パソコン作業やゲーム、デザインなど、さまざまな場面で欠かせないマウスですが、その使い心地や操作精度を左右するのが「マウスセンサー」です。
一般的なパソコン作業、一般的なデスク素材であれば、マウスセンサーの種類は特に気にしなくても大丈夫です。
しかし、カーソル操作が重要になるFPSなどのゲームやピクセル単位で操作する必要のある画像編集・イラスト制作などのクリエイティブな用途においては、操作精度への影響がある場合があるので、適したものを選ぶようにしましょう。
この記事では、マウスセンサーの基本から種類ごとの特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。
- マウスセンサーは操作精度や使い心地に影響する
- 用途や使用環境により最適なセンサーは異なる
- 普段使い、ビジネス用途には、BlueLED, IR LED, 光学式(赤色LED)が最適
- ゲームやクリエイティブ用途には、レーザー式, BlueLED, IR LEDが最適
- 赤外線(IR)LEDは省電力でワイヤレスマウスに最適
- マウス選びではセンサー性能だけでなく機能やボタン数なども重要
- 各メーカー独自の高性能センサーもある
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マウスのセンサーについて
マウスのセンサーの基本や種類について解説します。
マウスのセンサーとは?
マウスのセンサーとは、マウスを動かしたときにその位置や動きを検出し、コンピュータ上のカーソルに反映するための部品・技術を指します。
センサーはマウスの「目」にあたる存在であり、ユーザーの手の動きを正確に読み取る役割を担っています。
マウスのセンサーは、主に次のような仕組みで動作します。
- 光源(LEDやレーザー)で机の表面を照らす
- 照らされた表面の画像をセンサーで連続的に撮影(1秒間に何千〜数万枚)
- 画像の変化からマウスの移動方向・距離を計算し、カーソルを動かす
この「光を使って表面の変化を読み取る」方式が、現在主流のセンサーの基本となっています。
このマウスセンサーによって次のような性能に関わってきます。
- 読み取り精度
センサーがマウスの動きをどれだけ正確に追えるか。 - 速度(IPS)・加速度(G)
マウスを素早く動かしたときに正確に追従できるかを示す性能で、ゲームや高速操作に重要。 - 使用可能な表面
マウスパッドなしでも使えるかどうかに影響し、センサーの種類によって対応できる素材が異なる。 - 応答性や遅延
マウスの動きやクリックがリアルタイムに反映されるかどうかに関わり、特にゲームや作業の快適さに直結する。 - 消費電力
ワイヤレスマウス使用時の電池持ちやバッテリー寿命に影響し、長時間使用には省電力設計が重要。
4種類のマウスセンサーの比較
マウスセンサーには主に次の4種類があります。
センサー | 光源の種類 | 主な特徴 | 読み取り精度 | 使用可能な表面 | 消費電力 | コスト | 使用用途 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
普段使い | ビジネス | ゲーム | クリエイティブ | |||||||
光学式(LED) | 赤色LED | ・安価で普及率が高い ・動作が安定している ・透明や光沢面には弱い | 標準的 | 普通 | 低い | 安い | ◎ | ◎ | △ | △ |
BlueLED | 青色LED | ・光沢面や布など多様な表面で使用可能 ・高い読み取り精度 ・コストはやや高め | 高い | 高い | やや高い | 普通 | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
赤外線(IR)LED | 赤外線LED | ・消費電力が非常に低い ・目に見えない光で目に優しい ・読み取り精度は高め | 高い | 普通 | 非常に低い | やや高い | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
