PCI Expressは、コンピュータの内部で高速なデータ転送を可能にする重要な規格です。
特に、グラフィックボードやNVMe SSD、その他の拡張カードを接続するために広く利用されています。
しかし、PCI Expressの規格やレーン数を理解せずにパーツを選んでしまうと、物理的に差し込めなかったり、バージョンの違いによって性能を最大限引き出すことができない場合があります。
この記事では、PCI Expressの基本的な役割やバージョン、レーン数について詳しく解説し、拡張カードを選ぶ際の注意点についても紹介します。
- PCI Expressは高速データ転送のためのインターフェース・バス規格
- 主にグラフィックボードやNVMe SSD、その他の拡張カードの接続に使用
- レーン数(x1, x4, x8, x16)によってデータ転送速度が変わる
- 大きいスロットサイズはそれ以下のサイズなら搭載可能
- スロット形状とレーン数の認識に注意が必要
- PCIeには下位互換性があるため異なるバージョンでも動作可能
- 最新バージョンのNVMe SSDを使用する際はマザボ側のバージョンに注意
- 拡張カードのサイズや占有スロット数に注意して選ぶ
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目次
PCI Expressについて
PCI Expressの基本的な役割について押さえておきましょう。
PCI Expressとは?
PCI Express(Peripheral Component Interconnect Express、略してPCIe)は、高速なデータ転送を実現するためのインターフェース規格、または、バス規格です。
主にマザーボード上に搭載され、グラフィックカードやNVMe SSD、ネットワークカードなどさまざまな拡張カードを接続するために使用されます。
PCIeと言うと真っ先に出てくるのがマザーボードにあるPCI Expressスロットだと思います。
このスロットはグラフィックボードを含むさまざまな拡張カードを接続するためのものです。
しかし、それだけではなく、NVMe SSDを搭載するM.2 スロットにもPCIeが使われています。
ケンさん
「PCIeスロットという名前なのに、それ以外でもPCIeが使われているってどういうこと?」と思われるかもしれません。
少しややこしいですが、PCIeスロットもM.2スロットも形状こそ異なるものの、どちらもPCIeバスを使ってデータのやり取りを行います。
つまり、PCIe規格はスロットの形状にかかわらず、同じ高速なデータ転送を実現するための通信規格です。
インターフェース規格とバス規格の違い
インターフェース規格は、パーツやデバイスが通信を行う際の「接続方法」や「通信プロトコル」を定義する規格で、データの形式、速度、コネクタ形状、通信の手順などが含まれます。
USBやHDMI、SATAなどがこれに該当します。
PCIeもまた、このインターフェース規格に含まれますが、特徴としては拡張カード同士をシリアル方式で接続し、高速に通信できることです。
バス規格は、コンピュータ内部で複数のパーツやデバイスがデータを共有し通信するための「通信経路(バス)」を定義する規格です。
バスとは、データや信号をやり取りするための共通の通り道のようなもので、CPU、メモリ、ストレージ、拡張カードなどがこのバスを介してデータをやり取りします。
例えば次のようなものがあります。
- システムバス:CPUとメモリ間でのデータ通信を行うバス
- データバス:パーツ間がデータをやり取りするバス
- アドレスバス:メモリやI/Oデバイスにアクセスするためのアドレスを伝えるためのバス
- PCIe:拡張カードとマザーボードを接続するための高速なシリアルバス
PCIeは、拡張カード同士やデバイス間のデータ転送をシリアル方式で高速に行うバス規格でもあります。
このため、PCIeスロットやM.2スロットといった異なる形状のスロットでも、同じPCIeバスを利用してデバイスを接続できます。
PCIeの柔軟性
PCIeは、形状やスロットに依存しない柔軟な規格です。
PCIeスロットは、デバイスを物理的に接続するためのインターフェース規格として機能し、M.2スロットも同じバス規格を利用してデバイスを接続します。
