WindowsのDSP版は、特定のハードウェアとセットで販売されるライセンス形態で、主に自作PCユーザーや小規模なシステム向けに提供されています。
DSP版は、通常版(パッケージ版)よりも価格が抑えられていることが特徴ですが、その分、特定のハードウェア(パーツ)に紐づけられるため、他のPCに移行することができないといった制約があります。
しかし、最近では、DSP唯一のメリットであった価格も通常版の方が安くなっているため、今はDSPを選ぶメリットはありません。
もし、DSP版の方が価格が安く選択肢に入るようであれば、パーツとのセット販売のことやPCの移行の制限のことを理解した上で購入しないとライセンス規約違反になる可能性があるので注意しましょう。
- 現在はDSP版ではなく通常版が主流
- DSP版は自作PCユーザーや小規模システム向けに提供
- DSP版はパーツとのセット販売、PCの移行に制限がある
- 昔はDSP版の方が低価格だったが現在は通常版の方が安い
- 信頼できる販売元で購入すること
- パーツ交換はライセンス違反の可能性がある
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目次
WindowsのDSP版について
Windowsのライセンス形態の1つであるDSP版について、その特徴や価格の変化などを見ていきましょう。
DSP版はライセンス形態の1つ
Windowsには様々なライセンスがありますが、一般的な自作PCユーザーであれば、通常版(パッケージ版)かDSP版になります。
DSP版(Direct System Partner)は、Windowsのライセンス形態の一つで、通常はパーツと一緒に販売されることを前提としています。
パッケージ版では単体で販売、購入することができますが、DSP版では、他のパーツとセットでのみ販売、購入することができるというのが最大の特徴です。
そのため購入時には、例えば、DSP版のWindowsとマザーボードを一緒に購入するとか、SSDと一緒に購入する必要があります。
DSP版のWindowsは、一般的にパソコンの自作ユーザーや小規模なシステム向けに提供されており、通常のパッケージ版よりも価格が抑えられていることが特徴です。
しかし、価格については後述しますが、最近ではパッケージ版の方が安いので、価格的なメリットはなくなっています。
DSP版のライセンスは、そのパソコンに紐づけられるため、他のパソコンに移行するとライセンス違反となります。
このように、DSP版は特定のハードウェアに対してのライセンス提供をするため扱いに注意する必要があります。
“昔は”DSP版の方が安かった
通常版とDSP版の価格を比較すると、昔はDSP版の方が安かったですが、最近では通常版の方が安くなっているため、DSP版はあまり選ばれなくなりました。
DSP版は、他のパーツと一緒に購入するであったり、他のパソコンに移植できない制約があったりするものの、その分通常版よりも価格が安く設定されていたため人気がありました。
しかし、DSP版の価格が安かったのは2010年代ぐらいまでで、理由はよくわかりませんが、最近では通常版の方が安くなっています。
DSP版は、コストを抑えつつWindowsを利用したいユーザーにとって有用な選択肢となっていましたが、価格のメリットがなくなり制約のみが残ったため、DSP版の人気は下がり、基本的に選ばれなくなりました。
DSP版と通常版(パッケージ版)の違い
WindowsのDSP版と通常版の違いについて見ていきましょう。
ライセンスの適用範囲
Windows DSP版のライセンスの適用範囲は、通常版と比較していくつかの制限があります。
DSP版は、特定のハードウェアと一緒に販売されることを前提としており、そのハードウェアにのみインストールして使用することができます。
つまり、DSP版のWindowsは、購入時にセットになっているPCやパーツにのみライセンスが適用されるため、他のPCに移動して使用することはできません。
そのため、DSP版Windowsをインストールした1台目の自作PCがあったとして、2台目を組む時に1台のDSP版Windowsを使うことができず、新たにライセンスを購入する必要があります。
一方、通常版(パッケージ版)では、そういった制約がなく、インストールするPCを変更することができるため、より柔軟に使用することができます。
販売形式
WindowsのDSP版は、主に自作PCユーザーや小規模なシステム向けに提供される販売形式で、通常はパーツと一緒にセット販売されることが前提です。
例えば、マザーボードや電源ユニットなどと一緒に購入しなければいけません。
このような条件があるため、DSP版は個別に購入することができず、店舗と通販のどちらで購入するにしても何かしら他のパーツも一緒に購入する必要があります。
一方で、通常版は単体での購入が可能となります。
とは言え、OSを購入するタイミングは、自作PCを組む時に一緒に購入することが多いと思うので、形だけを見るとDSP版でセット購入する時と変わりませんね。
もちろん、様々な事情でOS単体で購入する必要があるケースもあると思うので、通常版の方が柔軟性は高いです。
再インストール
DSP版のWindowsを再インストールする際には、元のパーツ構成と同じでなければなりません。
DSP版は特定のハードウェアに紐付けられているため、パーツ構成を大幅に変更した場合にはライセンスが無効になる可能性があります。
これに対して、通常版(パッケージ版)はより柔軟で、異なるPCにインストールすることができます。(ただし、同時に複数のPCで使用することはできません。)
サポート範囲
サポート範囲において、WindowsのDSP版はパッケージ版と異なる点があります。
