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メモリのXMP・EXPOとは?メモリ設定項目やデメリットも含めて解説

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メモリ

メモリのXMPやEXPOは、メモリの設定を簡単に最適化してオーバークロック(OC)するための技術です。

これにより、手動での複雑な調整を行わずに、簡単にメモリのパフォーマンスを向上させることができます。

 

しかし、基本的なことを知らないまま使うと、システムがの安定性が損なわれたり、メモリの寿命が短くなるリスクがあります。

また、場合によってはパフォーマンスの向上がないにもかかわらず使い続けて、これらのリスクのみ残ってしまうということにもなりかねません。

 

そのため、本記事ではメモリのXMPやEXPOの基本的な知識や設定項目などを解説していきます。

 

この記事の重要なポイント
  • メモリのOCの設定は、本来かなり面倒&リスキー
  • XMP / EXPOはその設定を簡単にできる
  • XMP / EXPOの設定はBIOSで行う
  • 3Dゲームやクリエイティブなどの高負荷な用途で検討する価値あり
  • 普段使いやシステムの安定性重視な用途では不要

 

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メモリのXMP・EXPOとは?

まずは、メモリのXMP・EXPOの基本的な知識を押さえときましょう。

 

XMP・EXPOはメモリ設定の簡略化する技術

メモリのXMPやEXPOは、メモリの設定を簡単に最適化してOCするための技術です。

 

まず大前提として、メモリは、メモリロットに挿せば動作するので何も設定することなく使うのが一般的です。

その上で、定格動作のクロック周波数を引き上げるなど、メモリやシステム全体のパフォーマンスを向上させるために設定するのがXMP・EXPOです。

 

XMPとEXPOは、OCの設定を簡略するという点で同じ技術ですが、CPUメーカー毎に名称が違います。

  • Intel:XMP(Extreme Memory Profile)
  • AMD:EXPO(Extended Profiles for Overclocking)

 

これらの技術を利用することで、複雑な手動設定を行わずに、簡単にメモリのオーバークロック設定を行うことができます。

ユーザーは、BIOSの設定画面で対応するプロファイルを選択するだけで、最適なメモリ設定が自動的に適用されるため、パフォーマンスの向上を手軽に実現できます。

 

ユーザーによる細かい手動調整が不要

ユーザーによる細かい手動調整が不要という点が、メモリのXMPやEXPOの大きなメリットです。

 

本来、メモリのOC設定は複雑で、BIOSで設定を1段上げてメモリのストレステスト・ベンチマークテストなどをして安定稼働するかをチェックするという工程を繰り返して設定します。

メモリの設定を動作周波数の他にも電圧やメモリタイミングなど色々あるので、それを1つずつ調整していくのは技術や手間が必要で、手軽にできるものではありません。

また、一回ずつテストをして、パソコンが強制終了したり、パフォーマンスが改善されているか確認したり、温度変化は正常かどうかをモニタリングする必要があります。

 

これを予めIntelやAMDが用意してくれたXMPやEXPOプロファイルを使うことで、各種設定を一括して行うことができます。

また、ある程度安定的に動作できる設定となっているので、何度も設定して安定稼働するかをチェックするという手間も省くことができます。

 

基本的に保証範囲だが要確認

XMPやEXPOによるメモリのOCは、メモリやマザーボードメーカーの保証範囲内となるのが一般的です。

そのため、XMP・EXPOの設定をして故障しても、交換等のメーカーの保証規定に則った対応を受けることができるはずです。

 

ただし、全てのメーカーを調査したわけではないので、XMP・EXPOをする予定のある方は、一度保証されるかどうか確認しておいた方が良いでしょう。

 

しかし、XMP・EXPO使わずに、メーカーが推奨する周波数や電圧、メモリタイミングを超えて、自分で設定した場合は保証対象外になるので注意しましょう。

 

ASUSのマザーボードでは、XMP・EXPOの設定は保証範囲内としつつも、公開されている仕様の範囲外で使用した場合は製品保証が無効となる場合がありますと記載があります。

 

おそらく、XMP・EXPO設定までは保証範囲内、仕様外は保証範囲外となっているメーカーがほとんどだと思います。

しかし、念のため公式ホームページやメーカーの保証規定をしっかりと確認して、必要に応じてメーカーに問い合わせることをお勧めします。

 

XMPのバージョンについて

XMPには、1.0, 2.0, 3.0の3つのバージョンがあり、メモリの規格が進化するたびにバージョンが更新されています。

新しいメモリ規格に対応するために、XMPのバージョンも改良され、新しい機能や設定オプションが追加されています。

 