この柔軟性により、拡張カードだけでなく、NVMe SSDなどさまざまなデバイスにも対応しています。
つまり、PCIeは、スロットの形状にかかわらず高速なデータ転送を実現する規格であり、スロットの種類の違いがあっても同じ技術を使用しているという点で共通しています。
他の拡張カードについて
PCIeスロットに対応した拡張カードには、グラフィックボード以外にもさまざまな種類があります。
例えば次のような種類があります。以下は主なPCIe拡張カードの例です:
- Wi-Fi・Bluetoothカード【ガチおすすめ】
- サウンドカード
- イーサネットカード
- キャプチャーボード
- USBポート増設カード
- M.2・SATAコネクタ増設カード
- RAIDカード
- TVチューナーカード
どれも万人に必要というものではなく、特定の使用用途の際にあった方が良いというものになります。
そのため、それぞれどういう拡張カードかを知った上で、自分の使用用途と照らし合わせて必要かどうかを検討しましょう。
その上で、大体の人が便利になる拡張カードがWi-Fi・Bluetoothカードです。
ノートパソコンではWi-Fi・Bluetoothは標準搭載ですが、デスクトップパソコンは有線が標準です。
そのため、PC設置時にはルーターから有線LANを設置しなければいけませんし、マウスやキーボードも有線でデスク上はコードがあってスッキリしません。
それらを解決してくれるのが、Wi-Fi・Bluetoothカードでかなりおすすめです。
拡張カード別の特徴についてはこちらで詳しく解説しています。
≫ 関連記事:自作PCの拡張カードの選び方【種類 / 互換性】
≫ 関連記事:自作PCにWi-Fi・Bluetoothを追加するPCパーツ
PCI Expressのレーン数について
PCI Expressのレーン数について、各レーン構成の特徴や用途、互換性などを解説します。
PCI Expressのレーン数
PCIeの性能は、主にレーン数と帯域幅によって決まります。
レーンとは、データを送受信するための独立した信号線のペアで、1レーンは1対の送信信号と受信信号で構成されています。
PCIeのレーン数は、通常x1、x4、x8、x16などで表され、これが多いほどデータ転送速度が向上します。
たとえば、x16レーンのPCIeスロットは、x1レーンの16倍の帯域幅を提供します。
帯域幅は、データが1秒間に転送される量を示し、PCIeのバージョンによって異なります。
バージョン別の仕様については後述します。
例えば、最新のPCIe 5.0では、1レーンあたり約32GT/s(ギガトランスファー毎秒)の帯域幅を持ち、x16レーンでは約512GB/sの理論最大帯域幅を実現します。
これにより、グラフィックスカードやSSDなどの高性能デバイスが、より高速にデータを処理できるようになります。
また、PCIeスロットについては、レーン数によって物理的なサイズが異なります。
そのため、グラフィックボードやその他の拡張カードを搭載する場合は、マザーボードのPCIスロットのサイズに一致しているかを確認する必要があります。
マザーボードのPCIeスロットには、x1, x4, x8, x16の4つがありますが、x16とx1が実装されることが多いですね。
PCIe x16 スロット
PCIe x16スロットは、最も帯域幅が大きいスロットであり、最大で16レーンのデータ転送が可能です。
主に、高性能なグラフィックカードを接続するために最もよく使われます。
グラフィックカードはゲーム、3Dレンダリング、動画編集、AIトレーニングなど、大量のデータを処理するため、高い帯域幅が求められます。
さらに、GPUアクセラレータやAI/機械学習(ML)向けのコンピュータでも、x16スロットが活躍しています。
PCIe x8 スロット
PCIe x8スロットは、主に、デュアルグラフィックスボード構成(SLIやCrossFireなど)で2枚目のグラフィックカードに使われたり、高性能ネットワークカード(10GbEや40GbEなど)やストレージコントローラに利用されます。
特にサーバー環境や高性能ワークステーションで、GPUアクセラレータや複数のNVMe SSDを搭載する場合に、x8スロットがよく使用されます。