レーザー式 | レーザー光 | ・非常に高い読み取り精度 ・ガラスや光沢面でも使用可能 ・価格が高め | 非常に高い | 非常に高い | やや高い | 高い | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
ざっくりと総合的な性能を見ると次のようになります。
レーザー式 > BlueLED = IR LED > 光学式(赤色LED)
センサー別にコストを記載していますが、あくまで部品がそういう傾向にあるという話で、マウス自体の価格はセンサーよりも他の機能や仕様によって左右されることが多いです。
そのため、「コストが高い=価格の高いマウス」という意味ではないことに注意です。
また、レーザー式は、普段使い、ビジネスが「○」となっていますが、これらの用途にしてはオーバースペックであり、マウス自体の価格も高くなる傾向にあるので、コスト面も含めて総合的に「○」としました。
ケンさん
消費電力については、USB接続であればパソコンから給電されるのであまり気にする必要はありませんが、乾電池やバッテリー駆動のワイヤレスマウスの場合は、どの程度長く使えるか、乾電池やバッテリーの交換頻度に関わってきます。
では、マウスセンサー毎に、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて深掘りしていきましょう。
光学式(赤色LED)
光学式の特徴やメリット・デメリット、おすすめ用途について解説していきます。
光学式(赤色LED)の特徴
光学式マウスは、赤色のLEDライトを使ってマウスの動きを検知するタイプのマウスです。
他の方式と比べると、光学式は製造コストも抑えられるため、価格が安く手に入りやすいのが特徴です。
普段使いのパソコン作業やネット閲覧、オフィスワークなど、一般的な用途には十分な性能があります。
また、消費電力も比較的少ないので、ワイヤレスモデルでも電池が長持ちしやすく、電池交換の頻度も減らせます。
一方で、ガラスや鏡面、光沢の強い素材の上ではLEDの反射光がうまく検知できず、ポインタの動きが不安定になることがあります。
そのため、布製やプラスチック製のマウスパッドを使うと、より安定した操作が可能です。
なお、光学式はレーザー式に比べてDPI(解像度)がやや低めですが、普通の使い方であれば十分な精度を持っています。
光学式(赤色LED)のメリット
光学式のメリットは次の通りです。
- 安価で入手しやすい
製造コストが低いため安価なモデルが多く、手軽に購入しやすいです。 - 日常用途に十分な性能
高解像度や微細な動きの追従はレーザー式にやや劣りますが、ウェブ閲覧や文書作成などの一般作業には必要十分な精度と反応速度があります。 - 多くの素材上で安定して使用可能
マウスパッド、木製デスク、布地など光を反射する一般的な表面で安定動作します。
また、表面の色や模様の違いにも強く、白や黒、カラフルな面でも問題なく使えるので、マウスパッドを用意しなくても使えます。 - 省電力でバッテリーが長持ち
LEDはレーザーより発光量が少なく、消費電力が抑えられます。
そのため、乾電池やバッテリー駆動のマウスも電池が長持ちし、外出先や長時間の作業にも適しています。
光学式(赤色LED)のデメリット
光学式のデメリットは次の通りです。
- 光沢面やガラス面では動作が不安定
ガラスや鏡面仕上げのデスク、透明なプラスチックの上では、LEDの光がうまくセンサーに戻らず、ポインターが飛んだり、まったく動かなくなったりすることがあります。 - 読み取り精度は高級センサーに劣る
光学式マウスは日常使用には十分な精度を持っていますが、レーザーセンサーや最新の高性能センサーと比べると、読み取り精度や追従性がやや劣ります。 - 使用用途は日常的な作業向け
ネット閲覧や文書作成、表計算ソフトの操作など、一般的なパソコン作業には光学式マウスが適しています。
価格も手頃で、特別なマウスパッドを必要とせず多くの素材の上で安定して使用できるため、コストを重視する方におすすめです。
センサーの精度がやや劣るため、普段使いやビジネス用途では大丈夫ですが、ゲームなどの素早い動き、デザイン、CADなどの細かい操作が求められる用途にはあまり向いていません。