簡単に各バージョンについてまとめておきます。

バージョン登場年メモリ規格特徴
XMP 1.02007年DDR3・初めてのXMPバージョン。
・メモリクロック、タイミング、電圧の
簡単な設定を提供。
XMP 2.02014年DDR4・DDR4の高データ転送速度に対応。
・より高いパフォーマンスと効率を実現。
・プロファイル数や設定オプションが増加。
XMP 3.02021年DDR5・DDR5のさらなる高データ転送速度に対応。
・最大5つのプロファイルをサポート。
・プロファイルのカスタマイズ性の向上。
・ユーザー独自のプロファイルの作成と保存する機能。

 

XMP/EXPOでOCを検討してもいいケース

XMPやEXPOについて解説してきましたが、実際にどのような場合にメモリをOCすればよいのか気になる方も多いでしょう。

メモリをOCする理由としては、ゲームやクリエイティブ作業など高負荷な用途で、より高いパフォーマンスを求める場合やシステム全体のパフォーマンスを向上させたい場合が挙げられます。

 

具体的に次のようなケースです。

  • ゲーム用途では高いフレームレートやスムーズな動作が求められる場合
  • クリエイティブ作業では動画編集や3Dレンダリングなどメモリ帯域幅が重要な作業
  • 高負荷なアプリを同時に動かす場合
  • 仮想マシンを多数稼働させる場合

 

ゲームの場合、より高いフレームレートを求めるときにメモリをOCすることでパフォーマンスが向上することがあります。

ただし、フレームレートに最も影響を与えるのはGPU性能ですので、高性能なグラフィックボードを搭載した上で、それでもさらにフレームレートを向上させたいときにメモリのOCを考慮すると良いでしょう。

 

クリエイティブ作業の場合、動画編集や3Dレンダリングなどでは大量のデータを処理するため、メモリ帯域幅が重要になります。

メモリをOCすることで、これらの作業の処理速度が向上し、作業効率が高まることがあります。

特に、高解像度の動画編集や複雑な3Dモデルのレンダリングを行う場合には、メモリOCによるパフォーマンスの向上が見込めるでしょう。

 

また、メモリのOCによってCPUや他のパーツとの通信が速くなるため、システムの全体的なパフォーマンスが向上することが期待できます。

 

XMP/EXPOは不要なケース

XMPやEXPOを使用してメモリをOCする必要がない場合もあります。

  • 日常的な使用や軽い作業
  • システムの安定性を重視する場合

 

ウェブブラウジング、文書作成、メールチェックなどの日常的な使用や軽い作業では、メモリのOCによるパフォーマンス向上はほとんど感じられません。

これらの用途はメモリ帯域幅をあまり必要としないため標準の設定で十分です。

 

また、メモリのOCはシステムの不安定さを引き起こす可能性があります。

特に、ビジネス用途や重要な作業を行う場合、システムの安定性を優先した方が良いので、OCは避けた方が良いでしょう。

ケンさん

資料作ってるときに落ちたりでもしたら大変やからな

 

 

メモリのXMP・EXPOの設定項目

メモリのXMP・EXPOを使うことで設定できる項目について解説します。

 

メモリクロック周波数

メモリクロック周波数は、メモリの動作速度を示す指標です。

この周波数が高いほど、データの読み書きが速くなり、システム全体のパフォーマンスが向上します。

 

特に、3Dゲームやクリエイティブなどの高負荷の用途で使う場合は、クロック周波数を上げることでパフォーマンスが向上することがあります。

 

メモリタイミング

メモリタイミングは、メモリがデータの読み書きを行う際の遅延や応答時間を示す指標です。

この指標は、次の複数の値で構成されていて、これらの数値を設定することができます。

  • CASレイテンシ(Column Address Strobe Latency / CL)
  • tRCD(Row Address to Column Delay)
  • tRP(Row Precharge Time)
  • tRAS(Row Active Time)

 

メモリタイミングの詳細についてはこちらを参考にしてください。

≫ 関連記事:メモリタイミングとは?性能への影響や調べ方、設定方法を解説

 

動作電圧

メモリの動作電圧は、メモリモジュールが正しく動作するために必要な電圧のことです。

通常、メモリの種類によって標準的な電圧が決まっており、例えば、DDR4メモリの場合は通常1.2Vです。

この電圧は、メモリの安定性とパフォーマンスに直結し、適切な電圧が供給されないとシステムの動作が不安定になる可能性があります。

 

