自作PCを廃棄する際には、自治体のルールや小型家電リサイクル法に従った適切な廃棄が必要です。
また、廃棄する際の注意事項として、データ(主に個人情報)の完全な削除が挙げられます。
もし、誤った方法で処分してしまうと、個人情報の漏洩や法律違反のリスクがありますので、それらの知識を解説した上で、適切に処分できる方法をいくつか紹介します。
- リサイクルマークが付いたメーカーPCは、メーカーに回収義務がある
- 自作PCは、回収業者がいないため自分でリサイクルなどの処分をする必要がある
- 主な廃棄方法は、リサイクル業者へ依頼、分解してゴミとして出す、中古買取やフリマアプリでの売却
- 個人情報や写真・動画は必ず”完全”に削除して廃棄する(通常のファイル削除では復元可)
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目次
自作PCの廃棄と小型家電リサイクル法について
小型家電リサイクル法とは、資源の有効利用と廃棄物の適切な処理を目的とした法律です。
メーカー製のパソコンや自作PCも、この法律の対象となる小型家電に含まれ、リサイクルの対象となっています。
メーカー製のパソコンにはリサイクルマークが付いており、製造業者が回収と再利用を行う義務があります。
そのため、メーカーのホームページには回収の案内もあるはずです。
リサイクルマークがある場合は、回収費用もパソコンの代金に入っているので、一般的には無料で回収してくれます。
一方で、パソコンとして販売されているのではなく、自分でパーツをかき集めて組み立てた自作PCにはリサイクルマークはありません。
ゆえに、回収してくれるメーカーもありません。
勝手に粗大ごみで廃棄した場合は不法投棄と見なされ、産業廃棄物処理法16条違反になる可能性もあります。
そのため、自作PCの廃棄には自分でリサイクルの手続きを行う必要があります。
どういやら自治体によっては、粗大ごみで捨てれるところもあるようなので、自治体のルールも確認しましょう。
自作PCの廃棄方法
自作PCの廃棄について具体的な方法をいくつか紹介します。
方法によって、費用、手間やリスク、環境に配慮したリサイクルなど違う部分がありますので、自分に合ったものを選びましょう。
小型家電として自治体・リサイクル業者に依頼
自治体では、小型家電リサイクル法に基づいてパソコンを回収しているので、それに依頼する方法です。
自治体のホームページを確認してみるとパソコンのリサイクルについての案内があります。
ただ、実際の回収は、委託先であるリサイクル業者「リネットジャパンリサイクル株式会社」が行っています。
宅配回収なのでどこかにもっていかなくていいのは楽ですね。
この業者は、国が認定した小型家電リサイクルの認定事業者(第0024号)で、700の自治体(人口約8,846万人)で連携しているかなり大きい企業です。
きちんとパソコンを分解して、金属・レアメタル等の資源回収を行っている業者ですね。
ケンさん
外部リンク:環境省 – 小型家電リサイクルの認定事業者
全て確認したわけではないですが認定事業者の多くはBtoBなので、直接個人がリサイクルを依頼できる業者は少ないと思います。
リネットジャパンによる宅配回収の流れは以下の通りです。
料金はオプション等によって変わってきます。
データの削除も含めて依頼できるので、手っ取り早く済ませたい方にはおすすめですね。
パソコン3R推進協会に依頼
一般社団法人のパソコン3R推進協会は、不要になったパソコンのリサイクルを推進するための団体で、個人が自作したPCも回収してくれます。
また、回収事業者のいないメーカーパソコンなどの回収も行っています。
回収の手順は次の通りです。
郵便到着まで1週間前後
自作PC(デスクトップパソコン)の場合は税込み4,400円です。
複数台申し込む場合は1台ずつ梱包する。
外部リンク:一般社団法人パソコン3R推進協会 家庭から排出されるパソコンの回収申込み
大手家電量販店に持ち込む
小型家電の回収を実施している大手家電量販店に回収を依頼する方法です。
回収してくれる大手家電量販店は次の通りです。
なお、全ての店舗にて回収を実施しているとは限らないので、回収の有無や方法、料金等については、各家電量販店のホームページやお問い合わせにて確認してください。
リサイクルショップ・中古買取業者に持ち込む
お近くのリサイクルショップや中古買取業者に持ち込んで、自作PCを買い取ってもらう方法です。
他の方法だと処分の費用が掛かりますが、これらの業者に売ることで逆にお金を受け取ることができます。
自作PCはサイズも大きいですし重量もあるので車でないと持ち込むのは難しいと思いますが、それさえクリアできれば処分費を払わなくていいのでお得ですね。
これらの業態では買い取った自作PCをメンテナンスして、再度販売することになるのでストレージのデータは必ず削除しておきましょう。
フリマアプリやオークションに出して個人間で売却する
自作PCをフリマアプリやオークションに出して個人間で売却する方法です。
リサイクル業者への回収の依頼やリサイクルショップへの持ち込みと比べて、最終的な売却価格は高くなることが多いですが、出品に伴い写真や文章の作成、相手とのやり取り、発送などの手間であったり、個人間取引でのトラブルが発生したりとデメリットもあります。
個人的には、この方法は手間や個人間取引トラブルなどのリスクが大きいと感じるため、あまりおすすめはできません。
ケンさん
特に自作PCの場合は、自分や相手の両方がパソコンの性能を読み取れるだけの知識がないとトラブルに繋がりやすいと思っています。
出品者側としては、その性能でどこまでのことができるかなどを正確に記載しなければいけないですし、相手側としては、やりたいことがどの程度の性能のパソコンであればできるのかを理解しておかなければいけません。
こちら側が正しく記載しても、相手側にあまり知識がなく、やりたいことができると間違えて購入してしまった場合クレームに繋がりかねません。
また、古い自作PCの処分となると5年とか10年前のものになってくると思いますが、それくらい前の性能で、かつ、中古と言うことを考えるとあまり良い価格は付かないと思うので、手間やリスクを考えるとこの方法はあまりおすすめできないかなと思っています。