光学式(赤色LED)のおすすめ用途
光学式マウスは、普段使いのパソコン作業やオフィスワークにぴったりなタイプです。
光学式センサーは、紙や木の机など一般的な平らな面で安定して動作するので、特別なマウスパッドがなくても快適に使えます。
価格も比較的手ごろで、コストを抑えたい方にもおすすめです。
ネットの閲覧や文書作成、表計算ソフトの操作など、細かい動きよりも実用性や信頼性を重視する場面で特に活躍します。
ただし、ガラスや鏡のような反射する面ではうまく動かないことがあるので、その点は注意が必要です。
必要な機能をしっかり見極めて、無駄な出費を避けたい方には、光学式マウスが選択肢として有力だと思います。
BlueLED
BlueLEDの特徴やメリット・デメリット、おすすめ用途について解説していきます。
BlueLEDの特徴
BlueLEDセンサーの青色LEDは波長が短いので光の散乱や反射の仕方が異なります。
ガラスや光沢のある机、布地、透明・半透明の素材など、これまでのセンサーでは苦手だった場所でもしっかりマウスの動きを検知できます。
そのため、専用のマウスパッドを用意しなくても快適に使えるので、オフィスや自宅、外出先など幅広いシーンで使うことができます。
また、BlueLEDセンサーは細かい動きにもきちんと反応するので、グラフィックデザインや写真編集など精度が求められる作業でも使いやすいです。
前述した赤色LEDの光学式センサーの上位互換のような立ち位置なので、そのセンサーを搭載したマウスで満足できない方にもBlueLEDはおすすめですね。
BlueLEDのメリット
BlueLEDのメリットは次の通りです。
- 表面認識力が高く多様な素材に対応
青色LEDの短い波長により、細かな凹凸や素材の違いにもきちんと反応できるため、布や紙、木材、光沢面、カーペット、ガラスや鏡面仕上げのデスクなど赤色LEDの光学式では不安定だった素材でも安定したトラッキングが可能です。
マウスパッドがなくても使用できるため、オフィスや自宅など場所を問わずマウスを使うことができます。 - コストパフォーマンスに優れたモデルが多い
BlueLEDセンサーは広く普及しており、技術的にも成熟しているため、比較的低価格のモデルが多く展開されています。
安価でも日常用途に十分な性能を備えており、複数台の導入やコスト重視の選択にも適しています。 - ガラス面ではレーザーに劣るが赤色LEDより優れる
BlueLEDセンサーはレーザー式ほどの精度はないものの、赤色LEDの光学式と比べるとガラスや透明素材の上でも安定して動作します。
日常のオフィス作業やWebブラウジングにおいては、十分実用的な性能を発揮します。
BlueLEDセンサーの技術が既に広く普及しており、製造工程の効率化が進んでいるため、コストを抑えやすいことが主な理由となっています。
さらに、部品の調達コストも下がっているので、各メーカーが低価格帯の製品を展開しやすい状況です。
BlueLEDは、光の拡散や反射の特性が異なるさまざまな素材に対応できるので、マウスパッドがなくても快適に使えるのが大きなメリットですね。
BlueLEDセンサーはオフィスや家庭など、いろいろな環境で使いやすく、場所や素材を選ばず安定したパフォーマンスを発揮します。
BlueLEDのデメリット
BlueLEDのデメリットは次の通りです。
- DPIの上限が比較的低め
BlueLEDセンサーは、レーザーセンサーと比べると対応可能なDPI(解像度)の上限がやや低く、高精度や高速なカーソル操作には不向きな傾向があります。 - 分解能やトラッキング精度に限界がある
青色LEDは表面の細かな凹凸を捉える能力には優れていますが、センサー自体の分解能や追従精度には限界があり、特に精密な操作を求める用途では性能に物足りなさを感じる場合があります。 - プロ用途や高解像度環境には不向きな場合がある
eスポーツや4K・8Kディスプレイ環境など非常に細かいカーソル制御が求められる場面では、BlueLEDセンサーでは満足のいく性能が出ない可能性があります。