PCIe x8スロットの形状として、サーバー向けのマザーボードで実装されることはありますが、一般向けのマザーボードで見かけたことはありませんね。
ただ、PCIe x16スロットの形状で、PCIe x8で認識するスロットとして実装されているのは度々見かけます。
PCIe x4 スロット
PCIe x4は、主にNVMe SSDを搭載するためのM.2スロットで使われることが多いです。
NVMe SSDは従来のSATA SSDよりも遥かに高速なデータ転送が可能で、x4の帯域幅でその性能をフルに発揮します。
また、ストレージコントローラやその他の拡張カード(RAIDコントローラなど)にも使用されることがありますが、PCIeのスロットとして実装しているマザーボードは珍しいですね。
PCIe x1 スロット
PCIe x1スロットは、最も小さいサイズのスロットで、1レーンのデータ転送を行います。
主に、ネットワークカード(ギガビットEthernetカードなど)、サウンドカード、USB拡張カード、Wi-Fi・Bluetoothカードなど、帯域幅が少なくても十分な動作ができる拡張カードに使います。
PCI Expressスロットのサイズの互換性について
PCIeスロットにはのサイズには互換性があるので、大きいサイズのスロットに対して、それより小さい拡張カードを搭載することができます。
例えば、x16のPCIeスロットに対して、x8, x4, x1の拡張カードであれば搭載できます。
一方で、その逆の小さいサイズのスロットに対して大きいサイズの拡張カードは、そもそも物理的にサイズが合わないので取り付けることはできません。
そのため、拡張カードをたくさん搭載する場合は、この互換性も含めてPCIeスロットが足りるか確認してみましょう。
PCI Expressスロットの物理的サイズと認識について
PCIeスロットは、場合によっては物理的なレーン数と認識するレーン数が異なる場合があります。
特に多いのが、物理的な形状はx16スロットであるにもかかわらず、認識的にはx8というパターンです。
物理的にはx16スロットの形状をしていても、マザーボードの設計上、x8レーンしか使用されない場合があります。
この場合、見た目はx16スロットですが、デバイスはx8の帯域幅でしか動作しません。
ケンさん
ただし、1つ目のPCIe x16スロットはグラフィックボードを搭載する前提で考えられているため、x16のスロットであれば認識もx16であることがほとんどです。
これに対して、2つ目以降のPCIe x16スロットに関しては、x16のスロットだけど認識はx8ということがあります。
PCI Expressのバージョンについて
PCIeのバージョンについて見ていきましょう。
PCIeには下位互換性があるので基本的にはバージョンは気にしなくても動作はしますが、場合によってはバージョンを考慮してパーツを選ばないとパフォーマンスが最大限発揮できなくなってしまいます。
PCI Expressのバージョン毎の仕様
まずは、PCIeのバージョン毎の仕様や特徴を見ていきましょう。
バージョン | リリース年 | 普及年 | レーンあたりの 転送速度 | 帯域幅 (片方向) | 帯域幅 (双方向) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|---|
PCIe 1.0 | 2003年 | 2004年 | 250 MB/s | 2.5 GT/s | 5 GT/s | 初期のPCIe規格、古いデバイス用 |
PCIe 2.0 | 2007年 | 2008年 | 500 MB/s | 5 GT/s | 10 GT/s | 帯域幅が2倍になり、より多くのパーツに対応 |
PCIe 3.0 | 2010年 | 2012年 | 1 GB/s | 8 GT/s | 16 GT/s | 信号技術の改善によって転送速度が向上 |
PCIe 4.0 | 2017年 | 2019年 | 2 GB/s | 16 GT/s | 32 GT/s | 高性能デバイス向けにさらに帯域幅が2倍に |
PCIe 5.0 | 2019年 | 2021年 | 4 GB/s | 32 GT/s | 64 GT/s | 最新の高速デバイスに対応するため、さらに2倍の帯域幅 |
