハッシュが必要! でも正解は誰にも分からないから、とにかくひたすら計算して探すしかない!」という総当たり方式のパズルを、世界中のマシンで競って解いているというイメージです。

 

この処理には、膨大な回数の計算(=ハッシュ計算)を短時間で繰り返す必要があり、CPUだけでは非効率かつ現実的ではありません。

そこでGPGPUによって、マイニングに必要な計算を効率的に処理することができます。

 

GPUは数千もの演算ユニットを同時に動かせるため、ハッシュ計算のように単純だが繰り返しが多い処理に非常に適しています。

その結果、CPUのみの環境と比較して、圧倒的な処理速度とマイニング効率を実現することができます。

 

 

CPUとGPUの性能差・処理速度の違い

CPUとGPUの性能や処理速度の違いについて解説していきます。

ケンさん

実際に動画編集やAI学習で使ったことあるから、その実体験も含めて説明していくで!

 

仕様から性能差をイメージ

まずは、CPUとGPUのおおまかな性能差を見ていきましょう。

性能を比べる上で注目したいのが「クロック周波数」と「コア数」ですが、CPUとGPUではそもそもの設計思想(アーキテクチャ)がまったく異なります。

そのため、数値だけで単純に優劣を比較することはできません。

ここでは、CPUとGPUにどれほど構造的な違いがあるのかをイメージしてもらうための参考として仕様を比較してみます。

 

例えば、ハイエンドなCPUとGPUで比較すると次のようになります。

Intel Core i9-14900KSNVIDIA GeForce RTX 4090
クロック周波数(最大)Pコア:5.7GHz
Eコア:4.5GHz
2.52GHz
コア数24コア / 32スレッド
(Pコア:8 / Eコア:16)
16,384

 

ミドルレンジのCPUとGPUも比較してみましょう。

Intel Core i5-14600KNVIDIA GeForce RTX 4060
クロック周波数(最大)Pコア:5.3GHz
Eコア:4.0GHz
2.46GHz
コア数14コア / 20スレッド
(Pコア:6 / Eコア:8)
3,072

 

クロック周波数だけを比べると、GPUはCPUの半分程度にとどまります。

しかし、コア数に関しては、GPUの方がけた違いに多く、CPUに対して、220、682倍もの差があります。

 

この膨大な数のコアが同時に並列処理を行うことで、クロック周波数が多少低くても、特定の処理においてはGPUの方が圧倒的に高い性能を発揮します。

 

もちろん、演算の精度や処理の内容によって最適なプロセッサは異なるため、クロックとコア数だけで単純に優劣をつけるのは難しい面もあります。

とは言え、CPUとGPUの構造の違いによってこれほどのスケール差があるというイメージは持っていただけたのではないでしょうか。

 

動画編集のエンコード時間のベンチマーク

実際にGPGPU技術を使って、動画編集のエンコードを時間を比較してみました。

機材は少し古いものですが、当時のハイエンド構成となっています。

 

動画編集ソフトはFilmoraを使っています。

素材動画や設定などの検証環境は次の通りです。

【素材動画と設定】

・動画時間:10分23秒

・解像度 :FHD (1,920×1,080)

・フレームレート:30FPS

・出力設定:MP4 (デフォルト設定)

・BGM、テロップを10個程度、カット編集を200箇所程度

Intel Core i7 7700KNVIDIA Geforce GTX 1070
クロック周波数(最大)4.2GHz1.6GHz
コア数4コア1,920コア
エンコード時間7:433:46

 

結果としては、3分57秒(277秒)短縮し、約60%も速くなりました。

搭載しているCPU, GPUにもよりますが、ハイエンドなCPU, GPUで比較した時にエンコード時間が半分以下になります。

 

AI学習の時間のベンチマーク

次に、CPUとGPUでAI学習した時の比較です。

 

この時は、ディープラーニングというAIアルゴリズムの内の1つを使い、数千万という規模の大量のデータを元にAI学習をしています。

プログラム全体の流れを大雑把に言うと、データベースからデータの取得、AI学習、学習結果の確認と保存という感じになります。

 

この内、GPGPUを使えるのはAI学習となるので、この時間をCPUとGPUで実行して時間を比較しました。

その結果、大体20~30倍ほど速くなりました。

 

この結果は、私がこのブログを始める以前にAI関連の作業に取り組んでいたときの経験に基づくもので、学習中に出力されるログからCPUとGPUの実行時間を比べたものになります。

元々ベンチマーク目的ではなかったのできちんとしたデータが残っているわけではありませんが、GPUを使うことで、かなり処理速度が速くなったことにすごく感動したことを覚えていますね。

ケンさん

AIの勉強をしたいのならGPUは必須やな!

 

 

まとめ:動画編集エンコードの高速化やAIの勉強をしたいならNVIDIAのGPUがおすすめ!

GPGPUの基本的な知識、具体的にどういった分野で活用されているのかについて解説しました。

 

改めて重要なポイントをまとめておきます。

この記事の重要なポイント
  • GPGPUはGPUを汎用計算に応用する技術
  • 動画エンコード、AI学習、科学計算、物理エンジンなど幅広く活用できる
  • 大量のデータ処理や反復計算を高速化できるのが特徴
  • 動画編集のエンコード時間を約60%短縮
  • AI学習ではCPUの20~30倍の速度
  • GPGPUを活用するならNVIDIAのGPUが特におすすめ

 

GPGPUは、もともとグラフィック処理に使われていたGPUの並列処理能力を科学技術計算やAI学習、動画エンコードなど汎用的な計算処理に活用する技術です。

CPUと比べて、GPUは大量のデータを同時並行で処理できるため、高解像度の映像編集やAIモデルの学習処理において、圧倒的なスピードアップが期待できます。

実際に、動画編集のエンコード時間が半分以下になったり、AI学習の処理時間が20~30倍高速化されるケースもあります。

 

こうした用途において、GPGPU技術を最も活用しやすいのがNVIDIAのGPUです。

CUDAをはじめとした独自のプラットフォームが整備されており、対応ソフトやライブラリも豊富です。

 

「動画編集をもっと効率よく行いたい」「AIを勉強・実装してみたい」と考えている方にとって、NVIDIAのGPUが選択肢に入ってくるかなと思います。

これからPCの構成を考える方や、自作を検討している方は、ぜひGPGPUの視点を取り入れたGPU選びをしてみてください。


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