マザーボードには、他のパーツを取り付けるための様々な部品が付いていて、初めて見る方はどれがどれか分からないと思います。
自作PCをする上で色々な名称が飛び交うので、まずどれがどのスロット・コネクタなのか名称を知っておく必要があります。
また、それらがマザーボード上のどのあたりにあって、どのような形状をしているのかを知ることで、より理解や組み立てがスムーズになります。
もし、これらの知識が不十分だと、購入するパーツを間違えてしまって自作PCを組み立てられないこともあり得るので、最悪パーツを買い直すことになります。
そうならないためには、まずは自作PCの中で中心となるマザーボードの名称について勉強していきましょう。
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目次
マザーボードのスロット・ソケットの名称
マザーボードのスロット・ソケットは、CPUやメモリなど他のPCパーツを接続するためのものです。
それぞれのPCパーツをどこに取り付けるのかが分かるので、スムーズな組み立てに役立ちます。
CPUソケット
CPUソケットは、CPUがマザーボードに取り付けられる部分のことで、特定のCPUモデルに対応するように設計されています。
ソケットの形状やピンの配置は、CPUの種類によって異なるため、マザーボードを選ぶ際には、使用するCPUに対応したソケットを持つものを選ぶ必要があります。
そのため、CPUが決まっている場合は、そのCPUに合うソケット形状を持つマザーボードを選ぶ必要がありますし、先にマザーボードを決めた場合は、それに合うCPUを選ぶ必要があります。
例えば、IntelのCPUでは「LGA 1700」や「LGA 1200」などのソケットがあり、AMDのCPUでは「AM4」や「TR4」などがあります。
≫ 関連記事:自作PCのCPUの選び方【性能面 / 機能面 / 互換性】
メモリスロット
メモリスロットは、マザーボード上でメモリを取り付けるための部品で、搭載できるメモリ規格や枚数が決まります。
一般的なマザーボードであれば、2,4スロットが多いですが、サーバー、ワークステーション向けでは、8,12スロットなどもあります。
これにより、ユーザーは必要に応じてメモリを増設し、パフォーマンスを向上させることができます。
メモリスロットの種類や数は、マザーボードの規格や設計によって異なり、最新の規格ではDDR4やDDR5などが使用されています。
マザーボード側の対応メモリ規格とメモリの規格が違うと物理的に差し込めないので注意しましょう。
≫ 関連記事:自作PCのメモリの選び方【性能面 / 機能面 / 互換性】
PCI Expressスロット
PCI Expressスロットは、拡張カードを接続するためのスロットで、グラフィックカードやネットワークカード、Wi-Fi・Bluetooth、キャプチャーボードなどのさまざまな拡張カードを取り付けることができます。
拡張カードとのデータのやり取りや拡張カードを動作させるための電源供給をしてくれます。
スロットのサイズは、PCI Express x16, x8, x4, x1とあり、数字が大きい方が物理的なスロットのサイズが大きいです。
一般的にはx1、x4、x8、x16といったレーン数(≒サイズの大きさ)で分類され、レーン数が多いほどデータ転送速度が速くなります。
グラフィックボードではx16が使われることが多く、無線LANカードやキャプチャーボードなどはx1, x4などが多いですね。
また、PCI Expressにはバージョンが1.0~6.0まであり、データ転送速度が違います。
最近よく使われるのは、3.0, 4.0, 5.0ですね。
このバージョンには互換性があるため、搭載する拡張カードとのバージョンが合っていなくても動作します。
しかし、合っていない場合は、バージョンの低い方に合わせられる点に注意しておきましょう。
ただ、個人的には自作PCを組む上で、このバージョンはあまりに気にしなくていいと思っています。
新しめのCPUで組もうとすると、ソケット形状があるので、それなりに新しめのマザーボードを選ぶ必要があります。
新しめのマザーボードには、その時の主流なバージョンのPCI Expressスロットになるので、あまり気にしなくても大丈夫だと思います。
M.2スロット
M.2スロットは、小型で高速なNVMe SSDやWi-Fiモジュールを接続するためのスロットです。
特にSSD(ソリッドステートドライブ)を取り付けるために使用され、従来のSATA接続よりも高速なデータ転送を可能にします。
このスロットは、NVMe(Non-Volatile Memory Express)というプロトコルをサポートしており、これによりさらに高いパフォーマンスを発揮します。