分解能やトラッキング精度に限界があるとは言え、光学式(赤色LED)よりも性能は高いですね。
BlueLEDのおすすめ用途
BlueLEDマウスは幅広いシーンで使いたい方にぴったりです。
BlueLEDセンサーを搭載したマウスは、ガラスや光沢のあるデスク、布製のテーブルクロスなど、さまざまな素材の上でも安定して動作するのが大きな特徴です。
赤色LEDの光学式では反応しづらかった透明なガラス面やツヤのある机でも、しっかりとトラッキングできるので、場所を選ばず使えるのが魅力ですね。
マウスパッドがなくても快適に操作できるため、ノートパソコンと一緒に持ち歩く場合やカフェ・新幹線などスペースが限られる場所でも困りません。
どんな環境でも柔軟に対応できるので、状況に応じて作業場所を変える方や打ち合わせなどでパソコンを持ち歩く方にも向いています。
赤外線(IR)LED
赤外線(IR)LEDの特徴やメリット・デメリット、おすすめ用途について解説していきます。
IR LEDの特徴
IR LED(赤外線発光ダイオード)は、目に見えない赤外線を発するのが大きな特徴です。
可視光より波長の長い光を用いることで、外光の影響を受けにくく、暗い場所でも安定した動作が可能です。
また、消費電力が少ないセンサーなので、乾電池やバッテリー駆動のワイヤレスマウスであれば持ちが長くなります。
そのため、電池交換や充電が面倒でできるだけ減らしたい、長時間パソコン作業するというユーザーにおすすめです。
IR LEDのメリット
IR LEDのメリットは次の通りです。
- 省電力でバッテリーが長持ち
IR LEDセンサーは消費電力が非常に少なく、ワイヤレスマウスに最適です。
長時間の作業や外出先での使用に向いています。 - 一般的な素材での認識性能が良好
木製デスクや布製マウスパッド、プラスチックなど、家庭やオフィスでよく使われる表面でのトラッキング性能が高く、普段使いに十分な精度を持ちます。
日常的な操作で不便を感じることはほとんどないでしょう。 - 目に見えない光で視覚的に邪魔にならない
赤外線は人の目には見えないため、使用中に光がちらついたり目障りになることがありません。
4種類のセンサーの中で消費電力の少なさが一番なので、モバイル用途で電池を長持ちさせたい、電池の交換・充電の手間を減らしたいユーザーに適しています。
また、何かしらの理由で暗所でパソコン作業をする際に、可視光LEDだと目障りになる場合がありますが、赤外線だと人の目には見えない波長なので、眩しさを感じることはありません。
IR LEDのデメリット
IR LEDのデメリットは次の通りです。
- DPIの上限が比較的低め
IR LEDセンサーは、レーザーセンサーと比べると対応可能なDPI(解像度)の上限がやや低く、高精度や高速なカーソル操作には不向きな傾向があります。 - 特定の表面で誤動作する可能性
ガラス面や光沢のある面で精度が低下する場合がある(製品によって差あり)
IR LEDは可視光より波長が長いため、光学的な解像度が低くなりやすく、細部の識別性能が劣ることがあります。
さらに、赤外線では素材ごとの反射率の差が小さくなる傾向があるため、可視光と比べてコントラストが低下しやすくなります。
このような特性から、マウスパッドや机の表面にある微細な模様や凹凸を正確に読み取るのが難しくなり、特に細かい動きや高速操作の際に、センサーが動きに追従できず、カーソルが飛んだり途切れたりする可能性があります。
特に、FPSゲームやグラフィックデザインなど、マウスの精度や反応速度が重要な場面では、IR LEDセンサーはパフォーマンス面で不利になることもあります。
IR LEDのおすすめ用途
IR LEDは、一般的な素材のデスクであれば十分対応できますし、レーザー式には劣るもののBlueLEDと同じぐらいのトラッキング精度もあるので、普段使いやビジネス用途でも十分に対応することができます。
また、消費電力が少ないので、外出先でもパソコン作業、ワイヤレスマウスで電池交換や充電の手間を減らしたい方におすすめです。
マウスの精度や反応速度が重要なゲームやクリエイティブな用途では、どこまで求めるかにもよりますが、軽めの画像編集やカジュアルなゲームプレイ程度であれば、IR LEDマウスでも十分対応可能です。