DSP版は、特定のハードウェアと一緒に販売されるため、そのハードウェアにインストールして使用することが前提となっています。
このため、サポートもそのハードウェアと一緒に提供されることが一般的です。
具体的には、DSP版を購入した際のサポートは、販売店やハードウェアメーカーが行うことが多く、Microsoftからの直接的なサポートは限定的です。
一方、パッケージ版は単体で購入でき、Microsoftからのサポートを直接受けることができます。
Windows DSP版に関する注意点
Windows DSP版の購入や使用に関する注意点について解説していきます。
ケンさん
単体販売は厳密にはライセンス規約違反
Windows DSP版の単体販売はライセンス規約に違反しています。
DSP版は特定のハードウェアと一緒に販売されることを前提としたライセンス形態であり、新しいパソコンを組み立てる際にそのパソコンのパーツと一緒に購入することが求められています。
厳密に言うとライセンスの規約違反をしているのは、購入者・ユーザー側ではなく販売代理店側なので、その責任は代理店にあります。
しかし、マイクロソフト側もどの販売代理店にどのライセンスを渡したか管理しているはずなので、最悪そのライセンスを無効化したり、サポートの対象外としたりすることもできるため、購入者にも一部の影響が及ぶ可能性があります。
ケンさん
ライセンスを無効化されると起動やログインは可能のようですが、デスクトップ画面に認証されていない旨の通知が出たり、パーソナライズ設定や一部機能を制限、セキュリティやOSの更新を受けられないリスクがあるようです。
ケンさん
こういったDSP版の単体販売については、有名ではなかったり、聞いたことがなかったりする販売代理店が通販などで単体販売しているケースが多く見受けられます。
特に、DSP版のWindowsを選んでから購入画面に行くまでの間に、別のパーツをセットで選ぶようなプロセスがない場合は単体販売の可能性が高いので、購入しないようにしましょう。
マイクロソフトや有名な販売代理店で購入するのが安全
WindowsのDSP版を購入する際には、信頼できる販売元から購入することが重要です。
マイクロソフトや有名な販売代理店で購入することで偽物や不正なライセンスを避けることができます。
特に通販などのオンラインでの購入時には注意が必要で、公式サイトや認定されたオンラインストアを利用することで、安心して正規品を手に入れることができます。
さらに、正規の販売元から購入することで、サポートや保証も受けられるため、トラブルが発生した際にも安心です。
例えば、パソコン工房やドスパラ、ビックカメラなどの有名な販売代理店では正規のルートで商品を仕入れているため、偽物や不良品を購入するリスクが低く、購入後のサポートも充実しています。
変な業者から購入したWindows OS、特にAmazonなどで販売元の名前を聞いたことがなかったり、有名でなかったりするところは、正規のライセンスがないかもしれません。(全てがそうではありませんが…)
ライセンス規約違反や販売元などに悪意があればマルウェアやスパイウェアが仕込まれていて、個人情報が盗まれたりシステムが不正に操作されたりする可能性もないとは言えません。
また、企業向けのOEMのライセンスを流用している場合もあるので、これも注意が必要です。
そのため、信頼できる業者からWindows OSを購入することで、これらのリスクを回避し、安心して利用することができます。
パーツ交換時のライセンス規約違反について
Windows DSP版を使用する際、パーツ交換時のライセンス規約違反の可能性について注意が必要です。
DSP版のWindowsは特定のハードウェアに紐づけられて販売されるため、そのハードウェアと一緒に使用することが前提となっています。
特に、マザーボードで紐づけられているようで、これを交換するとライセンスが無効になる可能性があります。
私が2010年ぐらいに初めて自作PCをした時は、DSP版がパーツとセット販売と言うことは知っていましたが、パーツ変更がダメということを知らずに故障したストレージを換装したり、増設したことがあります。
しかし、その際はマザーボードを変更しなかったのが良かったのか、ライセンスの無効化や通知がでたりすることはなく普通に使えていました。
最近自作PCをする際は、先述した通り価格的なメリットや制約などからDSP版ではなく通常版を使用しているので最近の事情は知りませんが、もしDSP版でパーツを交換するのであれば、そういったリスクがあるということを理解した上で自己責任でやりましょう。(あまりおすすめしませんが…)
まとめ:今は通常版の方が安いのでDSP版は選択肢にない
WindowsのDSP版について、その特徴や価格の変化、通常版との違いやライセンスについて解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- 現在はDSP版ではなく通常版が主流
- DSP版は自作PCユーザーや小規模システム向けに提供
- DSP版はパーツとのセット販売、PCの移行に制限がある
- 昔はDSP版の方が低価格だったが現在は通常版の方が安い
- 信頼できる販売元で購入すること
- パーツ交換はライセンス違反の可能性がある
昔はDSP版の方が色々制約はあるものの価格的なメリットが大きかったので選ぶユーザーが多かったですが、現在では通常版の方が安くなっているため、その価格の変化と共にDSP版を選ぶユーザーは少なくなりました。
そのため、今後もしDSP版の価格が昔に戻り、Windows OSを購入する際の選択肢に入るようであれば、通常版とDSP版の違いやライセンスに関することを理解した選ぶようにしましょう。
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