最近では、OSやゲームなどを入れるメインのストレージとしてNVMe SSDが使われることが多いですね。
マザーボードによっては、1つから2,3個のM.2スロットが搭載されています。
マザーボードの規格的に小さいサイズの場合、低価格のマザーボードの場合は、1スロットであることが多いです。
また、Wi-Fiモジュールを接続ためにもM.2スロットが使われます。
M.2スロットは、形状(コネクタの切り欠き部分)とサイズで複数の規格がありますが、NVMe SSD用とは異なるので注意しましょう。
M.2スロット以外にも、SATAコネクタで接続するストレージ(SATA SSD / HDD)もあるので、このスロット数分しかストレージを搭載できないというわけではありません。
Wi-Fiモジュール用スロット
Wi-Fiモジュール用スロットは、M,2スロットの一部で、マザーボード上でWi-Fi機能を追加するためスロットです。
このスロットにWi-Fiモジュールを取り付けることで、自作PC(デスクトップパソコン)でも無線インターネット接続機能を追加できます。
Wi-Fiモジュール用スロットを利用することで、ケーブルを使わずにインターネットに接続できるため、自作PCの設置場所が柔軟になります。
≫ 関連記事:自作PCにWi-Fi・Bluetoothを追加するPCパーツ
マザーボードのコネクタの名称
マザーボードには、電源供給するためのコネクタやデータをやり取りするためのコネクタがたくさんついています。
主に、マザーボードの外周あたりに色々な形状のコネクタがあるのですが、そちらも主要なものについては知っておいた方がいいです。
電源ユニットのケーブルをマザーボード上のコネクタに接続することになりますが、ケーブルの種類についてはこちらで解説しています。
≫ 関連記事:電源ユニットのケーブルの種類について
メインコネクタ
メインコネクタは、マザーボードに電力を供給するための主要なコネクタです。
このコネクタは、電源ユニットからマザーボードに電力を供給し、他のパーツが正常に動作するために必要な電力を分配します。
ATX電源コネクタとも呼ばれ、24ピンのコネクタが一般的です。
古いマザーボードでは20ピンのコネクタが使われていましたが、近年のモデルではより多くの電力を供給できる24ピンが標準となっています。
CPU補助電源コネクタ
CPU補助電源コネクタは、CPUに安定した電力を供給するための重要なコネクタです。
電源ユニットからのケーブルをこのコネクタに接続することで、CPUが必要とする電力を直接供給します。
ATX12Vコネクタとも呼ばれ、4ピンまたは8ピンの形状をしています。
高性能なCPUやオーバークロックを行う場合、十分な電力供給が必要となるため、2つの補助電源が必要になることがあります。
CPUファンコネクタ
CPUファンコネクタは、CPUクーラーのファンを接続するためのコネクタです。
通常、4ピンのPWMコネクタとして設計されており、ファンへの電源供給と精度の高いファンの回転数制御ができます。
システムはCPUの温度をモニタリングしているので、その温度に応じてCPUクーラーのファン回転数を自動的に制御してくれます。
これにより、適切な温度を保ち、高いパフォーマンスを維持し続けることができます。
ファンコネクタ
ファンコネクタは、主にPCケースファンを接続するためのコネクタです。
一般的に3ピンまたは4ピンの形式で、4ピンコネクタはPWMによるファン回転数の制御が可能です。
これにより、必要に応じてファンの回転速度を調整し、静音性と冷却性能のバランスを取ることができます。
ただし、ケースファンもPWMに対応している必要があります。
通常、3~5つ程度のファンコネクタがあり、ケースファン1つに対して、1つのコネクタを使います。
もし、これ以上のたくさんのケースファンを搭載したい場合は、ファンスプリッターやファンハブ、ファンコントローラーを使用して、一つのファンコネクタに複数のファンを接続します。
SATAコネクタ
SATAコネクタは、SATA SSDやHDD、光学ドライブなどのストレージデバイスとデータ通信をするためのコネクタです。
マザーボードには通常、4~8個程度のSATAコネクタがあり、これにより複数のストレージデバイスを同時に接続することが可能です。
USB2.0, 3.0コネクタ
このコネクタは、PCケースのフロントにあるUSBポートを使えるようにするためのコネクタです。
PCケースのフロントに、USB 2.0やUSB 3.0のポートがありますが、組み立てれば勝手に使えるようになるわけではありません。