メモリの動作電圧を上げることで、メモリのクロック速度を高く設定できる可能性があり、結果としてパフォーマンスが向上することがあります。

しかし、電圧を上げすぎるとメモリや他のパーツが過熱しやすくなり、寿命が短くなるリスクがあります。

また、システム全体の安定性にも影響を及ぼすため、本来は慎重な設定が必要ですが、XMP・EXPOによって簡単に調整することができます。

 

 

メモリのXMP・EXPOのデメリット

メモリのXMP・EXPO(と言うかOC)のデメリットを解説します。

これらのデメリットを踏まえた上で、実施するか検討しましょう。

また、3Dゲームでフレームレートを上げたかったが設定しても向上しなかったなど、設定前後でパフォーマンスに違いがないのであれば、単純に負荷が増えるだけで良くないので元に戻しておくことをおすすめします。

 

システムの安定性

XMP・EXPOを有効にすることで、システムの安定性が損なわれる可能性があります。

XMP・EXPOは、メモリの性能を最大限に引き出すための設定ですが、これによりシステムが起動しない、またはブルースクリーンが発生することがあります。

特に、異なるメーカーやモデルのメモリを混在させる場合、互換性の問題が生じやすくなります。

 

これにより、システム全体の安定性が低下し、予期せぬトラブルが発生するリスクが高まります。

 

メモリの寿命が短くなるリスク

メモリをOCすることで、メモリに対する負荷が増加することで、結果的に寿命が短くなる可能性があります。

通常の動作よりも高いクロック周波数や電圧で動作させるため、メモリチップの劣化が早まることが考えられます。

 

特に、長期間にわたって高負荷の状態で使用する場合、このリスクはさらに高まります。

最近のメモリは永久保証がほとんどなので、保証範囲内の設定であれば最悪保証を受けることができると思います。

 

ただ、メーカーや代理店とやり取りする手間があったり、古いメモリでその製造や販売が終了している場合は同等の商品と交換になったりするので、その点を考慮してXMP・EXPOを使うかどうか判断をしましょう。

 

消費電力の増加

OCでメモリの性能を最大限引き出すためには通常よりも高い電圧が必要なため、より多くの電力を消費することになります。

 

消費電力の増加は、システム全体の電力効率に影響を与えるだけでなく、発熱量の増加にもつながります。

これにより、冷却システムの負担が増し、消費電力も高くなる可能性があります。

 

これに伴って電気代も増えますが、増えると言っても数十円程度です。

冷却システムの増加分は分かりませんが、メモリの場合は、一般的な1.2VからOCして1.5Vと仮定して計算することができます。

 

以下の条件で計算するので参考にしてください。

  • 1.2Vから1.5Vとした場合
  • メモリ4枚挿し
  • メモリ1枚の消費電力5W
  • 1kWhあたり31円(※)
  • 1日8時間動作させた時の1か月の電気代
全国家庭電気製品公正取引協議会の電力料金目安単価より

 

通常時のメモリ1枚の消費電力:5W

OC時のメモリ1枚の消費電力:5W × 1.5V / 1.2V = 6.25W

メモリ4枚分の増加する消費電力:(6.25W × 4) – (5W × 4) = 5W

1か月の増加する消費電力:5W × 8時間 × 30日 = 1,200Wh = 1.2kWh

電気代:1.2kWh × 31= 37.2

 

と言うことで、OCしても1か月で40円弱なので気にするほどではないですね。

それより、パフォーマンスが向上するのであれば、それだけの価値はあると思います。

 

 

まとめ:XMP・EXPOは、よりパフォーマンスを引き出したい方向けの機能

メモリのXMPやEXPOによるOCについて基本知識や設定項目、デメリットを解説しました。

 

改めて、重要なポイントをまとめておきます。

この記事の重要なポイント
  • メモリのOCの設定は、本来かなり面倒&リスキー
  • XMP / EXPOはその設定を簡単にできる
  • XMP / EXPOの設定はBIOSで行う
  • 3Dゲームやクリエイティブなどの高負荷な用途で検討する価値あり
  • 普段使いやシステムの安定性重視な用途では不要

OCすることで、システムが不安定になったり、負荷が高くなることでパーツの寿命が短くなったりといったリスクがあるので、「とりあえず、パフォーマンスが上がるならやっとけ!」というものではありません。

パフォーマンスが向上する用途もあればない用途もあるので、そこは設定前と設定後できちんとパフォーマンスが改善されているか確認しましょう。

もし、違いがないのであればリスクしかありませんので、設定は元に戻しておくようにしましょう。


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