PCパーツ単位で普通ゴミなどで処分する
自作PCとしてではなくPCパーツに分解して、自治体のルールに則って一般家庭のごみとして処分する方法です。
PCをパーツ毎に分解して廃棄する場合、一部のパーツは自治体の一般家庭のごみとして処理できることがあります。
ただし、自治体ごとにごみの分別ルールや回収方法が異なるため、必ず確認しましょう。
適切な処理が分からない場合は、先述したリサイクル業者などに依頼するのが安全です。
不用品・廃品回収業者に依頼
不用品・廃品回収業者に依頼して処分する方法です。
例えば次のような業者です。
- 街中を大音量で巡回して廃品回収をしている業者
- 「ご家庭のごみを無料回収します」などのチラシやインターネット広告の業者
ただし、廃品回収業者は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)に基づく許可制で、この法律は、廃棄物の適正な処理を確保し、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。
しかし、無許可の業者もあるため、許可を受けた信頼できる業者かどうか判断できない場合は、あまりおすすめできません。
許可を持たない業者に依頼すると、不適切な処理や不法投棄のリスクがあり、環境問題を引き起こす可能性があります。
廃品回収を依頼する際は、必ず業者の許可証や登録番号を確認し、信頼できる許可業者に依頼することが重要です。
許可業者については、産業廃棄物処理業許可 行政情報検索システム(公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団)で確認することができます。
自作PCの廃棄前にデータ削除は必須
ストレージ内に、名前、住所、写真や動画、アカウント情報、クレジットカード情報などの個人情報や外部に出てはいけない機密性の高いファイルなどを保存している場合は、廃棄前にデータを”完全”に削除するようにしましょう。
中古ショップなどに買い取ってもらう場合は特に気を付ける必要があります。
ファイルの削除操作だけでは、ストレージ内のデータは完全に消去されないため、ストレージ内からも”完全”に削除しなければなりません。
ここで言う削除操作とは、ファイルを右クリックして[削除](ゴミ箱に移動)、ファイルを右クリックして、[Shift]を押しながら[削除](ゴミ箱に移動しない)のことです。
後者では、「このファイルを完全に削除しますか?」と聞かれますが、これはゴミ箱を経由せずに削除されるだけで、ストレージには残っている状態です。
なぜ、こんなことになるかと言うと、Windows上でファイルを削除すると、インデックスファイルのデータが「削除済み」とマークされるだけで、実際のデータはディスク上に残っているからです。
Windows上からは、ファイルを削除しているので普通は見ることはできませんが、専用の復元ソフトウェアを使えば、削除したデータを簡単に復元することができてしまいます。
そのため、ストレージ内に残った実際のデータも”完全”に削除するために以下の処理が必要です。
- データ消去ソフトを使う
- 物理的にハードディスクを破壊する
データ消去ソフトは、データを上書きすることで復元不可能にします。
ストレージの仕様上、削除したファイルの領域に対して新しくファイルが保存された時に、前のデータが削除されることになります。
ファイルを削除するというのは、何の意味もないデータ(0000など)で上書きすることなのですが、これをファイルを削除した時に行うより、その領域に新しくファイルが保存される際にそのデータで上書きした方が都合がいいので、こういう仕様になっています。
これにより、書き込み回数が減るので、ストレージのパフォーマンス向上や長寿命化などのメリットがあります。
物理的な破壊は、ハードディスクをドリルで穴を開けたり、ハンマーで砕いたりする方法です。
自分でやると金属やガラスの破片が飛び散る場合もあってなかなか難しいので、物理破壊をしてくれるサービスを利用すると良いでしょう。
ビックカメラの全店舗がこのサービスを実施しているか分からないので、必要であれば事前に問い合わせた方が良いでしょう。
実際に、中古ショップで購入したストレージからデータが出てきた事例がXで報告されていたり、YouTubeで検証動画として公開されていたりしています。
そもそも売却前にユーザーがデータを削除していなかった場合もありますし、復元ソフトを使うことでデータを復元していた場合もあります。
動画内では実際に前の持ち主の写真(動画内ではモザイク付き)が出てきたりもしていたので、適切な対処をしていないストレージを中古ショップに売るのはリスクが高いです。
まとめ:自治体やパソコン3R推進協会の回収がおすすめ!
自作PCについての自治体のルールや小型家電リサイクル法に従った適切な廃棄方法を解説してきました。
色々な方法がある中で、費用、手間やリスク、資源の再利用など自分に合ったものを選びましょう。
再度、自作PCの廃棄について重要な部分をまとめておきます。
- リサイクルマークが付いたメーカーPCは、メーカーに回収義務がある
- 自作PCは、回収業者がいないため自分でリサイクルなどの処分をする必要がある
- 主な廃棄方法は、リサイクル業者へ依頼、分解してゴミとして出す、中古買取やフリマアプリでの売却
- 個人情報や写真・動画は必ず”完全”に削除して廃棄する(通常のファイル削除では復元可)
廃棄する際の注意事項として、データ(主に個人情報)の完全な削除が挙げられます。
ストレージの仕様として、普通のファイル削除ではWindows上からアクセスできなくなるだけで、ストレージ本体にはデータが残っています。
そのため、データ消去ソフトなどを使って、意味のないデータでストレージ全体を上書きすることで削除するか、物理的に破壊する必要があります。
もし、そういった手間も省きたいのであれば、先述したリネットジャパンリサイクル株式会社によるデータ消去オプション付きのリサイクルが良いかなと思います。
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