見積もり&構成チェックツール

CPUのTDPとは?「TDP = 消費電力」ではない

※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています。

CPU

パーツを選ぶだけで見積もり・互換性チェック・電力計算ができる「自作PCツール」


TDPはCPUの発熱量や消費電力の目安を示す指標であり、CPUクーラーや電源ユニットの選定に関わってきます。

TDPを理解せずにCPUやCPUクーラー、電源ユニットを選んでしまうと、冷却不足や電力不足によるパフォーマンスの低下もあり得ます。

 

本記事では、TDPの基本的な意味からIntel・AMDそれぞれの仕様の違い、そしてTDPを踏まえたPCパーツ選びのポイントまでを分かりやすく解説します。

 

この記事の重要なポイント
  • TDPはCPUの発熱量を示す指標
  • CPUクーラーや電源ユニット選びにも重要。
  • TDPを考慮しないと冷却不足や性能能低もあり得る。
  • Intelは「ベースパワー」と「最大ターボパワー」でTDPを表示。
  • AMDは「デフォルトTDP」のみで、最大値は未記載。
  • AMDのTDPは「TDP × 1.35」が最大消費電力の目安とされる。
  • 最大TDPを参考に、CPUクーラーや電源ユニットを選ぶ。

 

 

PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。

≫ ツール:自作PCパーツの見積もり・互換性チェックツール


CPUのTDPとは?

CPUのTDPの基本から、主要メーカーの仕様について解説していきます。

 

TDPについて

TDP(Thermal Design Power:熱設計電力)とは、CPUやGPUなどのプロセッサが設計上想定される最大発熱量(消費電力)を表す指標です。

この指標を元に、CPUクーラーの冷却性能が足りているか確認したり、電源ユニットの電源容量を計算したりします。

 

TDPが高いCPUほど、多くの熱を発生させるため、より強力なCPUクーラーが必要になります。

また、消費電力も増加するため、その電力に耐えられるだけの電源容量を持った電源ユニットを選ぶ必要があります。

 

Intel CPUのTDP仕様

IntelのCPUの仕様では、次の項目でTDPを定めています。

  • プロセッサーのベースパワー
    定格運用時のTDPを示す。
  • 最大ターボパワー
    ターボブースト時の最大消費電力

以前は、プロセッサーのベースパワーをTDPという項目で仕様に書かれていましたが、Intel Core シリーズの第12世代(Alder Lake)以降は、TDPという表記は使わず、この2つの指標に分けて表示するようになりました。

 

従来の「TDP(熱設計電力)」は、CPUがベースクロックで動作しているときに発生する熱の目安として使われていました。

しかし、近年のCPUはブースト機能(ターボブースト、TVBなど)を積極的に使っており、実際の消費電力や発熱はTDPを大きく上回る場面が多くなっていました。

ケンさん

定格動作を前提にしたTDPだと実態との違いやパーツ選びで不都合があるってことなや!

 

実際の使用状況では、CPUはベースパワー(TDP)以上の電力を消費する時間が多く、特に高負荷時には最大ターボパワーまで到達することがよくあります。

そのため、電源ユニットやCPUクーラーを選ぶ際は、「最大ターボパワー」を参考にして、これを基準に選ぶようにしましょう。

 

AMD CPUのTDP仕様

AMDのCPUの仕様では、次の項目でTDPを定めています。

  • デフォルトTDP
    定格運用時のTDPを示す。

Intelのようにターボブースト時の最大TDPは仕様に記載がありません。

AMDのCPUも同様にターボブースト機能により定格クロックを超え、デフォルトTDP以上の電力が必要な場合があります。

 

ただし、AMDはブースト時の消費電力や熱出力を明確な数値として公式仕様には記載していません。

これでは、最大TDPを考慮した上で、電源ユニットやCPUクーラーを選ぶことができません。

 

そこで参考にされるのが、一般的に知られている「TDP × 1.35」という目安です。

これは、AMDのオーバークロック用のドキュメントなどで紹介されている数値です。

 

例えば、TDPが65WのCPUであれば最大TDPは約88Wになり、TDPが105Wであれば約142W程度になるという計算です。

そのため、電源ユニットやCPUクーラーを選ぶ際は、デフォルトTDPに対して、1.35倍をかけた数値を元に選ぶようにするのが良いでしょう。

 

TDPとTGPの違い

TDP(Thermal Design Power)とTGP(Total Graphics Power)は、どちらもPCパーツがどれだけの電力や熱を発生するかを示す指標ですが、対象となる部品や意味合いが異なります。

 

TDPは、CPUにおける設計上の発熱量で、主にCPUの発熱量を示す数値です。

一方で、TGPは、GPU全体の実際の消費電力に近い数値で、GPU全体が使用する電力を表します。

 

これはGPUコアだけでなく、ビデオメモリや電源供給回路など、カード全体の消費電力を含むため、TDPよりも実使用に近い指標といえます。

 

NVIDIAやAMDのグラフィックスカードでは、TGPが高ければ高性能になる傾向がありますが、それに伴い発熱や消費電力も増えるため、電源や冷却にも注意が必要です。

 

 

TDPに関連したPCパーツの選び方

TDPに関連したPCパーツの選び方について解説します。

 

TDPを元にCPUクーラーを選ぶ

TDPは、CPUが最大負荷時にどれだけの熱を発生するかを示す指標であり、これに対応した冷却能力を持つクーラーを選ぶことが大切です。

これにより、CPUを適切に冷却することができ、結果としてCPU本来のパフォーマンスを最大限引き出すことができるようになります。

 