PCIe 6.0 | 2022年 | – | 8 GB/s | 64 GT/s | 128 GT/s | PAM4信号技術を採用し、さらに倍増した転送速度 |
最近の主流はPCIe 4.0, 5.0で、マザーボードのPCIeスロット、M.2スロットもこの2つが多いですし、グラフィックボードやNVMe SSDもこの2つに対応していることが多いです。
また、PCIe 6.0もリリースはされていますが、データセンター、HPC(スパコンや研究機関で使われるような高性能コンピューティング)、AIや機械学習、通信インフラ、自動運転や先進運転支援システム、クラウドなどの産業向けとして使われています。
PCIe 1.0
PCIe 1.0は、2003年に登場したPCI Expressの最初のバージョンで、従来のPCIバスやAGP(Accelerated Graphics Port)を置き換える新しいインターフェース規格として設計されました。
このバージョンでは、従来の並列バスを廃止し、直列伝送方式を採用することで、より高い帯域幅とデータ転送速度を実現しました。
PCIe 1.0では、1レーンあたりのデータ転送速度が250MB/sであり、x16スロットを使用すると最大4GB/sの帯域幅が提供されます。
この規格は、グラフィックカードやその他の拡張カードの性能向上に貢献し、後続のバージョンでさらに進化していく基礎を築きました。
PCIe 2.0
2007年にリリースされたPCIe 2.0は、PCIe 1.0に比べてデータ転送速度が2倍に向上し、1レーンあたり500MB/sの転送速度を提供します。
x16スロットの場合、最大8GB/sの帯域幅が得られるため、より高性能なデバイスの接続が可能になりました。
また、PCIe 2.0では下位互換性が保たれており、PCIe 1.0のデバイスも同じスロットで使用できる点が大きな利点です。
このバージョンは、特にグラフィックカードや高速ストレージデバイスにおいて、より多くのデータを効率的に処理するために活用されました。
PCIe 3.0
PCIe 3.0は、2010年にリリースされたバージョンで、さらに大幅な性能向上が図られ、1レーンあたりの転送速度は1GB/s、x16スロットでは最大16GB/sの帯域幅を提供します。
このバージョンの大きな変更点は、エンコーディング方式で、従来の8b/10bエンコーディングに代わって128b/130bエンコーディングが導入され、オーバーヘッドが削減されました。
これにより、データ転送の効率が向上し、帯域幅の利用が最適化されました。
PCIe 4.0
2017年に登場したPCIe 4.0は、PCIe 3.0の2倍の転送速度を実現しました。
1レーンあたりの転送速度は2 GB/sに達し、x16スロットでは最大32 GB/sの帯域幅を提供します。
これにより、最新のグラフィックカードや高性能NVMe SSDなど、さらに多くのデータを高速で処理するパーツに対応できるようになりました。
特に、PCIe 4.0はゲーミングPCやプロフェッショナル向けワークステーションでの利用が進んでおり、データ転送のボトルネックを解消するための重要な規格となっています。
現在も多くのパーツで利用されているバージョンです。
PCIe 5.0
PCIe 5.0は2019年にリリースされ、1レーンあたりのデータ転送速度が4GB/sに倍増しました。
これにより、x16スロットでは最大64GB/sという驚異的な帯域幅が提供され、これまでにない高速なデータ転送が可能となりました。
PCIe 5.0は、特に人工知能(AI)、機械学習(ML)、高性能コンピューティング(HPC)といった、大規模なデータ処理を必要とする分野での採用が進んでいます。
これらの高度な計算処理を行うシステムにおいて、PCIe 5.0の高帯域幅は大きな効果を発揮しており、データ転送のボトルネックを解消するための重要な技術となっています。
また、一般向けにはNVMe SSDでその恩恵を受けることができるようになっており、PCIe 4.0 SSDよりもさらに高速なデータ転送が可能です。
これにより、大容量データの読み書きやアクセス速度の向上が求められる用途、特にゲーミングや動画編集などの分野で、PCIe 5.0対応のNVMe SSDは次世代のストレージソリューションとして注目されています。