PCケース内部では、フロント部分からいくつかケーブルが出ているので、それをマザーボードのUSBコネクタに接続することで、フロントのUSBポートが使えるようになります。
USB 2.0と3.0でコネクタが違うので、PCケースのフロントのUSBポートのバージョンを見て、そのコネクタがマザーボードにあるかを確認しておきましょう。
ケンさん
フロントパネルコネクタ
フロントパネルコネクタは、PCケースのフロントパネルにある電源ボタンやリセットボタン、LEDインジケーターなどをマザーボードに接続するためのコネクタです。
これらのコネクタは通常、マザーボードの一部にまとめて配置されており、ピンの配置が決まっています。
各ピンには特定の機能が割り当てられており、例えば、電源スイッチのピンは電源ボタンを押したときにマザーボードに信号を送ります。
接続する際には、マザーボードのマニュアルを参照し、正しいピンに正しいケーブルを接続することが重要です。
1つ1つのコネクタが小さく、どれがどのピンかを把握しづらいので間違えないようにしましょう。
オーディオヘッダコネクタ
オーディオヘッダは、マザーボード上で音声信号を扱うためのコネクタです。
通常、ケースの前面にあるヘッドホンやマイクのジャックと接続するために使用されます。
オーディオヘッダは、一般的に10ピンの配置で提供されており、HDオーディオといった規格に対応しています。
これにより、ユーザーはパソコンの音声機能を簡単に利用することができます。
マザーボードの設計によっては、オーディオヘッダが異なる位置に配置されていることがありますが、通常はマザーボードの端側にあります。
マザーボードのバックパネル(入出力ポート)
マザーボードのバックパネルには、USBポートや映像出力端子など様々なポートが付いています。
これらのポートは、マザーボードをPCケースに設置した際にPCケースの後ろ側から出てくる部分となります。
そのため、パソコンの後ろ側に色々接続するポート類は、マザーボードのバックパネル部分で決まるので、マザーボードを選ぶ差には事前にどういうポートがあるのかチェックしておきましょう。
USBポート
USBポートは、マザーボードのバックパネルに配置され、さまざまな周辺機器を接続するためのポートです。
これらのポートは、キーボードやマウス、プリンター、外付けハードドライブなど、多くのデバイスを簡単に接続できるように設計されています。
USBポートにはいくつかのバージョンがあり、一般的にはUSB 2.0、USB 3.0、USB 3.1、そして最新のUSB 3.2やUSB 4.0が存在します。
これらのバージョンは、データ転送速度や電力供給能力が異なり、より新しいバージョンほど高速で効率的です。
USBポートの形状もさまざまで、標準的なType-Aポートのほか、より小型でリバーシブルなType-Cポートも普及しています。
マザーボードを選ぶ際には、どのバージョンのUSBポートがいくつ搭載されているかを確認することが重要です。
一般的に、Type-Aポートは6~8個ぐらいは付いていますが、Type-Cポートは絶対に付いているわけではありません。
そのため、Type-Cポートが欲しい方は、マザーボードが対応しているか確認しましょう。
映像出力ポート
映像出力ポートは、モニターにパソコンの映像を出力するためのポートです。
このポートには、DisplayPort、HDMI、VGA(D-Sub)、DVIがあります。
最近では、DisplayPort、HDMIが使われることが多く、ビジネスシーンではVGAが使われることもありますね。
自作PCにおいては、DisplayPort、HDMIを中心に、モニターの入力ポートもこれに対応したものを選ぶと良いでしょう。
また、マザーボードの映像出力ポートは、内臓GPU機能のあるCPUを搭載している場合のみ使うことができます。
もし、内臓GPU機能がないCPUだと、このポートに挿してもモニターに映像は出力できません。
その場合は、グラフィックボードを搭載して、そちら側の映像出力ポートを使います。
内蔵GPU機能のないCPU、かつ、グラフィックボードも搭載しない場合は、映像出力ができないのでパソコンとして使えませんので、パーツを選ぶ際には注意しましょう。
LANポート
LANポートは、コンピュータをネットワークに接続するために使用されます。
一般的にRJ-45コネクタを備えており、有線LANケーブルを介してインターネットやローカルネットワークに接続することができます。
LANポートは、インターネット接続の安定性や速度に影響を与えるため、特にオンラインゲームや大容量データの転送を行う際に重要です。
多くのマザーボードでは、ギガビットイーサネットに対応しており、最大1Gbpsの通信速度をサポートしています。