CPU TDP CPUクーラー

CPUクーラーには、CPUのTDPが何ワットまで対応できるか(=適切に冷却できるか)の仕様があるので、それを確認します。

例えば、TDPが95WのCPUを選ぶ場合は、少なくとも95W以上の冷却能力を持つCPUクーラーが必要です。

 

ただし、このTDPの仕様が書かれていないCPUクーラーも多く、実際は見た目や他のベンチマークなどから判断することが多いです。

基本的に、デカい空冷式のCPUクーラーであれば冷却性のも高く、高性能なCPUにも対応できます。

また、それ以上に冷却性能が欲しい場合は、3連ファンの水冷式CPUクーラーだと安心ですね。

 

ただ、初めて自作PCをするのであれば、この辺りは分かりづらいので、TDP仕様が掲載されているCPUクーラーの中から選ぶのが良いですね。

 

この時のTDPは、定格時のTDP(Intelではプロセッサーのベースパワー、AMDではデフォルトTDP)ではなく、ブースト時のTDPを参考にします。

CPUクーラーのTDPが、ブースト時のTDPを超えていることを確認しましょう。

 

≫ 関連記事:自作PCのCPUクーラーの選び方【性能面 / 機能面 / 互換性】

 

電力計算にはTDPを使う

電源ユニットを選ぶ際に、電源容量(ワット数)が重要になってきますが、これを計算するのにCPUのTDPが必要になってきます。

どの程度の電源容量が必要かどうかは、CPUのTDPを含む各パーツの電力を合計して、さらに余裕を持たせた値を基準にします。

 

具体的な計算方法や他のパーツの電力の目安などについては、電源ユニットの電源容量の計算方法と計算ツールについてを参考にしてください。

 

その際に、CPUのTDPも必要となりますが、CPUクーラーと同様に、定格時のTDP(Intelではプロセッサーのベースパワー、AMDではデフォルトTDP)ではなく、ブースト時のTDPを参考にします。

ブースト機能により定格時のTDPを超える消費電力になることが多いため、ブースト時のTDPを元に計算するようにしましょう。

 

TDPについてのよくある疑問

TDPについてのよくある疑問について解説していきます。

 

「TDP = 消費電力」ではない

TDPは、CPUが最大負荷で動作する際に発生する熱を冷却するために必要な電力の目安を示しています。

つまり、TDPは冷却システムの設計基準であり、実際の消費電力とは異なることがあります。

 

例えば、CPUが軽い作業をしているときは、TDPよりもはるかに少ない電力しか消費しないことがあります。

また、TDPはメーカーが特定の条件下で測定した値であり、実際の使用環境や設定によっては異なる結果になることもあります。

 

したがって、TDPをそのまま消費電力と考えるのは誤解を招く可能性があります。

 

「高TDP = 高性能」ではない場合がある

TDPは、CPUが最大負荷で動作する際に発生する熱量を示す指標ですが、必ずしもそのCPUの性能を直接的に表すものではありません。

 

TDPが高いということは、一般的にそのCPUが多くの電力を消費し、多くの熱を発生させることを意味します。

しかし、これは必ずしもそのCPUが他の低TDPのCPUよりも高性能であることを保証するものではありません。

 

例えば、同じTDPを持つCPUでも、アーキテクチャの違いやプロセス技術の進化により、性能が大きく異なることがあります。

また、TDPが高いCPUは、発熱が多いため、冷却システムが十分でないと性能が制限されることもあります。

 

したがって、CPUを選ぶ際には、TDPだけでなく、実際の性能ベンチマークや用途に応じた性能評価を考慮することが大切です。

 

AMDのCPUはデフォルトTDPしか公開されていない

AMDのCPUは、デフォルトTDPしか公開されていないため、実際の使用状況における消費電力や発熱の目安としては不十分な場合があります。

デフォルトTDPを基準に、電源ユニットやCPUクーラーを選んでしまうと、CPUのブースト時に電力不足となりパソコンの動作が不安定になったり、冷却性能が不足して、パフォーマンスが十分発揮できなかったりする場合もあります。

 

そのため、デフォルトTDPに1.35倍をかけた数値を基準に、電源ユニットやCPUクーラーを選ぶようにしましょう。

 

 

まとめ:電力計算は自作PCツールを使おう!

CPUのTDP(熱設計電力)について、基本的な概念から主要メーカーの仕様、TDPに関わるPCパーツの選び方について解説しました。

 

改めて重要なポイントをまとめておきます。

この記事の重要なポイント
  • TDPはCPUの発熱量を示す指標
  • CPUクーラーや電源ユニット選びにも重要。
  • TDPを考慮しないと冷却不足や性能能低もあり得る。
  • Intelは「ベースパワー」と「最大ターボパワー」でTDPを表示。
  • AMDは「デフォルトTDP」のみで、最大値は未記載。
  • AMDのTDPは「TDP × 1.35」が最大消費電力の目安とされる。
  • 最大TDPを参考に、CPUクーラーや電源ユニットを選ぶ。

 

CPUのTDPは、CPUクーラーや電源ユニットを選ぶ際に重要な指標となってきます。

TDPの数値は、あくまで冷却設計の目安であり、実際の消費電力とは異なる場合があります。

特にブースト時には、定格TDPを大きく上回る電力や熱が発生するため、それを前提にCPUクーラーや電源ユニットを選ぶ必要があります。

 

IntelとAMDではTDPの表示方法が異なり、特にAMDは最大値を明記していないため、「TDP × 1.35」を参考にするのが現実的です。


PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。

≫ ツール:自作PCパーツの見積もり・互換性チェックツール


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です