PCIe 6.0
PCIe 6.0は、2022年にリリースされ、これまでの規格を大きく進化させました。
このバージョンでは、新たにPAM4(4値パルス振幅変調)技術を採用し、1レーンあたりの転送速度が8GB/sに達し、x16スロットでは、最大128GB/sという驚異的な帯域幅を提供します。
PCIe 6.0は、特にデータセンターやクラウドコンピューティング、次世代の通信インフラなど、膨大なデータを高速かつ効率的に処理するために設計されています。
これにより、将来的な高性能デバイスのニーズにも十分応えることができる規格となっています。
ただし、現状は一般向けには普及しておらず、このバージョンを採用したパーツも市場にはないと思います。
そのため、一般向けにはPCIe 4.0, 5.0あたりが主流となっています。
古いバージョンでも動作する(下位互換性)
PCIeのバージョンには下位互換性があるため、マザーボードのPCIeスロットやM.2スロットとパーツのバージョンを合わせなくても動作します。
PCIeの下位互換性とは、新しいバージョンのPCIe規格が、以前のバージョンのパーツやスロットとも互換性を持ち、古いバージョンのPCIeのパーツを新しいマザーボードで使用できること、あるいは新しいPCIeのパーツを古いマザーボードに挿入しても動作することを指します。
この特性により、PCIeのバージョンが異なるパーツやマザーボードでも互いに使えるため、柔軟なアップグレードやシステム構成が可能になります。
例えば、PCIe 4.0のパーツは、マザーボードのPCIe 3.0のスロットでも使用することができます。
逆に、PCIe 3.0のパーツをマザーボードの4.0のスロットに挿入した場合も、3.0で動作します。
この時、パーツとスロット側で低い方のバージョンに合わせられてしまうため、場合によってはパフォーマンスが落ちる場合があります。
最新パーツはバージョンも要チェック
PCIeには下位互換性があるため、基本的にはバージョンは関係なく動作します。
しかしながら、バージョンが低い方に合わせられるため、高いバージョンのデータ転送速度でないとそのパーツのパフォーマンスが発揮できないパーツを搭載する場合には注意が必要です。
特に、データ転送速度が重要となるストレージでは注意が必要です。
例えば、PCIe 5.0に対応したNVMe SSDをPCIe 4.0のM.2スロットで使用した場合、NVMe SSDがPCIe 4.0で動作するため、本来持っているデータ転送速度を発揮できなくなってしまいます。
PCIe 5.0の場合のNVMe SSDのデータ転送速度は9,500~12,400MB/s程度ですが、PCIe 4.0の場合は3,500~7,500MB/sほどです。
そのため、最新の早いNVMe SSDを購入したにもかかわらず、スロット側のバージョンが低いことで本来の速度が出せないということが起きます。
こうならないためには、パーツ側のPCIeのバージョンとマザーボードのスロット側のバージョンは良くチェックしておきましょう。
拡張カードを選ぶ際の注意点
拡張カードを選ぶ際の注意点を何点か解説します。
今まで解説したことと重複する部分はありますが、選ぶ際の注意点にフォーカスしてまとめていきます。
PCI Expressのレーン数
PCI Express x16スロット
PCI Express x1スロット
PCIeのレーン数には、x1, x4, x8, x16の4パターンがあり、それぞれ物理的なスロットサイズが違います。
そのため、レーン数を間違えてしまうと物理的にパーツを搭載することができません。
ただ、大きいスロットに対して、小さいレーン数のパーツを取り付けることはできます。
例えば、x16のPCIeスロットに対して、x1の拡張カードであれば搭載できます。
一方で、逆の場合はそもそも物理的にサイズが合わないため取り付けることはできないので、拡張カードに対して適切なレーン数のPCIeスロットがあるか確認しましょう。
拡張カードの占有スロット数【特にグラボに注意】
2スロット占有のグラフィックボード
グラフィックボードの下にあるx1のPCI Expressスロット
(干渉して使えない)