また、最近の高性能なマザーボードでは、2.5Gbpsやそれ以上の速度に対応したLANポートを備えていることもあります。
自宅内でWi-Fiが飛んでいて、かつ、マザーボードの機能や拡張カードによってWi-Fiに対応しているのであれば、無理にLANポートを使う必要はありません。
ただし、有線接続と無線接続を比較すると、有線接続の方が、インターネットの速度が速く安定性があるので、用途に応じて有線にするのか無線にするのか選びましょう。
ケンさん
オーディオポート
オーディオポートは、スピーカーやマイク、ヘッドホンなどのオーディオデバイスを接続するためのポートです。
一般的に、3.5mmのミニジャックが多く使われており、色分けされていることが多いです。
一般的に色に対する機能は次の通りです。
色 | 用途 | 説明 |
---|---|---|
緑 | ラインアウト / スピーカー出力 | フロントスピーカーやヘッドホンを 接続するためのメイン出力ポート |
ピンク | マイク入力 | マイクを接続するための入力ポート |
青 | ラインイン | 外部オーディオ機器から音声を入力するためのポート |
オレンジ | サブウーファー / センター出力 | サブウーファーやセンタースピーカーを 接続するための出力ポート |
黒 | リアスピーカー出力 | リア(後方)スピーカーを接続するための出力ポート |
グレー | サイドスピーカー出力 | サイド(側面)スピーカーを接続するための出力ポート 7.1chサラウンドシステムで使用する |
また、最近のマザーボードでは、デジタルオーディオ出力として光デジタル端子(S/PDIF)が搭載されていることもあります。
これにより、高品質なデジタル音声信号を外部のオーディオ機器に送ることができます。
オーディオポートの種類や数は、マザーボードのモデルによって異なるため、使用するオーディオ機器に応じて適切なマザーボードを選ぶ必要があります。
PS/2コネクタ
PS/2コネクタは、キーボードやマウスを接続するための古いタイプのコネクタです。
マザーボードのバックパネルに配置されており、丸い形状の6ピンのコネクタが特徴です。
通常、紫色がキーボード用、緑色がマウス用として色分けされています。
画像のように紫色と緑色が半分半分のポートは、マウスとキーボードの両方に対応していることを意味します。
USBが普及する以前は、PS/2コネクタが標準的な接続方法でしたが、現在ではUSBが主流となり、PS/2コネクタは徐々に廃れつつあります。
それでも、PS/2接続は、特に古いハードウェアや特定のBIOS設定での互換性を保つために、いまだに一部のマザーボードでサポートされています。
マザーボードの部品の名称
スロットやコネクタ、バックパネル以外の部品について解説していきます。
VRM(フェーズ)
マザーボードのVRM(Voltage Regulator Module、電圧レギュレータモジュール)は、CPUやメモリなどの主要パーツに対して、適切で安定した電圧を供給するための電圧調整回路です。
電源ユニットから供給される電圧を、各パーツが必要とする特定の電圧レベルに変換して、安定した動作を支える役割を担っています。
CPUやメモリは非常に繊細で高精度な電圧が必要ですが、VRMは入力電圧を必要な出力電圧に変換します。
高性能なCPUやオーバークロックを行う場合、大きな電流が必要となります。
VRMの品質やフェーズ数が十分でないと、電力供給が不安定になり、システムのクラッシュやハードウェアの損傷を引き起こす可能性があります。
VRMは通常、複数の「フェーズ」と呼ばれる回路で構成されています。
フェーズ数が多いほど電力供給がより安定し、熱分散も効果的になります。
一般的にフェーズ数が多いほど、CPUやその他のパーツに対してより細かく電力を調整でき、結果として安定性や耐久性が向上します。
しかし、一般的な用途においてはフェーズ数を意識してマザーボードを選ぶ必要はありません。
また、フェーズ数が多いマザーボードは高いので、基本的な作業やゲームなどの用途では、フェーズ数は気にしなくてOKです。
まとめ:名称を知っていると組み立てがスムーズ!
この記事では、マザーボードのスロットやコネクタ、バックパネルの名称とその役割について詳しく解説しました。
そのソケットやコネクタなどがどこにあってどういう形状なのか、イメージしやすいようにできるだけ画像も付けたので大体は把握できたと思います。
自作PCでパーツ選びや組み立てをする際に色々な名称が飛び交うので、今回紹介したものを知っておけばスムーズに進めることができるはずです。
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