レーザー式
レーザー式の特徴やメリット・デメリット、おすすめ用途について解説していきます。
レーザー式の特徴
レーザー式マウスセンサーは、光学式センサーと比べて幅広い素材の上でも高い精度で動作する点が挙げられます。
レーザー光は波長が短いため、机の表面の細かな凹凸や質感までしっかり読み取ることができ、ガラスや光沢のあるデスク、布、プラスチックなど、従来の光学式では苦手だった場所でも問題なく使えます。
また、レーザー式は一般的にDPI(解像度)が高めなので、マウスの動きを細かく正確に反映でき、グラフィックデザインやCAD、ゲーミングなど、精密な操作が求められる用途にも向いています。
一方で、レーザー式センサーは製造コストが高くなる傾向があり、加えて、その分、高性能・高機能なマウスで搭載される傾向にあるので、マウスの価格も光学式(LED方式)に比べてやや高価になる場合があります。
高精度に価値を感じるユーザーにとっては妥当な選択肢ですが、一般的な用途にはコストパフォーマンスを考慮する必要があります。
レーザー式のメリット
レーザー式のメリットは次の通りです。
- 高DPIに対応し精密な操作が可能
レーザー式センサーは非常に高いDPI設定に対応しており、微細な手の動きも正確に検出できるため、プロゲーマーやデザイナーなど、精密操作が求められる作業に適しています。 - ガラスや光沢面でも安定して動作
光学式では反応しにくいガラスや光沢素材の上でも、レーザー光が細かい表面の凹凸を正確に読み取るため、マウスパッドがない環境でも快適に使えます。
レーザー式は高いDPI(解像度)を実現しやすいので、細かい動きや素早い操作にも正確に反応します。
DPIは、マウスを1インチ動かした際にカーソルが何ドット動くかを示す指標で、数値が高いほど細かい動きをより正確に読み取ることが可能です。
レーザー式は光学式センサーと比べて感度が高く、最大で数万DPIに対応するモデルも存在します。
そのため、ほんのわずかな手の動きでもカーソルが大きく動くので、精密な作業や素早い操作が求められる場面で特に力を発揮します。
グラフィックデザインやCAD、写真編集など、精密な作業にも向いていますし、FPSやRTSなどのゲームでも、細かなマウス操作が求められる場面でしっかり活躍してくれます。
レーザー式のデメリット
レーザー式のデメリットは次の通りです。
- 高感度ゆえにカーソルがまれにブレる可能性もある
センサーの過敏性が高く、机の凹凸や手の微細な動きも拾いやすいため、カーソルの動きが不安定になったり、ブレたりする可能性があります。 - 価格が高くなりやすい
高精度な読み取りを実現するために、より高度な技術や精密な部品が必要になるので、その分コストが上がりやすいです。
同等機能の他方式と比べて製品価格も高くなる傾向があります。 - 消費電力が高め
レーザー光を発するための発光素子が高出力を必要とし、光学式と比べて電力消費が大きくなりやすいです。
そのため、電池交換や充電の頻度がやや高くなる傾向があります。
私自身は、レーザー式の1万円ほどのマウスを5年以上使用していますが、これまでに動きが不安定になったり、ブレたりしたことはありません。
レーザー式センサーは一般に精度が高く、さまざまな表面に対応できる点が特長ですが、物理的な特性上、表面の細かい凹凸に過敏に反応しすぎて挙動が不安定になる可能性があるとも言われています。
ただ、実際には品質の高いマウスであれば、こうした問題はほとんど発生しません。
一方で、レーザー式は光学式と比べてセンサーの構造が複雑で、製造コストや販売価格が高くなる傾向があります。
そのため、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとってはやや不向きかもしれません。
レーザー式のおすすめ用途
レーザー式マウスは、非常に高い精度と感度を持つセンサーを搭載しており、細かな動きへの追従性が優れているのが大きな特長です。
そのため、グラフィックデザインや写真編集、CADといった精密な操作が求められる作業に非常に適しています。