拡張カード(主にグラボ)の占有スロット数によっては、マザーボードの別のPCIeスロットが使えなくなります。
例えば、最近の高性能なグラフィックボードでは2スロット占有するのが当たり前で、2.5, 3スロットを占有するものもあります。
複数のスロットを占有している場合、そのグラフィックボードを挿しているPCeスロットの下のスロットは、グラフィックボードと重なるため別の拡張カードを挿すことができません。
このように、スロット占有数の大きいパーツを搭載した上で、さらに拡張カードを搭載したい場合は、その占有数も含めた上で空きスロットがあるか確認する必要があります。
また、グラフィックボード以外の拡張カードの大半は1スロット占有なので、その場合は、マザーボードのPCIeスロットをフルに使えると思います。
グラフィックボードを搭載しているパーツ構成で、かつ、別の拡張カードも搭載したい場合に占有スロットも意識して空きがあるか確認しましょう。
PCI Expressのバージョン
PCI Expressのバージョンは下位互換性があるため、バージョンが違っても動作します。
そのため、基本的にはPCIeのバージョンはあまり気にしなくても大丈夫です。
しかし、NVMe SSDなどのデータ転送速度が重要となるパーツで、最新のものを使いたい場合には確認が必要です。
特に、ストレージの速度にこだわるユーザーの需要に応えて、最新のPCIeバージョンに対応したNVMe SSDもたくさん販売されています。
パーツ側とマザーボードのスロット側でバージョンが異なると低い方に合わせられます。
そのため、マザーボードのスロット側のバージョンが低いことで、NVMe SSDの本来の速度が出せなくなってしまうので、その場合は事前にバージョンを合わせるようにしておきましょう。
物理的なスロットサイズと認識が異なる場合がある
PCIeスロットは場合によっては物理的なレーン数と認識するレーン数が異なる場合があります。
特に多いのが、物理的にはx16スロットであるにもかかわらず、認識的にはx8というパターンです。
ただし、1つ目のPCIe x16スロットはグラフィックボードを搭載する前提で考えられているため、x16のスロットであれば認識もx16であることがほとんどです。
これに対して、2つ目以降のPCIe x16スロットに関しては、x16のスロットだけど認識はx8ということがあります。
マザーボードの仕様にも記載さてていることがほとんどなので、マザーボードの画像だけでPCIeのレーン数やスロット数を判断するのではなく、仕様も確認しておきましょう。
2本目のPCIeスロットを使う機会はあまりありませんが、念のため知っておきましょう。
まとめ:レーン数、占有スロット数、認識レーン数は要チェック
PCIeについて基本的なことやレーン数、バージョン、拡張カードを選ぶ際の注意点について解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- PCI Expressは高速データ転送のためのインターフェース・バス規格
- 主にグラフィックボードやNVMe SSD、その他の拡張カードの接続に使用
- レーン数(x1, x4, x8, x16)によってデータ転送速度が変わる
- 大きいスロットサイズはそれ以下のサイズなら搭載可能
- スロット形状とレーン数の認識に注意が必要
- PCIeには下位互換性があるため異なるバージョンでも動作可能
- 最新バージョンのNVMe SSDを使用する際はマザボ側のバージョンに注意
- 拡張カードのサイズや占有スロット数に注意して選ぶ
PCIeは、コンピュータ内部での高速データ転送を可能にするインターフェースであり、レーン数やバージョンによって性能が異なります。
拡張カードを選ぶ際には、特に最新のPCIeのバージョンに対応したNVMe SSDを搭載する場合は、マザーボード側のM.2スロットが同様に最新のPCIeバージョンに対応しているか確認しておきましょう。
また、グラフィックボードを含む複数枚の拡張カードを搭載する場合は、グラフィックボードの占有スロットに注意しつつスロットが足りるか確認しましょう。
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