また、FPSやRTSなどのジャンルに代表されるマウス操作の正確さが要求されるゲームでも、高いDPIと反応速度により、繊細な動きにも的確に対応できます。
プロゲーマーやクリエイターなど、正確な入力と素早い操作を両立したいユーザーにとって、有力な選択肢と言えるでしょう。
さらに、レーザー式は読み取り精度が高いため、ガラスや光沢のあるデスクなど光学式マウスが苦手とする素材の上でも安定して動作します。
その他メーカー独自のセンサー
一般的な4つのセンサーの他に、これらをベースにして各メーカー独自に開発されたセンサーもあります。
各メーカーの独自開発センサーは、それぞれの技術力やユーザーの要望・需要に合わせて設計されているため、一般的なセンサーとは異なる特徴や付加価値があるのがポイントです。
本記事では4つの基本的なセンサーを中心に解説しているので、気になる方は調べられるように軽くまとめる程度に留めておこうと思います。
メーカー | センサー名 | 特徴 | ベースのセンサー |
---|---|---|---|
Microsoft | BlueTrack Technology | ・青色LED+広角レンズ ・布・木材など多様な素材に対応 ・光沢やガラスは苦手 | Blue LED |
Logitech | Darkfield Laser Tracking | ・ガラスや光沢面でも 使用可能な高精度レーザー ・4mm以上の透明ガラスにも対応 | レーザーセンサー |
Logitech | HERO Sensor | ・最大25,000DPI ・高省電力 ・ゼロ加速 ・ゲーミングに最適 | 光学式センサー |
Razer | Focus+ Optical Sensor | ・最大20,000DPI ・650IPS ・スマートトラッキング ・リフトオフ調整可 | 光学式センサー |
Razer | HyperSpeed Wireless | ・低遅延 ・周波数ホッピングによる安定接続 ・省電力 | – |
SteelSeries | TrueMove Sensor | ・1対1トラッキング ・PixArt共同開発 ・スムージング/加速なし | – |
Corsair | PixArt PMW3391 (カスタム) | ・18,000DPI ・1DPI刻み設定 ・LoD調整 ・表面キャリブレーション可能 | – |
Glorious | BAMF Sensor | ・19,000DPI ・400IPS ・省電力 ・高精度 ・低LoD ・カスタマイズ性高 | – |
まとめ:用途に合わせて最適なマウスセンサーを選ぼう
マウスセンサーの役割や種類、それぞれの方式のメリット・デメリットについて解説しました。
改めて重要なポイントをまとめておきます。
- マウスセンサーは操作精度や使い心地に影響する
- 用途や使用環境により最適なセンサーは異なる
- 普段使い、ビジネス用途には、BlueLED, IR LED, 光学式(赤色LED)が最適
- ゲームやクリエイティブ用途には、レーザー式, BlueLED, IR LEDが最適
- 赤外線(IR)LEDは省電力でワイヤレスマウスに最適
- マウス選びではセンサー性能だけでなく機能やボタン数なども重要
- 各メーカー独自の高性能センサーもある
普段使いやオフィス用途であればコストパフォーマンスの良い光学式やBlueLED、省電力やワイヤレス重視ならIR LED、高精度な作業やガラス面での使用にはレーザー式が向いています。
また、各メーカーが独自に開発した高性能センサーもあり、特定のニーズに特化したマウスを選ぶ際の選択肢となります。
自分の用途や作業環境に最も適したセンサーを選ぶことで、パフォーマンスや快適さが向上するので、マウスを選ぶ際は、センサーの特性をしっかり理解した上で、自分に合ったモデルを見極めましょう。
PCパーツと通販サイトを選ぶだけで、見積もり、互換性チェック、電源容量計算ができるツールも開発したのでぜひ活用してください。 最大5つの構成を保存できるので色々な構成を試せます。
≫ ツール:自作PCパーツの見積もり・互換性チェックツール